第2回:AI(人工知能)の時代にHI(人知)をどう設計するか ── ATD26の基調講演から

連載「人材流動化時代の人的資本経営」
連載第1回では、ともすれば机上の空論に終始しがちであった「人的資本経営」を捉え直し、「スキル」という結節点を介してデータテクノロジーとの接続が現実味を帯びつつある現状を述べた。今回からは、この領域で最先端を走る米国のHRの知見を、筆者が参加したATD-ICE 2026(Association for Talent Development International Conference & Exposition、以下「ATD26」)での取材をもとに報告し、そこから筆者が受け取ったメッセージを論じていく。

HR未来共創研究所 研究員(トイトイ合同会社代表社員) 永島寛之
■「人間の知性(HI)」を真正面から取り上げたATD26
ATDは、世界の人材開発(Talent Development)プロフェッショナルが集う、最大級のコミュニティである。ATDが毎年主催するカンファレンスでは、研修・学習設計・マネジメント開発・組織開発などをめぐる最新の知見と実践が共有される。
今年(2026年)のカンファレンスは5月、ロサンゼルスで開催され、世界中から約6,500名が集った。米国以外からの参加は65か国・970名にのぼり、うち187名を日本が占める。これは、米国を除く国別参加者数で世界第1位の規模である。
AIエージェントの本格導入やスキルベース経営への移行など、今年もまた、テクノロジーが議論の中心に据えられるかと思われた。
ところが、ATD26があえて並べた3つの基調講演を通じて投げかけられたのは、テクノロジーの話だけではなかった。AIが知性を担う時代において、人間の知性(Human Intelligence、以下「HI」)をどこに残し、どう伸ばしていくのか。登壇した3名は、まさにこの1つの問いに沿って選び抜かれ、配置されていた。
本稿では、その意図と中身を読み解いていきたい(以下、敬称略)。
ATD26基調講演3本の概要

■ATD会長 Tony Bingham が立てた問い ── 技術と人間性は、両側で同時に進行している
ATDのPresident & CEOである Tony Bingham は、2004年からこの団体を率いている。ATDは旧称ASTD(American Society for Training & Development)として80年以上の歴史を持ち、人材開発の専門職団体としては世界最大の規模を誇る。Binghamは130名のスタッフと、世界中のチャプター・ボランティアネットワークを率い、毎年6,000名以上が集まるこの国際会議の総責任者として、ステージから「今年の問い」を立てる役割を担う。
カンファレンス全体のテーマは「Embrace Disruption, Direct the Future(混乱を受け入れ、未来を方向づける)」。Day 2の朝のオープニングで、Binghamは壇上から強い宣言で開会を宣言した。
「変化が嫌いなら、今日が残りの人生で一番ゆっくりな日だ」
この一文には覚悟が見える。AIによる業務再設計、スキル要求の急変、リーダーへの過重要求――これらがこれからも加速し続けるという前提を認める宣言だからだ。過去のATDは、学術を丁寧に紐解き、行動変容を促しながら組織を変えていくというコンテンツで人材開発の手法を広めてきた。その文脈の上で、Binghamが次に置いた一言で、聴衆はATDの今年の方向を理解した。
「この瞬間は、テクノロジーだけの話ではない。同時に、人の話だ」
Binghamが示したデータは、技術と人間性が両極で同時に進行している現実を裏付けるものだった。労働者の53%がストレスとメンタルヘルスの悪化を懸念し、約半数が燃え尽き感を抱えている。Reward Gatewayの調査では、約40%の労働者が職場で孤独を感じている。デロイトが提唱する「Human Sustainability(人的サステナビリティ)」では、経営層の90%が「進めている」と答える一方で、従業員側の認識との間に大きな乖離が確認されている。PwCの調査では、CEOの45%が「いまのままなら自社は10年以内に存続不能」と回答している。
AI導入の競争と、人間性のすり減りが、同時に進んでいる。それが世界の人材開発の現在地だと、Binghamは語った。
Binghamは続けて、ATDが更新中のTalent Development Capability Model(来年公開予定)に触れた。ATDが何年もかけて策定してきた、人材開発の世界標準モデルである。新版は、AIを含む技術的流暢性と、人間的スキルの両輪に拡張される方向にある。そして、この日のオープニングを貫く一文を置いた。
「技術への理解は重要だ。間違いない。だが、人間への理解はそれ以上に重要だ」
共感、傾聴、コミュニケーション、適応性。Binghamはこれらを「リーダーの決定的な差別化要因」と呼んだ。その上で、3つの基調講演の選定意図を明確に示した。
「ATD26は、これらの責任を念頭に設計された。テクノロジー、人間性、リーダーシップ。
基調講演者は、この3領域に洞察をもたらすために特別に選定された」
ATDが2026年に立てた3軸は、Technology(Zack Kass)、Humanity(Will Guidara)、Leadership(Liz Wiseman)。AIが知性を担う時代に、HIをどう設計するか。この一点に、3段のメッセージが向けられている。

■基調講演① Zack Kass ── 知性が安価になる時代に、人間の価値は何で決まるか
初日の月曜朝、メインステージに最初に上がったのが Zack Kass である。
Kassは、AI業界14年以上の経歴を持つAIフューチャリストだ。元 OpenAI の対外戦略(Go-to-Market)責任者として、営業、パートナーシップ、カスタマーサクセスの3部門を立ち上げ、統括した人物として知られる。研究室のプロトタイプを実社会の事業に変換する役割を担い、OpenAIの収益を数百万ドル規模から数十億ドル規模へと押し上げた立役者の一人である。退任後は独立し、現在は Fortune 1000企業や各国政府のリーダーに助言を続けている。ヴァージニア大学と共同して、AIが社会と経済に与えるインパクトをめぐる研究にも関わる。これまでに20か国124都市で講演・助言の実績を持ち、応用AIの分野で第一線の思考家の一人として位置づけられている。
今年5月には、新著『The Next Renaissance ── AI and the Expansion of Human Potential』を上梓したばかりで、今回の講演タイトルもそのままこの著書名から取られた。
開口一番、Kassは会場に向けて宣言した。
「人工知能は物語ではない。人間性こそが物語だ。AIは絵筆であり、人間の潜在力こそが傑作である」
Kassの話はまず、彼が「Unmetered Intelligence(計量されない知性)」と呼ぶ現象から入る。GPT-3が登場した頃、100万トークンの推論コストは30ドルだった。それが今は、0.00001セントの水準まで落ちている。知性は希少資源から、安価で潤沢なインフラへと反転した。
Kassはここから本論に入る。
「知性の量が増えることが賢いということではなくなる。その代わり、AIによってあなたは賢さに『アクセスできる』ようになる。それを個人として、組織として、社会としてどう使うかが、すべてを定義しなければならない」
AIの導入が進めば進むほど、人間に問われるのは知識量や処理能力ではなくなる。Kassは、「近い将来、人は『賢さ』ではなく、『好奇心・共感・勇気・知恵・ユーモア・倫理性』で取引するようになる」と語った。これらは、産業界が長らく「ソフトスキル」と呼んで脇に置いてきた領域である。彼はそれを、「実は唯一のスキルなのかもしれない」と挑発的に言い切った。
Kassの主張を一番鮮やかに示したのが、自身の父のエピソードである。父は腫瘍内科医として長いキャリアを歩み、引退式で多くの患者から感謝を受けた。Kassはそこで、ある事実に気づく。父のクリニックでは、すでにAIによる意思決定支援が標準として組み込まれており、3人の専門医が同じ診断・同じ治療プロトコルを出していた。父はもう、グループの中で「一番賢い存在」ではなかった。そして、1人の患者がKassに語った一言が、議論の核となった。
「先生のベッドサイドマナーは、もはや『機能』ではない。それ自体が『製品』なのだ」
医療に閉じた話ではない。AIが意思決定の最適解を出すようになった世界では、人間の関わり方そのものが付加価値の本体に変わる。Kassはこれを、組織における「Automation Boundary(自動化の境界線)」という問いに重ねた。自動化できることの全てを自動化できる時代に、企業はどこで、何を、自分の手元に残すのか。個人にも企業にも、新しい意思決定が問われている。
私はこの議論を、人材開発の文脈に置き直して聞いた。学習設計の中心は、「答えの教え方」から「問いの育て方」へ移る。リーダーシップ開発の中心は、「正解の伝達」から「不確実性の中での判断と関係性の構築」へ移る。AIが知性を担う時代だからこそ、人間にしか持てない「中身」を、組織が意図して育てる設計が必要になる。Kassの問題提起は、人材開発の側にまっすぐ届くものだった。

■基調講演② Will Guidara ── 卓越は参加賞、ホスピタリティが唯一の差別化軸
Day 2火曜朝のメインステージは、Will Guidara である。
Guidaraは、ニューヨークの Eleven Madison Park の元共同経営者だ。2006年、26歳の若さでこのレストランの経営を引き受け、パートナーのシェフ Daniel Humm とともに、料理、サービス、食器のあらゆる面に投資し続けた。ミシュラン1つ星から3つ星まで1年で駆け上がった史上唯一のレストランとして知られるようになり、2017年には World's 50 Best Restaurants で世界1位に選ばれている。2022年に刊行した自身の経営哲学書『Unreasonable Hospitality』は、ニューヨーク・タイムズのベストセラー入りを果たした。
レストランの現場から離れた現在、Guidaraは複数の顔を持つ。年に一度のホスピタリティ・シンポジウム「The Welcome Conference」を主宰し、エミー賞を獲得した米国ドラマ『The Bear』の共同プロデューサーも務める。ホスピタリティの思想を業界横断に広げる活動が評価され、Wall Street Journal の Innovator Award を受賞。今年4月には、企業組織向けの実践書『Unreasonable Hospitality: The Field Guide』も刊行した。レストラン業の達人というよりは、いまや「ホスピタリティを経営の言語に翻訳する」第一人者として認識されている。
Guidaraがメインステージで語ったのは、Eleven Madison Parkが「世界1位」になるまでの組織設計の物語である。出発点は、ある夜のカクテルナプキンに書き付けた2つの言葉だったという。「世界一になる」「理不尽なほどのもてなしを」。
Guidaraが定義するホスピタリティは、サービスのレベルを一段上げることではない。彼はこう語った。
「ホスピタリティとは、関係性の追求において、創造的かつ意図的であることだ」
顧客が、自分の存在を「見られている」と感じる瞬間を、組織として意図して設計する技術。Guidaraが組織能力として磨き上げてきたのは、この一点である。そのためにGuidaraは、組織の運用の中に3つの仕掛けを組み込んだ。
1つは、毎日のサービス開始30分前に行う「プリミール・デイリーハドル」。スタッフ全員が同じ空間に集まり、その日に「何を」やるかではなく、「どう」「なぜ」やるかを共有する場である。Guidaraはここを、組織で最も影響力のある時間帯と位置づけた。
もう1つは、「顧客旅程の取り調べ」と彼が呼ぶワークだ。チーム全員で、顧客が体験するタッチポイントを書き出していく。最初は30個、続いて70個、最後には130個まで掘り起こされたという。見えていないタッチポイントの数だけ、組織はホスピタリティを設計できていない。Guidaraはそれを可視化した。
最後は、「ドリームウィーバー(夢を織る人)」というポジションの新設である。現場のスタッフから上がってくるアイデアを実現することだけを担う、新しい専任ポジションだ。オペレーションの責任は持たせない。Guidaraは、その意図をこう語った。
「あなたのアイデアにリソースをつけないリーダーは、本気じゃない」
そして、彼の組織論の核に置かれたのが次の一文である。
「卓越性はもはや参加賞でしかない」
Eleven Madison Parkが世界1位になれたのは、他のレストランが「製品」(料理)のクオリティを追い求めたのと同じだけのエネルギーを投じて、「人にどう感じさせるか」を追い求めると決めたからだ、と Guidara は語った。
私が Guidara の話で最も注目したのは、彼が示した差別化軸が、企業の人材開発にそのまま接続できる点だ。AIが製品や業務オペレーションを最適化していく時代に、企業の差別化要因はどこにあるか。答えは明快である。人を、機能ではなく、存在として扱う技術。これを組織文化として埋め込む厚みこそが、唯一の競争優位になる。
第1回で論じたとおり、人的資本経営の本質は、スキルを事業価値に変える経営判断にある。だが、そのスキルが実際に発揮されるか萎縮するかは、組織が人を「機能」として扱うか「存在」として扱うかで決まる。Guidara の「Unreasonable Hospitality」は、組織が社員に提供すべき体験設計の標準を、ひと回り高い位置に置き直したと、私は受け止めた。研修設計、評価制度、配置、フィードバック――組織が人に対して行うあらゆる行為は、結局のところ「あなたを見ている」というメッセージを伝えているか、その逆を伝えているかの、いずれかである。
■基調講演③ Liz Wiseman ── 暗闇でリードする時代の、リーダーとメンバーの組み合わせ
最終日の木曜朝、メインステージに上がったのが Liz Wiseman である。
Wisemanは、リーダーシップ研究の世界的権威だ。シリコンバレーに本拠を置く The Wiseman Group の CEO として、世界中の組織にリーダーシップ研修を提供している。前職の Oracle では17年間、副社長として Oracle University のグローバル人材開発を率いた。著書『Multipliers』『The Multiplier Effect』『Rookie Smarts』『Impact Players』はいずれもNew York TimesおよびWall Street Journalのベストセラー入りを果たしており、2019年には世界のビジネス思想家ランキング Thinkers50 で、リーダーシップ分野の世界トップ思想家に選出された。
主要顧客には Apple、Google、Microsoft、Amazon、Disney、Netflix、Tesla、Salesforce、Nike、Coca-Cola、Alaska Airlines、Emirates といった業界の名だたる企業が並ぶ。ATDのメインステージへの登壇は今回が初めてではなく、毎回違うテーマを携えて壇上に立つ常連の一人でもある。今年の講演タイトルは「Leading in the Dark(暗闇の中でリードする)」―――会期の最後を締めくくる位置に配置された。
Wisemanは冒頭、自身の新人マネジャー時代のエピソードを語った。社内のリーダーシップ研修を企画した日、登壇した外部コンサルタントが机に飛び乗って叫んだ場面である。
「リーダーの仕事は、偉大な手を差し出すことだ」
Wisemanは、この言葉を「まったくのナンセンス」だと直感したという。リーダーが正解を知っている、リーダーが部下より優れている――そういう前提が、もはや成立しない時代に入っている。Wisemanが会場に示したのは、こんなリーダー像だった。
「今のリーダーは、自分自身も行ったことのない場所に、人を連れていく仕事を任されている。誰もが、暗闇の中でリードしている」
この前提に立ったとき、Wisemanの研究は、組織の筋力を「リーダー側(Multipliers)」と「メンバー側(Impact Players)」の両方で同時に鍛えることに向かう。リーダーの筋力だけ鍛えても、メンバーの筋力だけ鍛えても、暗闇は越えられない。彼女が「パワー・コンボ」と呼ぶ、この両方を同時に組み合わせた設計が必要となる。
Wisemanが今回の講演で提示した5つの組み合わせのうち、人材開発の現場に特に重い示唆を持つ3つを紹介する。

第1は、「境界を越える厄介な問題への対応」である。優秀なメンバーは、自分の役割を越えて、必要な仕事を取りに行く。優秀なリーダーは、問題を「解く」ことから価値を生むのではなく、問題を「定義する」ことから価値を生むと決める。Wisemanはこう語った。
「あなたの価値は、問題を解くことではなく、問題を定義することから来る、と決めなさい」
問題を解くことはAIにできる。だが、何を問題として定義するかは、人間にしかできない。
第2には、「役割が明確でない場面への対応」である。優秀なメンバーは、渡り鳥のV字編隊のように、リーダー役を回し合う。単独飛行に比べて、群れは71%遠くまで飛べるという。優秀なリーダーは何を渡すか。シスコの元CEOジョン・チェンバースが、右腕のダグに権限委譲したエピソードを引いて、Wisemanはこう表現した。
「投票権の51%、責任の100%を、相手に渡す」
リーダーが手綱を渡しきる覚悟があってはじめて、メンバーは「自分の場」で動き始める。
第3は、「動く的への対応」だ。優秀なメンバーは、当初計画にしがみつかず、状況に合わせて適応する。優秀なリーダーは、評価(Feedback)ではなく、情報(Intel)を渡す。Wisemanは、自著の編集時に Crucial Conversations の著者ケリー・パターソンから1時間半にわたって原稿を「切り刻まれた」経験を語った。パターソンは Wiseman にこう言ったという。
「あなたの仕事にはそれだけの価値があるし、あなたなら受け止められると思うから、最も厳しいフィードバックをしているのだ」
評価は採点だが、情報は素材である。Wisemanはこの違いを、リーダーが部下に渡す言葉の設計として強調した。
Wisemanが示したのは、AIが即座に答えを出せるようになる時代に、リーダーの役割が「答えを与える人」から「人が考え、判断し、伸びる余白を意図して残す人」へと進化するという論点だ。そして、彼女の研究で繰り返し確認されてきた事実がある。人が将来どんなマネジャーになるかを決める、最大の形成要因は「最初の上司」だという。1人の若手が今あなたの下で受ける扱いが、その人の組織観・上司観の原型を作る。リーダーシップ開発の最大のレバーは、いまも、リーダーの振る舞いの中にある。
■3つの基調講演が描いた、1つの図
ATDが意図して並べた3つの基調講演を、1つの構図として読み直してみる。
Zack Kassは、知性が安価になる世界で、人間の値段は「中身」が決めると論じた。Will Guidaraは、製品が均質化する世界で、組織の差別化は「人をどう扱うか」で決まると示した。Liz Wisemanは、誰も道を知らない世界で、リーダーシップは「答えを与えること」から「余白を残すこと」へと進化すると語った。
3人がそれぞれ異なる切り口で照らしたのは、1つの構造である。AIが知性を担う時代に、企業の競争力を決めるのは、AIの導入率ではない。HI(Human Intelligence)をどう設計するかである。人間の中身、人間への眼差し、人間が人間を伸ばす習慣。このいずれも、新しい技術が登場しても、人間の手と意思でしか設計できない領域だ。
第1回で論じた「スキル」の議論は、このHIの設計と対極にあるように見えて、実は同じ地点に着地する。スキルは事業価値を生むための単位だが、その単位を活かすも殺すも、最終的には組織がどれだけHIに投資しているかで決まる。スキルベース経営とは、人材データの精度を上げる話ではない。人を存在として扱う設計の精度を上げる話である。
ATDが2026年に意図して組んだ3段のメッセージは、世界の人材開発が、テクノロジーの先端から、人間の中身へと振り子を戻し始めた事実を、世界中の人事プロフェッショナルの前に置き直してみせた。
■本シリーズの問い
第1回で、人的資本経営の鍵は「スキル」を結節点としたデータテクノロジーとの接続にあると論じた。第2回となる本稿では、その結節点が活きるためには、組織の側にHIの厚みが要ることを、ATD26の3つの基調講演から確認した。人を存在として扱う文化、人を伸ばすリーダーシップ、人が問いを保持する習慣――これらは、AIが進化すればするほど、組織の競争力の中核に近づいていく。
AIの導入率を競うフェーズは、もう終わっている。問われているのは、AIの導入と並走して、HIをどう設計するかだ。
問いはこうだ。あなたの会社の人材開発は、AIを「導入」しているのか。それとも、HIを「設計」しているのか。
次回は、ATDが示したスキル運用の最前線──スキルマップ、Internal Mobility、AIエージェントの現場実装に踏み込む。