職場異動の目的とは?種類や注意点とともにスムーズに進めるコツを紹介


職場異動の目的とは?種類や注意点とともにスムーズに進めるコツを紹介

本記事では、企業に必要な職場異動について徹底解説します。職場異動は従業員のモチベーションやパフォーマンス等に大きく関わるため、人事担当者には入念な事前調査が必要です。職場異動でお困りの人は、ぜひ目を通してください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業では、職場異動は従業員の総合的なスキルアップやジョブローテーション等の理由から欠かせない制度となっています。しかし、実行するには多くのハードルが存在するので注意が必要です。

そこで本記事では、職場異動をうまく行うためのコツについて説明します。また職場異動の種類から、異動を成功させる注意点までわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

職場異動とは?


職場異動とは人事異動とも呼ばれ、企業が人事権を発動して従業員の配置や勤務条件を変更することを指します。一般的には配置転換と同じ意味で使われる言葉ですが、以下の意味を含む場合もあるようです。

  • 採用
  • 離職


ただし、企業内での職場異動は配置転換と同じと考えていいでしょう。また、職場異動は以下の2つの形態に分けられます。

  • 企業内:企業内部での職場異動
  • 企業間:出向・転籍など関連企業内での職場異動


職場異動は転居が必要なケースもあるので、離職のきっかけになるケースも考えられます。離職を防ぐためには、対象の従業員には職場移動の目的を明確にして一定の配慮を持って実施しましょう。

職場異動の目的は4つ

企業や組織が職場異動を実施する主な目的は、以下の4つです。

  • 経営戦略を実現するため
  • 社内の人材を育成するため
  • 組織のマンネリ化防止のため
  • 人材のスキルを管理するため


それぞれの職場異動の目的について詳しく解説します。

1.経営戦略を実現するため

企業が求める経営戦略を実現するには、それに合わせた組織づくりが必要です。そのためには、以下の手段が実行されます。

  • 部署の新設
  • 部署の廃止
  • 部署同士の統合


これらを実行するために行われるのが、職場異動です。職場異動は、貴重な人材を有効活用するための手段の1つになります。場合によっては新入社員や中途採用者を交えながら、新設部署には新たな人材を配置し、また統廃合する部署の人材を再編成して組織力の向上を図っているのです。

新規事業の立ち上げや事業の拡大、既存事業の縮小を実現する際は、職場異動は必要不可欠な戦略の1つと言えるでしょう。

2.社内の人材を育成するため

職場異動には、従業員の育成目的で実施される側面もあります。現代の企業は多様性のある人材育成に力を入れているため、ジョブローテーションを頻繁に実施しているところも少なくありません。

多面的な人材スキルを向上させるために、ジョブローテーション目的で職場異動を実施します。特に将来有望な人材は、様々な業務を経験して総合的なスキルを養うことが必要です。そのためジョブローテーションは、効果的なジェネラリスト育成ツールと言えるでしょう。

また今まで成績が上がらなかった従業員も、適材適所の配置によって能力を発揮するようになるケースもあります。このようにタレントマネジメントの一環として、職場異動を活用する企業も増えているのです。

3.組織のマンネリ化防止のため

組織のマンネリ化防止にも効果的です。同じメンバーで長年勤務していると、個人の技術スキルの向上やノウハウの組織蓄積が期待できますが、マンネリ化につながり好ましくない事態が発生するのも事実です。

  • 取引先との癒着などの不正リスクを招く
  • 組織の新陳代謝がなくなる
  • 業務の属人化が進む
  • 負担の大きい業務の場合、従業員の心身に悪影響を及ぼす


以上のデメリットが大きな影響となって現れる前に、定期的な職場移動によってマンネリ化を防止する企業も少なくありません。そのため組織を停滞させずに活性化するには、適切な職場異動が必要になるでしょう。

4.人材のスキルを管理するため

組織内のスキルバランスを保つためにも、職場異動は効果を発揮します。新規事業等の最優先事業には、事業成功のために優秀な人材を集結させる場合もあるでしょう。

しかし、組織内各部署間のパワーバランスには偏りがない方が企業全体の生産性は向上すると言われています。それを実現するには、各組織における人材スキルのアンバランス解消が最優先課題です。

企業内の職場異動

企業内の職場異動について、主な種類と概要を紹介します。今回紹介する職場異動は、以下の5種類です。

  • 昇進
  • 降格
  • 転勤
  • 部署異動
  • 職種変更


それぞれの職場異動の概要を解説します。

昇進

昇進とは、「主任から係長へ」「課長から部長へ」といったように、社内での役職が上がることを意味します。「昇進も職場異動なの?」と疑問に思われる人も多いでしょうが、役職変更は配置転換の1つであるため職場異動に分類されるのです。

職場異動としては最も頻繁に実施される方法であり、人事評価に基づく運用がなされます。昇進はサラリーマンの目標の1つですが、昇進して立場が変わった分、求められる業務の規模や責任は大きくなることには覚悟しておきましょう。

降格

昇進の逆に、降格される場合もあります。「部長だったのに課長に…」といったように、上位の役職から下位の役職に異動するケースもあるでしょう。

降格人事も昇進と同様に、職場異動の1つです。このような運用も人事評価による結果ですが、以下のようなネガティブな理由が挙げられます。

  • 業績の長期低迷による降格人事
  • 懲戒を理由にした降格人事


降格には給与の減給など多くのデメリットが発生するため、明確な人事評価ルールに基づく決定が必要です。

転勤

転勤とは、勤務地の変更を伴う職場異動を指します。おおむね転居を伴う職場異動を指しますが、必ずしも転居が必要になるとは限りません。

例えば新宿から渋谷への部署配置による転勤ならば、転居の必要はなく、私生活にも影響はないでしょう。しかし、転勤には様々な形態があるため転居が必要になって、さらに転勤先で業務内容が変更されるケースもあります。従業員に負担を強いる転勤を実施する場合は、慎重な対応が必要になるでしょう。

部署異動

部署異動とは、主に同じ事業所内で所属部署の配置転換となる異動を指します。総務部から経理部などのような部署異動を想像してもらえばわかりやすいでしょう。
部署異動はジョブローテーションを実施している企業では、定期的に行われる職場異動になります。また欠員補充を目的とした部署異動もあるなど、異動部署によって形態が異なる場合があるので注意しましょう。

職種変更

業務内容が変わる職種変更も職場異動の1つです。いくらジョブローテーションといっても、営業から総務といった極端な職種変更はまずないでしょう。

しかし、同じ部署内であれば同業務の知識やスキル向上を狙った職種変更は実施されています。例えば、営業職からマーケティング職などの職種変更が挙げられます。

企業間の職場異動

次は企業間の職場異動の種類を紹介します。企業間の職場異動として挙げられるのは、以下の2つです。

  • 出向
  • 転籍


この2つの職場異動は、今働いている企業から出て他の企業で働くため、職場環境や日常生活に大きな変化をもたらします。場合によっては、人生を左右する岐路に立たされることにもなりかねません。以下で詳細を解説しますので、よく目を通してください。

出向

出向は在籍出向とも呼ばれ、現在の企業に在籍したまま別企業で一定期間業務を担う職場異動になります。企業グループの関連会社への職場異動が多く、出向期間は3年前後が一般的です。しかし、出向期間は流動的で、途中で変更される可能性もあります。ただし、給与等の労働条件は現在と変わらず、同じ水準が維持できる点は安心できるでしょう。

出向が行われる目的は、若手など経験やスキルの乏しい従業員に自社ではできない経験を積ませて成長を図るケースもありますが、降格人事などネガティブな理由が影響する場合もあります。

転籍

転籍は移籍出向とも呼ばれ、異動先の企業と新たに雇用契約を締結して勤務する職場異動を指します。元の企業に戻れる可能性はほとんどなく、給与等の労働条件も移動先企業の制度が適用されるケースが一般的です。転籍は移動先の企業力アップを目的とする場合もありますが、出向と同じようにネガティブな理由が影響している場合もあります。

後者の場合は、転職を考える機会になるかもしれません。元の企業に籍がなくなって新たな雇用契約を締結するため、形式的には転職と変わりません。

  • 転職:自主的に別の企業に移ること
  • 転籍:職場異動の指示で別の企業に移ること


転籍を言い渡された場合は、慎重に検討するようにしてください。

職場異動を実施する際の注意点


職場異動は企業内に活性化をもたらし、人材育成にも効果を発揮します。しかし、職場異動がもたらすのはメリットばかりではありません。

企業としては歓迎できないデメリットが発生する可能性があります。そこで、デメリットへの対処で必要な注意点を紹介します。

  • 従業員の意欲が低下する可能性がある
  • 慣れるまで業務効率化が低下する可能性がある
  • 従業員に納得してもらえる目的を伝える

従業員の意欲が低下する可能性がある

職場異動が従業員にとって、歓迎される結果になるとは限りません。希望に添わない職場異動が時として、業務意欲のモチベーションを低下させる可能性もあるでしょう。

また、「現場のことが全然わかっていない」などとの反発を買う可能性もあります。この場合は部課所単位でのモチベーション低下だけでなく、企業へのエンゲージメントが低下する危険もあるので注意が必要です。

慣れるまで業務効率化が低下する可能性がある

職場異動は異動先で従来のパフォーマンスが出せず、業務効率が低下する可能性があります。新しい環境に慣れていないなら短期的なもので済むでしょうが、異なる業務を担う場合は期待したパフォーマンスが発揮されるまで時間を要するケースもあるでしょう。また異動後は同僚のサポートも必要になるため、組織全体の業務効率が低下する恐れもあります。

また、業務効率の低下は異動元でもあり得ます。そのため、異動先・異動元の双方から、苦情が出ないようなフォローが必須となるでしょう。

従業員に納得してもらえる目的を伝える

注意点に気をつければ、異動前のフォローで成功率を高められます。異動人事を伝えるだけでは、企業目的が従業員に伝わりませんので、適切な説明が必要です。

具体的には、職場異動を実施する目的を関係がある従業員に説明して、納得してもらいましょう。従業員のネガティブ意識を払拭して、ポジティブな気持ちで職場異動してもらうことが重要です。

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職場異動をスムーズに実施するポイント

職場異動を実施する際には、以下の3つのポイントに気をつけましょう。

  • 適材適所のためにデータ分析をする
  • ジョブローテーションを理解してもらう
  • 本人の希望を尊重する


不適切な職場異動は従業員のモチベーションを低下させるだけでなく、離職率を増大させる危険性がありますので、従業員への理解を求めることは非常に重要です。

適材適所のためにデータ分析をする

従業員の適正に合わない部署や業務への職場異動は成功する望みが薄いでしょう。適性外のことを無理やり押し付けるよりも、適正な業務に就けて能力を伸ばした方が従業員の能力を伸ばせます。

そのため職場異動を成功させるには、適正な人材配置が欠かせません。全従業員の個人スキルや性格データなどを収集・分析して職場異動の適材配置に努めましょう。

ジョブローテーションを理解してもらう

定期的な職場異動を伴うジョブローテーションを実施する際は、実施目的を従業員に理解してもらうことが重要です。ジョブローテーションは様々な部署や業務に携わることで、多様性のある人材育成が望めます。実施方法は多岐にわたるため、特定業務の知識やスキルを高めることも可能です。

ジョブローテーションは企業だけでなく、従業員のキャリアにもプラスに作用します。この点を理解してもらえば、従業員自身の自主性が増して異動後の職務も高いモチベーションで臨めるようになるでしょう。

本人の希望を尊重する

異動先は極力従業員の希望に添うようにしましょう。人は自分が希望することに従事させた方がモチベーションが上がります。全従業員の意向を尊重した職場異動は難しいでしょうが、極力希望に添った異動を心がけましょう。

また転居を伴う異動では、従業員の家庭状況への配慮も必要です。家族の健康問題等、問題を抱えている場合は、異動させても負担が大きくなるだけですので、適切な対応を心がけましょう。

まとめ

職場異動は人材能力を成長させて、企業力を底上げさせるために効果的な施策です。今後は多様性のある組織づくりを目的とする企業が、ジョブローテーションに取り組むようになるでしょう。

しかし、課題となるのが綿密な人材データの収集と管理です。この収集・管理にはあらゆる人事システムを活用できるタレントパレットがおすすめです。あらゆるシステムのデータを統合して分析できるので、適材適所の職場異動の実施が可能です。

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