ワークシェアリングのメリット・デメリット|導入方法や助成金も紹介


ワークシェアリングのメリット・デメリット|導入方法や助成金も紹介

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ワークシェアリングは、柔軟な働き方の実現や人材確保に役立ちます。従業員が満足できる働き方を実現するためにも、ワークシェアリングの特性をしっかり理解しておきましょう。

この記事では、ワークシェアリングの概要やメリット・デメリット、導入方法、利用できる助成金などを紹介します。人材不足や従業員の満足度に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

ワークシェアリングとは

ワークシェアリングとは、その名のとおりワーク(仕事)をシェア(分け合う)することです。一人の従業員が対応していた仕事を複数人で分け合って対応することで、一人ひとりの負担を減らす目的で行われます。

一人の負担が減れば、業務効率や生産性の向上が期待できるため、企業にはメリットがあるでしょう。

ワークシェアリングが必要とされる背景

もともとワークシェアリングは、失業率の高い欧州で提案された働き方です。従業員一人の負担が大きい企業が、シェアできる仕事を新たな雇用者に分け与え、負担軽減と雇用の拡大を実現しました。

近年は、日本においても経済状況の悪化によって人件費削減が求められる企業が増えています。しかし、人員を削減すると従業員一人当たりの負担が増えるケースも多く、ワークシェアリングが注目されたという背景があります。

日本においては「過労死」が大きな社会問題となっており、この解消にも役立つかもしれません。

さらに、ワークライフバランスの実現やコロナ禍での働き方の多様化も相まって、ITの活用も取り入れたワークシェアリングが注目を浴びています。

実際にどのようなワークシェアリングが行われているかについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、事例を知りたい方はぜひご覧ください。
「ワークシェアリング事例」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:ワークライフバランスの概要から考え方、現状、ポイントを解説

ワークシェアリングの種類



ワークシェアリングには、いくつかの種類があります。ここでは、目的別に4つのワークシェアリングについて解説します。

雇用維持型

雇用維持型とは、退職者を出さないよう、雇用を維持する際に使われるワークシェアリングの方法です。

企業にとって、高い能力を持っていたり、豊富な経験を積んでいたりする従業員は貴重な戦力といえます。そのような従業員が、各年齢層に偏りなく分布しているのが理想です。

しかし、実際は年齢や能力には偏りがあり、場合によっては貴重な戦力である中高年層の多くが退職してしまうおそれもあります。

そのような層の従業員にワークシェアリングをしてもらえば、仕事を続けてもらえるかもしれません。従業員はある程度の収入を確保できますし、企業は人件費や新規採用の費用を増やすことなく、業務量を維持できます。

緊急対応型

緊急対応型の目的は、雇用維持型と同じで、人手不足の解消です。

ただし、緊急対応型は経営が悪化したした際に用いられる方法です。人件費削減と従業員の解雇回避を同時に実現したい企業が、ワークシェアリングを実施することがあります。

従業員はワークシェアリングを求められることで収入が減りますが、突然職を失うよりはよいでしょう。

一時的にワークシェアリングでやりくりし、業績回復後に徐々に元の状態に戻すことができれば、企業は貴重な戦力を手放すことなく経営の立て直しができるでしょう。

雇用創出型

雇用創出型は、新しい雇用を生み出すことを目的としたワークシェアリングです。既存従業員の労働時間が短縮された際に、人的リソースの補充を新たな雇用によって補いたい際に用いられます。

また、現在休職中の複数の従業員に、短時間労働者と同じ仕事を与えてシェアする方法も雇用創出型の一つです。

休職の理由はさまざまですが、休職中の従業員がすぐに以前と同じ仕事内容や業務量で復帰するのは難しいでしょう。しかし、企業は仕事に穴を開けるわけにはいきません。

ワークシェアリングを活用すれば、休職中の従業員でも無理なく仕事に復帰でき、業務のブランクを最小限に抑えることができます。また、短時間の業務を最初のステップとして与え、新たな雇用につなげることもできます。

多様就業型

多様就業型は、コロナ禍に増えたリモートワーク(テレワーク)を始め、フレックスタイム制やパートタイムなどの多様な働き方に対応するために、ワークシェアリングを活用する方法です。

パートタイムやフレックスタイム制でワークシェアリングを活用すれば、一人ひとりの都合を勘案しつつ、全体としては十分な量の仕事を行えます。

また、リモートワーク(テレワーク)では孤独感や不安感を解消しつつ、チームとして一つの仕事を仕上げることができるでしょう。

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ワークシェアリングのメリット



ここからは、ワークシェアリングによって企業が得られるメリットを詳しく解説します。

生産性向上とコスト削減の両立

一つの仕事を複数人で分け合うワークシェアリングなら、一人当たりの負担を減らせます。その分、時間あたりの集中力や業務効率が高まるため、全体的な生産性向上が期待できるでしょう。

企業にとっては、得られる生産性の向上に対して支払う賃金を抑えられるため、実質的な人件費を削減できる可能性があります。

速やかな人材配置

一人当たりの業務量が多ければ多いほど、仕事の融通が利かなくなります。もともとやるべきことが多いため、他の業務の手伝いや肩代わりは難しいでしょう。一人当たりの仕事量の増加は属人化を招き、企業にとっては人材配置や配置転換も難しくなります。

ワークシェアリングによって一人当たりの負担を減らせば仕事の融通が利きやすくなり、緊急時の対応や仕事量の調整がしやすくなるでしょう。また、覚えるべき業務が少なければ配置転換や異動にも踏み切りやすく、適材適所が実現しやすくなります。

関連記事:人材配置の目的とは?具体的な流れも確認しよう

企業イメージの向上

ワークシェアリングを実施すれば、雇用人数が増えます。企業にとっては、「積極的に人材を雇用している」「多様な働き方を認めている」といったイメージアップにも有効です。業績向上や優秀な人材の獲得につながる可能性があります。

人材獲得の面でプラスに働けば、人員不足の解消にもつながります。もっと長い時間働きたい従業員がいる場合は、労働条件を改善した雇用契約を早期に結べるかもしれません。

これがキャリアアップやスキルアップにつながれば、企業はワークシェアリングのメリットをさらに享受できるでしょう。

社員エンゲージメントの向上

ワークシェアリングによって業務量を改善できれば、従業員はプライベートを充実させられます。これをモチベーションアップにつなげられれば、業務効率や生産性のさらなる向上が期待できるでしょう。

また、ワークシェアリングが良い結果をもたらした実績があれば、業績が悪化した時にリストラ(整理解雇)される不安も少なくなるでしょう。さらに長時間労働を強いられる心配もなく、安心して働けます。結果的に従業員の満足度が向上し、社員エンゲージメントやロイヤリティの向上も期待できます。

関連記事:エンゲージメントの意味とは?向上させる方法と得られるメリット

ワークシェアリングのデメリット

ワークシェアリングにはさまざまなメリットがありますが、注意したいデメリットもあります。ここからは、ワークシェアリングに伴いがちな問題と、対処法について解説しましょう。

勤務体制の見直しや格差是正が必要

ワークシェアリングを実施すると、一部の従業員の働き方が変わります。その場合、短時間勤務制度や格差是正などの面で不公平にならないよう注意しなければなりません。

例えば、フルタイム勤務をしている従業員の何人かがワークシェアリングを行った場合、仕事量と賃金の調整が必要になります。その場合の仕事量と賃金が、パートタイム労働者と比較してどのようになるかに注意しましょう。

同一労働同一賃金の原則は適用されますが、多くの場合、正社員の賃金には負う責任の重さが反映されています。

ワークシェアリングを行う際の賃金制度も、しっかり見直しましょう。従業員が納得できる内容でなければ、ワークシェアリングを行う従業員や対象外の従業員、パートタイム労働者にも不満が広がりかねません。

多くの残業を伴う長時間労働が「個人の努力」として評価され、賃金に反映されている場合は特に注意が必要です。ワークシェアリングの実施によって、努力を評価してもらえる機会がなくなるおそれがあるからです。

ワークシェアリングをスタートするまでには、このような企業文化の見直しや公平な評価基準の制定など、多くの時間と労力がかかります。これは、ワークシェアリングのデメリットといえるかもしれません。

従業員の不満につながるおそれも

ワークシェアリングには、従業員の負担軽減や雇用の創出といった効果があります。その反面、仕事が減ったり、業務時間が制限されたりすることで「給与が少ない」「もっと働きたいのに仕事がもらえない」といった不満が出るおそれもあります。

従業員にはそれぞれ事情があるため、どの仕事をどれくらい割り振るかに関しては、不公平にならないような配慮が必要です。これを公正な基準で決めなければ、従業員から不満が出るでしょう。

ワークシェアリングを実施した後は、定期的にヒアリングを行います。不満を感じていることがないか話し合う機会を作るとともに、会社の方針も伝え、相互理解を深めていきましょう。

給与計算の労力が増える

ワークシェアリングがスタートした後は、給与計算が複雑になるため労力が増えます。ワークシェアリングでは働く時間や行う仕事、働き方が多様になるため、その分給与体系も複雑になるでしょう。給与計算に間違いがないようにするため、会計部門の負担が増えるかもしれません。

あらかじめ事務の仕事の効率化を図り、給与計算システムを導入するなど、会計業務の負担増に備えましょう。

コストが増加するおそれも

ワークシェアリングでは、実質的な人件費削減が可能です。しかし、業務効率や生産性の向上を実現させるために最適な配置がなされていない場合は、逆にコストが増えるかもしれません。

ワークシェアリングでは一人当たりの賃金を低く抑えられますが、雇用人数は増えます。

雇用人数が多ければ、社会保険料や社員教育の費用が増えるでしょう。また、複数人でシェアした業務が予定どおりに終わらなかった場合は、結局残業や新たな人員が必要になり、人件費が膨らむ可能性もあります。

関連記事:労務管理の重要性とは?就業規則・労働時間などを管理して業務改善を目指そう

ワークシェアリングの導入方法

ここからは、ワークシェアリングを導入したいと考えた場合に、どのような手順で導入すればよいかを解説します。

現状把握

ワークシェアリングを実施する前に、まず現状を把握しましょう。現場での業務内容や業務フロー、必要な人数・コスト、部署ごとの負担割合などを正確に把握しておかなければなりません。

業務内容や必要な人員を把握したら、現場の従業員に意見を聞きながら作業の切り分けが可能な範囲を割り出します。こうして、ワークシェアリングを計画するための情報を整理しましょう。

現状で可能な業務効率化を図る

現状把握の後は、現在行われている業務の中で効率化の余地がある業務がないかどうかをチェックします。現状把握の際、改めて業務内容や業務フロー、人員、コストを見直すと、それまで気付かなかったムダが見つかるかもしれません。

ワークシェアリングを実施する前に、こうしたムダを省いたり、簡略化できる業務を整理したりする作業を行います。これによって、ワークシェアリングを導入した後、会社にとってプラス面が大きくなるでしょう。

また、業務を効率化してからワークシェアリングを実施するほうが、スムーズに業務を移行できるため、現場の従業員や上司は助かるはずです。さらに、業務効率化を実現すれば必要な人員も減らせるため、会社にとっても人材を有効活用できるというメリットがあります。

シェアリング可能な業務の洗い出し

現状把握と業務効率化の見直しを終えたら、シェアリング可能な業務を洗い出します。現状で、一人当たりの負担が大きい業務から洗い出しましょう。

一人当たりの負担が大きい業務の中から、シェアリング可能な業務がないか、何人でシェアリングするのがベストか、検討していきます。

洗い出す際の注意点は、個人の能力によって生産性が左右される仕事や、現在のチームだからこそ質が維持される業務などは対象から外すことです。シェアリングを行う業務は、誰がやっても同じ結果を得やすいものを優先しましょう。

洗い出しの際も、現場の声を聞きながら進めていくことで、シェアリング後に業務の効率や質が落ちることを避けられます。

ワークシェアリングのマニュアル作成

ワークシェアリングを行う業務が決まったら、シェアリング専用のマニュアルを作成します。ワークシェアリングによって、これまでの作業手順とは異なる部分がでてきたり、注意すべき点が増えたりするかもしれません。

また、リーダーとなる人や指示系統、共有すべき情報についても、ワークシェアリングの対象者全員が把握・理解できるようにしておきます。

導入後の評価・進捗のチェック
ワークシェアリング導入後も、定期的に業務の進捗をチェックしましょう。ワークシェアリングの目標達成率や生産性の変化、従業員の負担・ストレスなどを細かくチェックします。

導入後のチェックでは、現場へのヒアリングも欠かせません。シェアリングに携わる従業員だけでなく、シェアリングを行った業務と関係・連携する業務がどのような影響を受けているかもチェックする必要があります。

ワークシェアリングの目的・目標が達成されていない場合は、その原因を分析してください。改善点を洗い出し、ワークシェアリングが企業のメリットになるよう調整しましょう。

ワークシェアリングの導入で活用できる助成金制度

助成金制度は、特定の要件を満たした事業主に国や自治体がお金を支給する制度です。ここでは、ワークシェアリングに利用できる助成金制度を紹介します。

時間外労働等改善助成金

「時間外労働等改善助成金」は、中小企業や小規模事業者が取り組む積極的な働き方改革を支援する助成金で、以下の5つのコースに分かれています。

・適用猶予業種等対応コース……時間外労働をなくしたり、週休2日制を進めたりする取り組みを行う企業が対象
・勤務間インターバル導入コース……長時間の連続した労働時間の改善を目的に、始業から終業までの間に、休憩時間を設ける取り組みを行う企業が対象
・労働時間短縮・年休促進支援コース……ワークライフバランスの維持を目的とし、労働時間の短縮や、有給休暇の取得率アップに取り組む企業が対象 
・団体推進コース……長時間労働の是正や職場環境の改善といった取り組みを行う、中小企業団体や事業者団体が対象
・労働時間適正管理推進コース……労働時間を適正に管理できるよう、環境整備に取り組む中小企業事業主が対象

ワークシェアリングと同時に取り組むことができるものがあれば、助成金の申請を積極的に検討しましょう。助成金について詳しく知りたい方は、厚生労働省の公式ウェブサイトをご確認ください。

働き方改革推進支援助成金|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html

雇用調整助成金

不景気や事業の不調などを理由に、事業活動を縮小しなければならなくなった事業主を対象とする助成金です。雇用維持を目的とした休業や教育訓練、出向などにかかる費用を助成する制度となっています。

休業や教育訓練を実施した場合はその相当額、出向の場合は出向元事業主の負担額に対する助成率(中小企業2/3、中小企業以外1/2)を受給でき、教育訓練は一人1日あたり1,200円が加算されます。

受給要件や上限額などについての詳細は、厚生労働省の公式ウェブサイトをご覧ください。

雇用調整助成金|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html

人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」は、職務に関連した専門知識や技能を習得させることを目的として、人材を育成する事業主を対象に訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

人材開発支援助成金では、「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「事業展開等リスキリング支援コース」「障害者職業能力開発コース」など、さまざまな状況や条件に合わせた8つの支援コースが用意されています。

ワークシェアリングと同時に人材育成を実施するなら、こうした助成金制度を利用できるかもしれません。

人材開発助成金制度について、詳しくは厚生労働省の公式ウェブサイトをご覧ください。

人材開発支援助成金制度|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

まとめ

ワークシェアリングは将来の人材不足を回避したり、優秀な人材をキープしたりする際にも利用できる方法です。ワークシェアリングのメリットを最大限に活かすためにも、現状把握と現場へのヒアリングをしっかり行いましょう。

タレントパレットでは、人事評価や最適配置に便利なツールが豊富に用意されており、ワークシェアリングのサポートが可能です。効果的なワークシェアリングをお考えの方は、タレントパレットへお気軽にお問い合わせください。

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