人事戦略の立て方とは|人事部門に必要な機能・人事戦略のポイントや事例を紹介


人事戦略の立て方とは|人事部門に必要な機能・人事戦略のポイントや事例を紹介

人事戦略とは、企業の経営目標の達成を目的として人事施策を行うことです。記事では、人事戦略の概要や必要な機能、具体的な戦略の立て方、成功事例などについて解説します。人事戦略を立てる際の参考にしてください。

人事戦略とは?

人事戦略の概念は、米国の経済学者・デイビッド・ウルリッチ氏が、経営目標の達成に必要な人材の確保や、貢献できる人材の育成を行う必要性を唱えたのがはじまりです。2000年以降、世界中の企業で導入されています。
人事戦略が世間で注目された背景として、企業を取り巻くビジネス環境の激しい変化が挙げられます。働き方改革などにより、ワークライフバランスや労働環境の整備が重要視されるようになったことが要因です。

人事戦略を導入するメリットと課題

人事戦略を導入した場合、どのようなメリットが得られ、どのような課題が生じるのでしょうか。

人事戦略を導入するメリット

企業の成長とともに、経営状況も変化します。企業が人事戦略を導入するメリットは、経営状況の変化にあった人材を活用できることです。経営戦略と人事戦略は同時進行で行われるため、必要な人材を適切な部署に配置できます。
人事戦略により、経営判断や人材配置にスピード感をもって取り組めます。

人事戦略の課題

明確な経営戦略がなければ、人事戦略を導入しても成果には結びつきません。人事戦略の導入には、従業員の全面的な協力や意識改革が必要であるため、理解を得られないと変革の実現は困難です。
また、人事戦略には分析や立案が必要ですが、人事が日常業務に追われて手が回らないという課題が生じる場合もあります。

人事戦略の立て方|6つのステップ

人事戦略の具体的な立て方について、6つのステップを具体的に解説します。


経営計画を理解する

最初のステップでは、自社の長期的な経営計画を把握する必要があります。経営計画を無視して人事戦略を立案すると、優れた人材を育成できたとしても、必要なスキルや能力をもった人材の配置はできません。各部署の経営計画に目を通し、社会における自社の使命やビジョン、具体的な企業目標などを理解しましょう。

従業員の現状を把握する

次のステップでは、従業員の現状を把握します。そのためには、人材データを一元化したうえで、従業員が持つスキルやこれまでの実績などについて分析する必要があります。客観的な人材の評価が可能な「人材アセスメント」の利用もひとつの方法です。人材アセスメントは、従業員のスキルや能力などを可視化できるため、人事開発や人事考課にも効果的です。

人材ビジョンを明確にする

次に、必要とする能力と確保したい人材など、人材ビジョンを明確にします。前のステップで理解を深めた、経営計画の「経営ビジョン」や、既存の「従業員のデータ」が役に立ちます。ここで明確になった人材ビジョンは、次のステップ以降の「採用計画」や、「人材育成計画」の立案に活かされます。

採用計画を立てる

人材ビジョンが明確になった段階で、採用計画を立てます。採用計画を立てるには、必要な人材と人数を具体化しなければなりません。たとえば、高度なスキルを持った先進的な人材が多ければよいとは限らず、規律を守り、協調性を保てる人材とのバランスを考えた採用計画を立てる必要があります。

人材育成計画を立てる

企業の理念や経営ビジョンを盛り込んだ、人材育成計画を立てます。これらを考慮せずに計画を立てると、企業が必要とする従業員像から、大きくかけ離れた人材を育てることになります。実現可能な計画を立案するためにも、企業が理想とするモデル人材を設定するとよいでしょう。そのうえで、ターゲットとなる人材の洗い出しを行います。

組織人事戦略を進める

最後のステップでは、組織人事戦略を進めるための規則や規律をつくります。組織人事戦略とは、企業の経営方針にもとづいて行う組織開発です。企業の発展に貢献できる人材の確保と、育成が、組織人事戦略には欠かせません。
このように、6つのステップを確実にクリアしてこそ、組織人事戦略を進められます。ただし、人事戦略を策定するには、注意すべき点もあります。

人事戦略を策定する際のポイント

人事戦略を策定する際に、重要とされる3つのポイントを解説します。

経営戦略との整合性をとる

先述のとおり、人事戦略は、経営戦略の理解なしには進められません。そのため、経営戦略やビジネスモデルとの整合性がとれていることが、重要なポイントと考えられています。また、人事戦略の策定には、経営陣や人事部だけではなく、従業員の意識改革も必要です。会社の戦略を丁寧に説明し、従業員の理解を得る必要があります。

他社のやっていることに惑わされない

他社の成功事例は、人事戦略を立てる際に参考になります。しかし、他社の成功例をそのまま自社に取り入れても、同様の成果が得られるとは限りません。自社にあった人事戦略を立てるためにも、他社の取り組みに惑わされないようにしましょう。自社の課題や目標に沿った人事戦略を立てることが、成功への近道です。

責任者は自分の考えを持つ

従来の人事制度を覆す人事戦略を策定する場合、責任者が自分の考えをしっかり持つことが、特に重要です。従業員の理解を得るためには、質問を受けた際に返答できる準備をする必要があります。
具体的には、人事戦略を行う理由、得られるメリット、他の選択肢との比較などについて、質問者を納得させられる回答を用意しましょう。

人事戦略の成功事例

人事戦略の成功事例を2つ紹介します。人事戦略を策定するときの参考にしてください。

パナソニック株式会社の事例

パナソニック株式会社は、家電や電子部品、自動車用部品など、さまざまな事業を国内外で展開する企業です。持続的な企業成長のため、既存のビジネスモデルからの脱却をテーマに、新事業の成長に貢献できる人材の確保や、育成が課題とされていました。
成功のポイントは、社員の中から執行役員を選抜するという、従来の体制を見直したことです。グループ全体の経営と事業構造改革を担う「執行役員」と、個別の事業変革を担う「事業執行層」、将来の事業経営者「候補者」の3部構成にして、一人ひとりにあった人材育成や人材配置を実現しました。
※参考 人事戦略責任者メッセージ|パナソニック株式会社

オムロン株式会社の事例

オムロン株式会社は、制御機器や電子部品、社会システム、ヘルスケアなどの事業を展開するグローバル企業です。人材の採用や育成の見直しが必要となった背景は、2019年度に海外社員比率は70%に達したことです。
同社においては、企業理念や人材育成を一方的に行わず、従業員の多種多様な強みを重視した人材採用や人材育成を計画したのが成功のポイントです。社内だけではなく、エリアや国の枠を超えた、グローバルな人材配置を実践しています。
※参考: 人財アトラクションと育成|オムロン株式会社

まとめ

人事戦略の導入により、経営状況にあった人材の採用や育成が行えます。その際には、経営戦略やビジネスモデルとの整合性が不可欠です。
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