人事領域の最大の課題は人材強化にある!7つの課題と解決プロセスまで詳しく解説


人事領域の最大の課題は人材強化にある!7つの課題と解決プロセスまで詳しく解説

人事課題は、人材確保・人事評価や労務管理などさまざまなものが挙げられます。本記事では、企業規模別の人事課題と対策や、組織における人事課題の洗い出し方を解説します。自社に合った人事課題の把握・対策法を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「人事に関する課題はどういうものがある?」「自社の人事課題を整理・解決する方法を知りたい」という方は多いのではないでしょうか。


新型コロナウイルスの流行や若年労働層の人口不足などにより、働き方が多様化しました。時代に即した労働環境の整備にあたって、人事部門は人材強化・労働環境の見直しなど、さまざまな課題を抱えています。自社の組織力向上のためには、企業の経営方針に沿った課題対策が必要です。


そこで本記事では、企業における人事課題と、自社の経営方針に沿った人事課題の解決プロセスを詳しく解説します。時代に即した人事課題を把握し、さらなる成長に向けた対策まで理解できますので、ぜひ最後までお読みください。


人事領域における最大の課題は人材強化である


人事領域における最大の課題は、人材強化です。具体的には、採用や育成、社会情勢の多様化への対応を指します。


日本能率協会によると、日本企業における人事領域の課題の第1位は、3年連続「人材強化」です。コロナ禍の影響で働き方は大きく変化しており、今後の事業安定やさらなる成長に向けて、人材強化の必要性が高まっていると考えられます。


特に、非製造業は人材強化への課題感が高い結果となっています。人材力の強化は、顧客満足度の向上や売り上げ・シェア拡大につながるためでしょう。


参照元:一般社団法人日本能率協会 日本企業の経営課題2022年


また、2022年8月には国から人的資本に関する情報開示が求められ、人材強化は避けられない課題となりました。人的資本可視化指針の背景には、「人材戦略に関する説明」を期待している投資家の存在があります。


今後必要とされるのは、経営戦略と人材戦略の関連性を分かりやすく示す「人的資本の可視化」です。社員一人一人の価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上につながる経営が求められるでしょう。


参照元:経済産業省 人的資本経営とは


企業が抱える人事課題7選


一言で人事課題といっても、企業の数だけさまざまな課題が存在します。この章では、多くの企業が抱える人事課題について解説します。


管理職層のマネジメント能力の向上


企業を取り巻く環境が変化する中、管理職層のマネジメント能力の向上は非常に重要です。近年、デジタル技術の加速化・経済活動のグローバル化など、社会環境は大きく変化しています。企業競争が激しくなる中、経営戦略の実行を担う管理職層の役割が、より重要視されています。

また、個々の社員と接点が多い管理職は、現場と経営者層との橋渡し的な役割があります。組織力を向上させるためには、管理職による個々の社員へのキャリア形成サポートが必要です。

とはいえ、リモートワークの浸透によって、管理職層が部下を育成する機会が減少しています。今後、管理職層のマネジメント能力の向上支援や、部下の育成に関わる時間確保が必要とされるでしょう。

制度の改革


時代の変化に合わせて組織力を向上させるためには、制度の改革が課題となります。具体的には、人事評価や処遇制度の見直し・組織風土の改革が必要でしょう。


近年における労働環境の見直しや変化には、以下のようなものが挙げられます。


  • ジョブ型人事制度の導入
  • 兼業・副業の容認
  • 新卒一括採用の見直しなど


ジョブ型人事制度とは、担当する職務や役割に基づいて評価・処遇を決定する人事制度です。今までの日本では男女分業の家族モデルが標準でしたが、社会・経済、ビジネスの変化によって、従来の雇用システムを見直すべきという声が高まっています。


特に、デジタル化の推進や脱炭素化の影響によって、次のようなビジネスモデルの転換が求められています。


  • 適量生産
  • 適量消費
  • 適正価格


上記のようなビジネスモデル構築のためには、組織の革新力を高めるジョブ型人事制度の導入が必要です。とはいえ、新制度の導入準備や定着のためには、時間的余裕や自社に適しているかの判断が欠かせません。


制度改革のほか、多様な人材が活躍できる組織風土の改革が課題のひとつです。テレワークの普及によって、上司や社員のコミュニケーションの機会が減少し、社員の意欲低下が懸念されます。社員の実態を把握し、組織風土を改革することが必要です。


人事制度改革について詳しく知りたい方は、別記事「人事制度改革」をあわせてご確認ください。


次世代経営層の発掘と育成


経営環境がグローバル化する中、次世代経営層の発掘と育成が重視されています。グローバル競争の中で持続可能な組織力を持つためには、次世代リーダーの発掘・育成に取り組む必要があるでしょう。併せて、経営戦略と人材戦略を連動させることが重要です。


すでに多くの大企業は、次世代リーダー育成プログラム(NLP)に取り組んでいます。例えば、世界各国に商品・サービスを提供する日産自動車株式会社では、グローバルでの「企業の魅力向上」のために、以下のNLPに取り組んでいます。


  • ハイポテンシャル人材の発掘やグローバル研修など
  • 日本人ビジネスリーダー育成の強化
  • 連続的な人材育成の仕組み


特に強化している点は、日本人ビジネスリーダー育成です。新卒採用段階でハイポテンシャル人材の採用を強化し、入社数年目でリーダー候補を発掘・育成、40代でリーダーポストに着任できる体制を構築しています。


参照元:経営リーダー人材育成の各企業の取り組み(日産自動車株式会社)


また、上場企業のコーポレートガバナンス(企業統治)コードでは、経営人材の後継者計画の策定が求められています。コーポレートガバナンスコードは、上場企業統治において、ガイドラインとして参照すべき原則・指針です。


今後の社会情勢の変化や不測の事態にも対応できるよう、次世代経営層の発掘・育成に取り組むことが大切です。


優秀人材の獲得


若年労働層の人口不足が続く中、優秀人材の獲得が課題となるでしょう。また、既存社員のスキルや適性を見極め、戦略的な組織運営が必要です。


近年、AIやロボティクスにより、業務内容や求められるスキルが変化しています。デジタル化によって、既存の事業が時代にそぐわなくなったケースもあるでしょう。時代の変化に対応する人材確保や、既存社員の育成に力を入れる必要があります。


効果的な組織体制の設計


リモートワークが広がる中、組織力向上のためには、効果的な組織体制の設計が課題です。これまでの日本型雇用コミュニティは、メンバーが変わらないクローズドな環境にありました。

今後求められるのは新卒だけでなく、次のような多様性のあるコミュニティです。

  • 中途
  • 再入社
  • 業務委託


まずは、さまざまな人材を自社に惹きつける体制作りが大切でしょう。また、個人のスキルや専門性を最大限に引き出せる組織体制が求められます。

多様な人材の活躍推進


女性をはじめ、多様な人材の活躍推進は、企業の成長にとって欠かせません。人材の多様性には、具体的に以下のような要素が含まれます。


  • 性別
  • 年齢
  • 人種
  • 国籍
  • キャリア
  • 経験


経済産業省では、ダイバーシティ経営を推進しています。海外進出や男性社員の比率が高い製造業などでは、グローバル人材や女性社員の育成・登用も課題となるでしょう。


2021年に施行された高年齢者雇用安定法によって、70歳までの雇用・就業機会の確保が努力義務となりました。企業側としては次のような課題が考えられるでしょう。


  • 高齢者の活用方針
  • 高齢者の労務管理
  • 風土改革など


個々の人材が特性を活かして働けるよう、適材適所への人材配置や労務環境の整備が必要です。


労働時間の適正管理


企業において必要とされるのは、労働時間の適正管理です。育児や介護との両立・健康状態など、社員一人一人の事情は異なります。個々の事情に応じて、柔軟な働き方を選択できる環境づくりが重要です。

「働き方改革関連法」では、次のような制度を設けています。

  • 時間外労働の上限規制
  • 年次有給休暇の確実な取得
  • フレックスタイム制の拡充など


参照元:「働き方改革関連法」の全体像

魅力ある職場づくりのためには、労働時間や日数の適正管理が不可欠でしょう。

人事課題を解決するための7つのプロセス


人事課題を解決するために、まずはプロセスを組み立てる必要があります。この章では、人事課題の洗い出しから解決策の実行までのプロセスを解説します。


自社の経営戦略を再確認する


まず、プロジェクトメンバーを決め、自社の経営戦略を再確認しましょう。自社の全体目標や成果を明確にすることが重要です。

また、部署の目標や成果を明確にします。まだ明確な目標が決まっていない場合は、決定しましょう。

現状を分析する


自社全体や部署の目標が確認できたら、現状を把握し、課題の洗い出しと分析を行います。プロジェクトメンバーや管理職だけでなく、現場の意見も取り入れることが大切です。会社の内部・外部環境を把握し、想定されるリスクを洗い出しておきましょう。

例えば、外部環境として「デジタル化と脱炭素化が進展」すると、AIやロボットで代替しづらい人材確保や人材育成が必要なことがみえてきます。既存社員にはどういったスキルや特性があるのか情報を把握し、一元化しておくと良いでしょう。

人材データベースについて詳しく知りたい方は、別記事「人材データベース」をあわせてご確認ください。

課題の絞り込みを行う


自社の最終的な目標(あるべき姿)と現状とのギャップを分析し、課題を洗い出します。課題を絞り込み、優先順位を決定しましょう。

例えば、部署に必要な能力のある人材が不足している、業務遂行のためのマンパワーが不足しているなどの課題を明確にすれば解決策が導きやすくなります。

課題を解決するための計画を立てる


課題を絞り込めたら、実際に課題を解決するための計画を立てます。必要な期間、評価のタイミングを決めます。

また、責任者や実行者などの役割分担や責任範囲を明確にすることも大切です。具体的な目標値や、取り組み内容を明確にしておくと良いでしょう。

例えば、人材不足の場合は「いつまでに、どのような能力を持つ人材を、何人、どの部署に」採用するなどです。

解決策の実行・評価を行う


計画に沿って解決策を実行し、評価を行いましょう。想定より効果が出ていない場合は、修正・補足します。

また、随時進捗状況・達成度を確認し、効果の確認や検証を行うことも大切です。残された課題はないか、解決できなかった理由はなぜか、などの評価を行うと良いでしょう。

計画の改善を行う


解決策の実行・評価後、残された課題については、計画の改善や実行が必要かどうか検討します。修正や補足が必要だった場合、計画の改善を行います。

課題解決のプロセスを継続的に実行する


課題解決のプロセスは、継続的に実行することが重要です。課題解決は、自社の経営目標や戦略を明確にした上で、以下のサイクルを繰り返します。

  • 計画立案
  • 実行
  • 評価
  • 改善


会社経営は時代の流れに即したものでなければなりません。人事戦略の見直しや課題の解決は、長期的な視点で行うことが大切だといえるでしょう。

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人事課題のまとめ


人事課題解決のためには、自社の経営方針に沿ってPDCAを回すことが重要です。社会・経済状況は着々と変化し続けているため、今後も時代の流れに合わせた環境整備・人事管理が求められます。


とはいえ、時代の変化に対応するのは簡単なことではありません。ITツールの活用によって、課題解決の効率化・組織力の向上が期待できるでしょう。


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