【トライアル雇用】仕組みや助成金申請の流れをわかりやすく解説!


【トライアル雇用】仕組みや助成金申請の流れをわかりやすく解説!

トライアル雇用とは、職務経験や技能の不足などの理由がある求職者をハローワークなどが企業に紹介し、試行雇用期間を経て無期雇用に移行することを支援する制度です。

制度の基本的な仕組みやメリット・デメリット、注意点などを詳しく紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


トライアル雇用とは、職務経験や技能の不足などの理由がある求職者をハローワークなどが企業に紹介し、試行雇用期間を経て無期雇用に移行することを支援する制度です。求職者と企業の双方にとってミスマッチを防ぎ、トライアル雇用を実施する企業は助成金を受け取れるというメリットがあります。


この記事では、トライアル雇用の基本的な仕組みやメリット・デメリット、注意点などを詳しく解説します。


トライアル雇用とは雇用制度の1つ

トライアル雇用とは、職業経験や技能が不足しているなどの理由で就職が困難な人、これまで経験がない職業に就くことを希望している人に対する国の就職支援制度です。ハローワークなどが求職者を企業に紹介し、試行雇用期間を経て無期雇用に移行することを目的としており、制度を実施した企業に対して国から助成金が支給されます。


採用活動におけるミスマッチを防げるというメリットがあり、企業としても求職者の採用を前向きに取り組みやすくなります。原則として3ヶ月間の試行雇用期間を設けられるので、求職者の適性をじっくりと見極められるので、採用活動におけるリスクを軽減できます。


試用期間後は本採用が前提

通常の雇用契約における試用期間は、試用期間が終了した後に本採用を行い、長期雇用契約を結ぶことを前提としている点が挙げられます。そのため、労働者の能力やスキルに関わらず、あくまで業務に慣れてもらうための期間として、試用期間を設けているケースが多いといえます。


一般的に、試用期間は1~6ヶ月の間で設定することが多いですが、近年では3ヶ月に設定する企業も多くなっています。企業は試用期間中であっても、労働者を簡単に解雇することはできません。


解雇の手続きを行うときは、通常の解雇と同じように30日前に解雇予告を実施するか、それに相当する給与を支払う必要があります。


トライアル雇用でクビになるのは本当?

トライアル雇用はハローワークなどが紹介する求職者を原則として3ヶ月間、試行雇用して労働者と企業の双方が納得したうえで、常用雇用に移行する制度です。トライアル雇用期間中の契約は有期雇用契約であるため、企業は自らの判断で契約を継続するか、終了するかを決められます。


そのため、試行雇用期間が満了すると同時に契約解除とすることも可能であり、企業側の判断が重視されるといえます。


トライアルコースは主に一般と障害者の2つ

トライアル雇用には、「一般トライアルコース」と「障害者トライアルコース」の2種類の仕組みが設けられています。各コースには違いがあるので、それぞれのコースのポイントを解説します。


最長3ヶ月の一般トライアルコース

一般トライアルコースは、求職者を雇い入れた日から数えて最長3ヶ月間は助成金の支給を受けられます。支給対象者1人あたりの最大支給額は、月々4万円となっており、月額合計が一括で支給されます。


トライアル雇用期間中に支給対象者が離職をしたり、正規雇用に移行したりした場合、休暇・休業などの期間がある場合は就労した日数をもとに計算した金額が支給されることになります。


障害者を雇う障害トライアルコース

障害者トライアルコースは、障害者を試行雇用するときに適用される制度であり、一般トライアルコースと同様にハローワークなどの紹介が必要になります。制度の目的としては、障害者と企業のマッチングを生み出すことで、継続的な雇用を生み出す点が挙げられます。


障害の種類によって、トライアル雇用期間の長さが異なり、3~12ヶ月の試用期間中に最大で月々4~8万円が支給されます。また、障害者短時間トライアルコースという制度も設けられており、対象は発達障害者と精神障害者で、週20時間以上の就労が難しいときにこの制度を利用できます。


なぜ企業はトライアル雇用を設定すると良いの?


トライアル雇用の制度を活用することで、企業・求職者の双方にメリットがあります。ここでは主に、求職者側のメリットについて解説します。


給料をもらいながらお試しで働くことができる

本格的に働く前に、職場の雰囲気や実際の業務を体験できるため、トライアル雇用制度を利用することで、自分の適性に合った仕事であるのかを見極めやすくなるでしょう。トライアル雇用期間中は給料が支給されるため、働きながら取り組んでいける仕組みだといえます。


ブランクがある方でも応募できる

トライアル雇用は労働意欲があるにも関わらず、様々な事情から就業機会が失われていた方が活用しやすい仕組みです。経験のある仕事であっても、ブランクがあると就職をためらってしまいがちですが、トライアル雇用の場合はあくまで試行雇用なので挑戦しやすいでしょう。


未経験でも新しい職種にチャレンジしやすい

企業がトライアル雇用制度を活用することで、求職者は未経験の職種でも応募しやすいといったメリットがあります。新たな業界で働くことを希望される方にとって、ピッタリの制度だといえます。


トライアル雇用を導入するには?

企業がトライアル雇用を導入するには、所定の手続きを踏まえる必要があります。導入の主な流れは、以下のとおりです。


トライアル雇用を導入する方法

1.公共職業安定所(ハローワーク)を通じて、求人票を提出する

2.ハローワークから求職者の紹介を受ける

3.求職者と面接を行い、採用条件などを決める

4.求職者と有期雇用契約を締結する

5.トライアル雇用の実施

6.2週間以内に「実施契約書」を作成する

7.2ヶ月以内に「トライアル雇用結果報告書」を作成し、ハローワークもしくは労働局に提出する

8.所定の助成金が支給される


トライアル雇用のメリット

トライアル雇用を実施することで、企業は多くのメリットを得られます。主なメリットとして、次の5つの点が挙げられます。


トライアル雇用を企業が実施する5つのメリット

・助成金を採用コストに当てられる

・雇用者の適正を判断できる

・書類選考の必要がない

・トライアル雇用期間が終わると断ることもできる

・助成金が支給される


それぞれのメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。


助成金を採用コストに当てられる

企業がトライアル雇用を実施する一番大きなメリットは、助成金を活用することで採用コストを抑えられるという点が挙げられます。企業が採用活動を行うときには、求人広告を出稿したり、説明会を実施したりする必要があります。


ハローワークなどを通じて求職者を紹介されるため、採用に関するコストが圧縮でき、さらに支給される助成金を活用することで、採用コスト全体を抑えることができます。


雇用者の適性を判断できる

トライアル雇用期間中は、労働者に実際の業務を体験してもらうことができるため、どの程度の適性を備えているかを見極められるでしょう。最長3ヶ月間の試行期間を設けられるので、じっくりと適性を判断でき、採用のミスマッチを未然に防ぐことにつながります。


書類選考の必要がない

通常の採用活動の場合、採用に至るまでにそれなりの時間を必要とするケースが多いでしょう。しかし、トライアル雇用ではハローワークなどを通じて求職者を紹介してもらえるので、採用までにかかる時間を短縮できます。


事前に募集条件に合った求職者を紹介されるため、企業側は面接だけを行えば良く、書類選考を実施する必要がありません。そのため、採用までにかかる時間を短縮できるといえます。


トライアル雇用期間が終わると断ることもできる

通常の採用活動であれば、試用期間が終了すると本契約が前提となるので、簡単に解雇をすることができません。試用期間中であっても、事前に解雇予告を行うなどの対応が必要で、企業側の負担が大きくなる場合もあります。


一方、トライアル雇用では期間が満了すれば、企業は自らの判断で契約解除か継続雇用かを決められます。継続雇用を断る場合も、負担をかけずに断りやすいのがメリットです。


助成金が支給される

トライアル雇用では、要件を満たすことで国から助成金が支給されるので、企業負担を軽減できます。通常の試用期間内であれば、企業は労働者に支払う給料を全額負担する必要がありますが、トライアル雇用制度を使えば、助成金によって給料の一部をまかなうことが可能です。


トライアル雇用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

トライアル雇用は制度の基本的な仕組みを理解したうえで活用すれば、企業の採用活動・人材確保という面において様々なメリットがあります。通常の試用期間とは異なり、契約満了時にそのまま解除することもできるため、採用面での負担を軽減しながら、自社に必要な人材を見極められるでしょう。


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トライアル雇用のデメリット

トライアル雇用を企業が導入するメリットはたくさんある一方で、気をつけておきたいデメリットも少なからず存在します。トライアル雇用を導入するデメリットとして挙げられるものは、次の5つです。


トライアル雇用を導入する5つのデメリット

・書類作成の手間がかかる

・指導マニュアルを整える必要がある

・従業員が育つのに時間がかかる

・異業種から転職の場合指導の負担が増える

・助成金支給は手続きをしなければならない


各デメリットについて、注意しておきたい点を解説します。


書類作成の手間がかかる

トライアル雇用を実施するには、申請手続きや計画書の作成、結果報告書の提出などの事務的な負担が発生します。トライアル雇用を通じて雇用した労働者の数が多くなれば、その分だけ担当者の負担が大きくなり、人員の少ない企業にとっては負担となることが考えられます。


指導マニュアルを整える必要がある

トライアル雇用を実施するためには、指導マニュアルの整備も必要になります。求職者は就業経験が乏しかったり、休職期間が長かったりするため、業務に関する知識やスキルを体系的に身につけさせるための教育体制の整備が不可欠です。


求職者に安心して働いてもらうための体制づくりに時間や手間がかかることを念頭に置いておきましょう。


従業員が育つのに時間がかかる

トライアル雇用では、業界未経験者や異業種からの応募が多いため、従業員が自立して業務に取り組めるまでに一定の期間を必要とすることもめずらしくありません。既存の従業員が指導・教育にあたることで、一時的に組織全体のパフォーマンスが低下することもあるでしょう。


トライアル雇用とはいっても、人材戦略の一環として中長期的な視点で人材育成の計画を立てておく必要があります。


異業種から転職の場合指導の負担が増える

トライアル雇用は最長3ヶ月間の試行期間が設けられているため、指導を担当する従業員の負担が重くなるといった傾向が見られます。特に異業種から転職した求職者の場合、一から業務を教えなければならず、指導役の負担軽減に配慮する必要があります。


人材活用に役立つツールを導入するなどして、継続的に支援できる仕組みを整えることが大切です。


助成金支給は手続きをしなければならない

トライアル雇用を実施することで助成金が支給されますが、そのためには申請手続きを行う必要があります。初めて申請を行うときは、手続きの煩雑さに負担を感じてしまうこともあるでしょう。


トライアル雇用の助成金の申請方法


トライアル雇用の助成金を受け取るには、所定の条件をクリアしたうえで、支給額を計算する必要があります。申請手続きを行うときのポイントを解説します。


奨励金と事業主の条件

トライアル雇用では、以下の条件を満たした事業主に奨励金が支給されます。条件を満たしていないときは申請手続きを行えないので注意しましょう。


奨励金を受け取る事業主の条件

・1週間あたりの所定労働時間が30時間(日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の方は20時間)を下回らないこと

・一定期間解雇をしたことのない事業主であること


支給額の計算方法

奨励金は支給対象者1人あたり、「月額最大4万円×3ヶ月」が支給されます。対象者が母子(父子)家庭である場合は、「月額最大5万円×3ヶ月」となります。


ただし、労働者本人の離職や正規雇用への移行などの理由、休暇・休業などによって就労していない期間があるときには、実際に就労した日数に応じて計算するので注意しましょう。


奨励金申請までの流れと注意点

トライアル雇用の奨励金を受け取るための申請手続きは、以下の流れに沿って行います。奨励金が支給されるのは、トライアル雇用が終了してからとなるので気をつけておきましょう。


奨励金を受給するまでの流れ

1.求人票を作成し、奨励金の支給希望をハローワークに伝える

2.ハローワークからの紹介のあった求職者の面接を行う

3.トライアル雇用を実施し、雇い入れ日から2週間以内に実施計画書をハローワークに提出する

4.トライアル雇用期間が終了

5.トライアル雇用終了から2ヶ月以内に奨励金支給の申請手続きを行う

6.所定金額が1ヶ月単位で支給される


トライアル雇用申請時の注意点

トライアル雇用を実施するには、あらかじめ定められた条件をクリアしておく必要があり、場合によっては対象外となることもあるので注意しましょう。どのような点に気をつければ良いかを解説します。


過去6ヶ月以内の離職をチェックする

トライアル雇用を実施した日の前日から数えて、過去6ヶ月以内に事業主都合で従業員を解雇したことがある事業主は、トライアル雇用の対象外となります。そのため、トライアル雇用の申請手続きを行うときは、直近の離職者の状況をきちんと確認しておきましょう。


助成金は適切に受け取っているか確認する

過去5年間において、助成金の不正受給を行った事業主もしくは不正受給に関与した役員などがいる場合は、トライアル雇用の対象外とされています。トライアル雇用の申請手続きを行うときは、過去5年間にさかのぼって助成金の受給状況をチェックしてみましょう。


トライアル対象外になる企業もある

先に述べたように、以下の理由に当てはまる企業はトライアル雇用の対象外となります。


・過去6ヶ月の間に従業員を解雇した企業

・不正受給などの行為を行い、助成金の支給が取消となった企業


トライアル雇用の申請条件に当てはまるかは、社内できちんとチェックを行い、ハローワークに申請をする際にも確認を行ってもらいましょう。トライアル雇用の要件を満たさずに求職者を受け入れてしまうと、後からトラブルとなる原因になるので注意が必要です。


トライアル雇用を成功させるには?

トライアル雇用の期間が満了となった場合、本採用を行うかどうかは企業の判断に委ねられます。しかし、ハローワークが公表しているデータでは、トライアル雇用を通じて正規雇用された人が約80%となっています。


雇い入れた当初は職業経験が少なく、技能が足りていなかったとしても、トライアル雇用期間中に企業側が設定した知識や技能を身につけた方は多くの場合で本採用につながっているといえるでしょう。企業側としても、せっかくトライアル雇用を実施するなら求職者に定着してもらいたいと考えるものです。


トライアル雇用を成功させるポイントについて、さらに見ていきましょう。


求職者との面接、面談を丁寧に行う

トライアル雇用を通じて最初に求職者と出会うのは、面接の場面です。本採用につながる人材を見つけるには、求職者にとっても働きやすい職場だと実感してもらう必要があります。


そのため、面接では求職者の質問にしっかりと答え、丁寧な対応を心がけましょう。また、トライアル雇用を実施している期間中も、定期的に面談を行うなどして業務に対する不安や悩みを一緒に解消していくことが大切です。


本採用を見据えて求職者と接する

本採用を念頭にトライアル雇用を行う場合、将来の労働条件や保険などについてきちんと理解を図っておく必要があります。「継続して働きたい」と労働者が感じてくれれば、本採用に結びつきやすいといえるでしょう。


逆にいえば、働く条件や福利厚生といった部分を曖昧なままにしていては、労働者が継続して働こうとは考えにくいでしょう。労働者の目線に立ったアプローチを検討し、必要に応じて労働環境を整備していくことが大切です。


まとめ

トライアル雇用は国が設けている制度であり、職歴が浅かったり、仕事のブランクが長くあったりする方が就労しやすいように後押しをする就業支援制度です。企業が制度を活用するには申請手続きを行ったり、労働者の指導・教育を行ったりする必要がありますが、一方で支給条件を満たせば助成金を受け取れるため、採用コストなどを抑えられます。


デメリットよりもメリットの方が上回る制度であるため、積極的に活用してみましょう。さらに、トライアル雇用で雇い入れた人材を本採用に結びつけるには、人材管理にも役立つ「タレントマネジメントシステム」を導入してみるのも有効な方法です。


タレントマネジメントシステムは、人材データを一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムを指します。対象者のスキルや保有資格、経歴などのデータを可視化できるので、適性のある人材であるかの見極めに役立つはずです。


また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるため、本採用後の人材活用にも活用できるでしょう。


トライアル雇用を実施する際は、ぜひタレントパレットのご利用を検討してみてください。


タレントパレットのHPはこちら