リスキリングが注目されている理由と取り組むメリット4選!実行方法や注意点も紹介


リスキリングが注目されている理由と取り組むメリット4選!実行方法や注意点も紹介

リスキリングの導入方法を知りたい方は多いのではないでしょうか。リスキリングとは、社員に新しいスキルを習得させることで、近年注目を集めています。本記事では、リスキリングのメリットや導入方法を解説します。成功すれば、業績アップなどが期待できるため、ぜひ最後までお読みください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

 

「リスキリングの具体的な導入方法が知りたい」「社員に新しいスキルを習得させて、生産性を上げたい」このようなお悩みをお持ちの方がいるのではないでしょうか。

 

リスキリングとは、社員に新しいスキルを習得させることです。近年では、働き方や社員の意識が変化した影響から、リスキリングに視線が注がれています。リスキリングに成功すれば、企業にとってメリットが大きいですが、対象社員に負荷がかかります。負担を軽減するためには、適切な方法でリスキリングを行うことが重要です。

 

そこで本記事では、リスキリングのメリットや導入方法について解説します。該当社員の負担をできるだけ下げながら、効率よくリスキリングを行う方法が分かる内容になっております。リスキリングを行い、生産性を向上させたい方は、ぜひ最後までお読みください。

リスキリングとは社員に新しいスキルを習得させること

リスキリングとは、社員に新しいスキルを習得させることです。社員を新しい部署に配属させたときや、現在の業務で必要になるスキルを習得させるために行います。リスキリングは、再教育の機会を与える会社側の視点が強い言葉ですが、実際に学ぶのは社員です。

 

社員に主体性がなければ、スキルの獲得が達成できません。そのため「学ばせる・学ぶ」の双方の視点で考える必要があります。

OJT・リカレント教育との違い

ここでは、リスキリングがOJTやリカレント教育とどう違うのかをそれぞれ解説します。違いをきちんと把握して、リスキリング施策を正しく実施しましょう。

リスキリングとOJTの違い

OJTとは、実際にある仕事で必要になるスキルを習得することです。業務を通して、スキルを習得することが目的です。一方でリスキリングは、現在できる人がいない業務や存在しない仕事をするためのスキル習得を指します。リスキリングでは、新しい業務に必要なスキルを把握し、社員を教育する必要があります。

リスキリングとリカレント教育との違い

リカレント教育とは、学び直しによって習得したスキルを現場に活かすことに重点においた育成方法です。リスキリングは企業が先導して行いますが、リカレント教育は社員自身の意思で受けるという違いもあります。

またリカレント教育は、職を離れて学習することを前提とされている点も、大きな違いです。日本では職を離れずに学習するケースもありますが、一般的には休職などを伴って学び直します。一方で、リスキリングは、業務と同時進行でスキル習得を促します。

リスキリングが注目されている3つの理由

ここでは、リスキリングが注目を集める3つの理由について解説します。

  • DXの推進に対応するため
  • 多様な働き方を実現するため
  • リスキリングの必要性が発信されたため


これからリスキリングを活用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

DXの推進に対応するため

リスキリングが注目されるようになったのは、DXの推進に対応するためです。DXとは、デジタル技術を導入して、ビジネスモデルの創造や業務の流れの改善などを実施することです。新たなデジタル技術を活用している企業が市場に参入してきた場合は、ビジネスモデルが大きく変わる可能性があります。変化に対応するためのスキルを身につけておく必要があるという理由から、リスキリングが注目を浴びています。

小売業や自動車産業では、すでに新しいデジタル技術を持つ企業が参入してきているのが現状です。DXの推進により、業界で大規模な変化が起こる可能性が高まってきています。将来的に必要になるスキルを今のうちに身につけるために、リスキリングが重要だとされています。

多様な働き方を実現するため

多様な働き方の実現が、リスキリングが注目を集めている理由です。近年では、新型コロナウイルス感染者が流行ったことにより、人との接触を避けることを余儀なくされました。オンライン会議やテレワークを行うことになり、今までとは違うやり方に対応できない人も増えたのが実情です。

スキルを身につけておけば、会社に出社しなくてもテレワークで仕事ができます。予期せぬ事態が起こったときの対処法としても、リスキリングでのスキルの習得は重要になるでしょう。

リスキリングの必要性が発信されたため

リスキリングの必要性が発信されたことが、注目される背景になっています。2020年に開かれた世界経済(ダボス)会議で、リスキリングの必要が発表されました。「2030年までに地球の人口の中で10億人に良い教育やスキル、仕事を提供する」と公表されました。

また日本では、経団連が2020年11月に表明された「新成長戦略」で、リスキリングが必要な理由について触れています。さらに岸田総理が2022年10月に、リスキリングを支援する制度を総合政策の中に組み込む考えを表明しました。近年では、リスキリングの必要性が高まっていると言えます。

リスキリングに取り組むメリット4選

ここでは、リスキリングを行う4つのメリットについて解説します。

  • 社員のエンゲージメント向上が期待できる
  • 社員が自発的に行動できるようになる
  • 業務効率化につながる
  • 採用・育成コストを削減できる


リスキリングを行う前に、メリットを把握しておきましょう。

社員のエンゲージメント向上が期待できる

企業がリスキリングで学びの機会を与えて、キャリア形成の支援を行えば、エンゲージメントのアップが期待できます。エンゲージメントとは、社員の企業に対しての帰属意識や信頼感のことです。エンゲージメントが高いと、離職率の低下や社員の企業に対しての貢献度アップにつながります。エンゲージメントが上がれば、生産性が向上し、結果として業績アップも見込めます。

社員が自発的に行動できるようになる

社員が自発的な行動をとるようになることも、リスキリングを実施するメリットです。企業がリスキリングを促進した場合、対象社員以外の人の行動も促せます。新しいスキルを身につけて活躍する社員が出てくると「自分もやってみたい」と考える人が増えるためです。相乗効果で社員のスキル向上につながり、イノベーティブな組織に変化するきっかけになります。

業務効率化につながる

リスキリングで獲得したスキルをDXなどに活かせば、業務の効率化が期待できます。例えば、業務を効率化することで、社員にとって以下のようなメリットがあります。

  • 新しい業務・事業に時間を割ける
  • 残業が少なくなる
  • ワークライフバランスがとりやすくなる


新しいことに挑戦する機会が増えたり、残業が少なくなったりと、社員にとってメリットが大きいです。企業と社員双方の満足度を高めるためにもリスキリングの取り組みは有効です。

採用・育成コストを削減できる

リスキリングに取り組み、既存の社員を育成することで、新規採用するよりもコストを下げられます。もともと事業に関する理解がある社員にリスキリングを行うと、新しく身に付けたスキルや知識を業務に活かしやすいです。

元からスキルや知識を持った外部人材を採用するのも手段の一つですが、社内のルールや仕事の進め方を覚えてもらうのに時間がかかります。リスキリングを社内で促進すれば、スムーズに仕事を進められるようになるでしょう。

近年では、少子高齢化の影響で新たな人材の獲得が難しくなっているのが実情です。社員を育成し、会社の利益増大を図るなら、タレントマネジメントの取り組みも必要になります。タレントマネジメントとは、社員のスキルや経験などの情報を一元管理することです。

社員一人ひとりの個性を最大限に引き出し、さらなる生産性の向上を図りましょう。タレントマネジメントについて詳しく知りたい方は、タレントマネジメントを解説した記事もあわせてご確認ください。

リスキリングの実行方法4ステップ

ここでは、リスキリングの進め方を以下の4ステップで解説します。

  • 習得させるスキルや対象社員を決める
  • プログラムを立案する
  • プログラムを実施する
  • 習得したスキルを業務に活かす機会を与える


リスキリングをどのような手順で実施すればよいのかわからないという方は、ぜひ参考にしてください。

習得させるスキルや対象社員を決める

リスキリングに取り組む際は、習得させるスキルや対象社員を決めましょう。どのようなスキルを習得した人材を育てたいかを、考える必要があります。例えば、企業理念や経営戦略に沿って考えると良いでしょう。ゴールに必要なスキルを持った人材がいない場合は、リスキリングの対象です。

しかし、社員一人ひとりのスキルや知識の習得状況を把握するのは大変です。社員のスキルや知識などの情報を一元管理できる「タレントマネジメントシステム」の導入を検討してみてください。

タレントマネジメントシステムを導入すれば社員のスキルや知識を可視化できます。リスキリングの対象社員の選定がしやすくなるでしょう。タレントマネジメントシステムについて詳しく知りたい方は、タレントマネジメントシステムを解説した記事もあわせてご確認ください。

タレントパレット

プログラムを立案する

習得させるスキルや対象社員が決まったら、リスキリングの内容や使用する教材などを選びましょう。主な学習方法は、以下のとおりです。

  • オンライン講座
  • 社会人大学
  • eラーニング


学習方法は幅広く用意しておくのがおすすめです。社員が自身に合ったリスキリングの方法で学べるため、学習意欲向上が期待できます。

プログラムを実施する

内容が決定したら、実際にリスキリングに取り組んでもらいます。実施してもらう際は、適宜進捗を確認しましょう。進捗を確認することで、最適なリスキリングができているかどうかを把握できます。

また、1on1で社員のキャリア観を聞き、お互いの意見をすり合わせながら、学んでもらうことが大切です。社員に負担をかけないように、リスキリングは就業時間中で実施しましょう。

習得したスキルを業務に活かす機会を与える

リスキリングに取り組んだら、習得したスキルを業務に活かす機会を与えましょう。リスキリングを実施しても、業務に活かせなければ、取り組んだ意味がありません。そのため、リスキリングを業務の中で実践する機会を用意しておくことが大切です。

実践したらフィードバックを行い、スキルのブラッシュアップを行うのがポイントです。リスキリングを実施した後のアフターフォローで、社員のさらなるスキルアップが期待できます。

リスキリングを行う際の3つの注意点

ここでは、リスキリングを行う際の注意点を3つ解説します。

  • 社員にリスキリングの必要性を理解させる
  • 社員の希望を尊重する
  • 目的に合った教材を使用する


時間やコストを無駄にしないためにも、注意点を意識してリスキリングに取り組みましょう。

社員にリスキリングの必要性を理解させる

社員になぜリスキリングが必要なのかを、きちんと理解してもらいましょう。必要性を理解していれば、社員がリスキリングに積極的に取り組んでくれる可能性が高まります。特にリスキリング対象者には、インセンティブを設けるなどの対策が必要です。なんのメリットもなく、業務内容が増えただけでは、社員の不満が溜まってしまいます。

また、業務時間内に実施する場合は、対象者以外の社員の理解も必要です。全員が気持ちよくリスキリングを行える環境を整備しましょう。

社員の希望を尊重する

リスキリングに取り組む際は、社員の希望を尊重することが大切です。リスキリングでは新しいことを学ぶため、対象者に少なからず負荷がかかります。本人に「スキルを習得したい」という意欲がなければ、達成は難しいです。対象者を設定するときは、挙手制にする、進捗は口出しせずに見守るなど、社員の自発性を尊重する動きが大切になるでしょう。

目的に合った教材を使用する

目的に合った教材を使用しなければ、リスキリングの取り組みが無駄になってしまいます。コンテンツ選びを間違えると、リスキリングの効果が期待できません。リスキリングのゴールや社員にあったコンテンツを使用することが大切です。

選び方が分からないときは、外部の専門家に相談するのがおすすめです。リスキリングに関する実績がある専門家なら、最適なコンテンツを提案してくれます。

リスキリングの導入事例4選

ここでは、企業がリスキリングを導入している事例を4つ紹介します。

  • Amazon
  • ウォルマート
  • 日立製鉄所
  • 三菱商事


自社にリスキリングを導入する際の、参考にしてください。

Amazon

Amazonでは、リスキリングに対して1人あたり75万円を投資することが発表されています。大規模なリスキリングの実施が計画されている企業です。2025年までに、社員1万人のリスキリングを実施することも、2019年7月に発表しました。Amazonでは、以下の目的達成のためにリスキリングを実施しています。

  • ITエンジニアの高度スキル習得
  • 技術系人材の技術職への移行


Amazonの取り組みは、企業が社員に実施するリスキリングとしては最大規模です。社員のスキルアップを重要視していることが分かります。

ウォルマート

ウォルマートでは、以下のようなVRを活用した擬似体験を積んでスキルアップを図っています。

  • 年間イベントの擬似体験(ブラックライデーなど)
  • 災害対応


2018年には、VR設備を約1万7,000台導入し、実践的な知識やスキルを身につけるためのプログラムを導入しています。VR設備では、ウォルマートのピックアップタワーの操作方法をバーチャル上で学習できます。小売りのDX化を目的としたリスキリングを実施しているところが特徴です。VRを活用してスキルを獲得することで、経験したことのない場面でも即戦力になれると期待されています。

日立製作所

日立製作所では、国内グループ企業の全社員に対して、DXの基礎に関する指導を実施しています。2019年4月には、グループ会社として「日立アカデミー」を設立して、デジタル人材の育成を進めている点も特徴です。

日立アカデミーでは、DX促進のための人材育成やDXのリテラシー研修などの、プログラムが用意されています。これらのプログラムは、日立製作所の関係者以外も受講できます。

三菱商事

三菱商事が実施したリスキリングへの取り組みは、ITデジタル研修の新設です。ITデジタル研修は、年齢問わずに希望者であれば誰でも受講できます。三菱商事ではすでに1,000人以上の社員が受講していて、リスキリングが進んでいることがわかります。

また座学だけでなく、実際のDXプロジェクトへの参加も推進しています。三菱商事は、実践的な内容も取り入れながらリスキリングを実施している企業です。

リスキリングまとめ

リスキリングは社員に新しいスキルを習得させることを指します。社員が新しいスキルを取得すれば、業務効率化や売上アップなどが期待できるでしょう。一方で、対象者には負荷がかかるため、自主性を尊重し、サポートすることが大切です。

 

対象者の選別を行う際には、社員の知識やスキルの取得状況を的確に把握しておく必要があります。また、リスキリングを実施した後には、知識やスキルの習得状況を適切に管理することが重要です。リスキリングの進捗管理を効率化したい方は、タレントマネジメントシステム「タレントパレット」の導入をご検討ください。

 

タレントパレットでリスキリングを管理すれば、システムに社員のスキルデータを蓄積でき、進捗の確認が可能です。社員情報を一元管理できるので、対象者のデータを迅速に見つけられます。これからリスキリングに取り組みたいとお考えの方は、業務の効率化につながるタレントパレットの導入をぜひ検討してみてください。

 

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