人材戦略で事業戦略を優位に進めよう!具体的な計画の策定方法とは


人材戦略で事業戦略を優位に進めよう!具体的な計画の策定方法とは

日本では少子高齢化によって労働力人口が減少しており、人材の確保に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。優秀な人材を確保し、企業業績に貢献してもらうためには人事担当者が描く人材戦略が重要になります。この記事では、人材戦略の概要から具体的な計画の策定方法について紹介します。人材育成に悩んでいる人事担当者は参考にしてください。

人材戦略の概要

人材戦略とは企業が定めた経営計画を実現するために必要な人事面での戦略です。企業経営を成功に導くための重要な戦略のひとつで、人材戦略の良し悪しによって理想の企業として飛躍できるかどうかにも影響を与えます。経営計画を実現するためにはさまざまな施策を実行する必要がありますが、実際に行動に移すのはあくまでも社員です。
どれだけ優れたアイデアであっても、実行する社員に十分な実力がなくては絵に描いた餅になってしまいます。企業がもてる力を効率よく発揮するためには、人材戦略による適材適所の人員配置がカギになるのです。

人材戦略の主な種類

人材戦略は主に「人材育成」「配置転換」「採用」「定着率」の4つから構成されます。ここではそれぞれの特徴について解説していきます。

人材育成

人材戦略の基本となるのが、人材育成です。新卒、中途を問わず、どれだけ優秀な人材を採用しても、自社に合ったやり方を覚えてもらわなければ生産性の向上には貢献しません。育成には時間とコストの両方がかかりますが、社員が成長してくれればその数十年にわたって会社に貢献するでしょう。そのため、手間暇を惜しまずに育成に力を入れることが重要です

配置転換

優秀な人間を採用し、十分育成したとしても満足に力を発揮できないケースもあります。人間には誰にでも得手不得手があるので、そのようなときは配置転換も考慮しましょう。企業として生産性を向上させるためには、社員が一番力を発揮できる配置することが重要です。あまり優秀でないように思える社員も配置転換することで潜在能力が開花する場合もあります。

採用

人材戦略で最も重要ともいえるのが採用です。なぜなら、最初から求める人材を採用できれば、最小限の育成で会社に貢献してくれるからです。
ただし、採用する会社側に長期的なビジョンがないと、採用者と事業計画のミスマッチが起こる可能性もあります。採用においてはあらかじめ「どのような人材がほしいのか」を社内で打ち合わせをしておくことがポイントです。

定着率

育成した社員は、かけたコストからも、長く会社にいて欲しいものです。そうした「人財」が定年まで働いてくれるよう、戦略的に考える必要があります。ただし、社員が会社に対してどのように考えているかを逐一チェックするのは難しいことも現実です。知らない間に不満がたまっていて、それに気が付かないと、最悪のケースでは退職されるかもしれません。
定着率の低下に悩んでいる場合は、満足度調査を行うなどの方策を考える必要があります。

関連記事:採用管理システム(ATS)で人材確保をスムーズに!活用方法とそのメリットとは

人材戦略の立て方

人材戦略を考えようとしても、どのようにしたらいいか分からない人もいるのではないでしょうか。そこで、この段落では人材戦略を立てるときの流れについて紹介していきます。

まずは既存の経営戦略の確認から

どれだけ優秀な人材であっても、自社にマッチしていなければポテンシャルを十分に発揮することは困難です。経営戦略と育成した社員のスキルとの間にミスマッチが起こると、それまでにかけた経費や時間が無駄になるので、そのような事態はできるだけ避けなければいけません。
まずはその時点での競合他社との比較や経営状況を客観的に確認し、「自社が置かれている状況」をよく知ることから始めましょう。そのうえで問題点を見つけ出し、効率的に解決するための人材戦略を描くことがポイントです。

必要な人材の基準と人数を明確化する

問題点を見つけたら、次に「入社してほしい人材の人物像」や「人数」を決めましょう。このときのポイントは経営者や人事担当者の感覚だけで決めないことです。なぜなら、できるだけ明確化しておくことで、万が一失敗してもその後の判断材料になるからです。
人事は企業が続く限り行う必要があるので、将来的なことも見越して長期的な視野に立って考える必要があります。また、人数を判断するときのポイントは「通年で考えること」です。繁忙期を基準にせず、「一年を通してどれぐらいの人数が必要か」を検討しましょう。

課題を洗いだして目標を設定する

人材戦略について検討を進めていくと、自社の置かれた状況が分かるようになってくるはずです。その過程では理想とする状況と現実のギャップを感じることもあるでしょう。しかし、それはどうやったら改善できるかを考えるチャンスでもあります。
この段階までくると、社員のスキルや人数が不足している部署などの状況が明確になってくるので、改善するための目標を設定しましょう。その目標を達成するために、具体的な人材戦略を立案することになります。

具体的な人材戦略の立案

目標を設定したら、それを実現するための行動計画を策定します。具体的な行動計画としては、たとえば「採用方法の再考」「人事配置の見直し」などが挙げられます。立案した人材戦略はその分野を得意とする担当者を複数名選出し、割り振ることが重要です。すべてを一人の担当者が行うと、偏った施策になってしまいます。
なお、あまり高いハードルを設定すると実現が難しく、モチベーションが下がる恐れがあります。特に最初のうちは実現可能な範囲で立案したほうがよいでしょう。

人材戦略を成功へ導くには

人材戦略を成功へ導くためのポイントはタレントマネジメントや多様性を重視することです。そこで、これから人材戦略を考える人に向けてそれぞれの概要を紹介していきます。

人材データを活用する

自社の状況を正しく把握することは何より重要です。まずは正確なデータを入手しましょう。
また、人材戦略においては、採用、配置、評価のデータをバラバラに管理していては意味がありません。社員ひとりひとりの能力や状況を把握するには、社員IDに紐づけてすべてのデータを横断的に活用できるような環境を整える必要があります。
例えば配置で課題があり、他の分野に悪影響を与えていても、データを横断的に見られていなければそれに気づけないケースが考えられます。
人材データを揃え、人事戦略を正しく計画・評価できるようにしましょう。

タレントマネジメントを行う

タレントマネジメントとは、社員の能力を最大限に発揮できるような環境を整えてあげることを指します。たとえば、「研修会の実施」や「人事異動による配置転換」などが挙げられます。
効率的なタレントマネジメントができれば社員一人一人が持てる力を十分に発揮してくれるので、企業全体の生産性も向上するでしょう。結果的に新たな採用をしなくてすみ、人件費の抑制につながって企業業績に好影響を与える好循環が生まれるケースもあります。

多様性を重視する

人材戦略を描くときに陥りがちなことは、「同じような社員ばかりを集めてしまう」ことです。しかし、現代社会では女性の社会参加やグローバル経済が進んでいて、さまざまな人が働いています。そうした人たちを排除するような閉鎖的な職場には、優秀な人材は集まりにくいです。
また、個々の多様性を認めることで新しい価値観が生まれ、ビジネスチャンスにつながることもあるので、積極的に多様性を取り入れたほうがよいでしょう。海外と取引のある企業ならなおのこと重要で、外国人を積極的に採用することもひとつの方法です。

HRテクノロジーを活用することで、さまざまな切り口から組織と人材を見える化することが重要です。

人材戦略を導入した具体的な事例

これから人材戦略を考えるうえで、実例を参考にしたいという人もいることでしょう。ここでは、過去に人材戦略を策定して成功した具体例を2つ紹介するので参考にしてください。

ヤフー株式会社:ポテンシャル採用

ポータルサイトで日本屈指の知名度を誇る「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社では、2016年10月から新卒一括採用をやめ、ポテンシャル採用に変更しています。
新しい採用制度では新卒や第二新卒などの枠組みにとらわれず、30歳以下なら誰でも応募できるようにして通年採用も実施していることが特徴です。応募しやすい環境を整え、優秀な人材を幅広く募集しています。

伊藤忠商事株式会社:タレントマネジメントプロセス

経済のグローバル化が進む現代において、世界をまたにかけてビジネスをしている総合商社では、世界戦略を視野に入れた人材戦略が必要不可欠です。
伊藤忠商事株式会社では「タレントマネジメントプロセス」という人材戦略を構築し、企業に貢献する社員を獲得しています。導入にあたって目標管理制度を取り入れることで個々の役割を明確化し、目標に向かって邁進していける環境も整えていることが特徴です。

まとめ

人材戦略を進めていけば経営計画の実現に近づき、企業業績によい影響を与えてくれます。しかし、人材戦略を考えるうえでは客観的な評価が欠かせません。
プラスアルファコンサルティングの「タレントパレット」では、人材戦略を進めるうえでの客観的な評価が可能です。データ活用の視点からシステム設計がされており、360度評価はもちろん様々な評価形式に対応しているので、スムーズな人材戦略の立案に貢献することでしょう。効果的な人材戦略を検討中でしたら、ぜひ無料の資料をご請求ください。