会社の目標設定例を紹介!必要性や代表的なフレームワークについても解説


会社の目標設定例を紹介!必要性や代表的なフレームワークについても解説

目標設定は、従業員の成長や目標達成力の高い組織づくりに欠かせない要素です。本記事では、会社の目標設定の必要性や代表的なフレームワーク、職種別の会社目標設定例などについて解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

人事評価を実施する際は目標設定を行います。目標設定は、従業員の成長や目標達成力の高い組織づくりに欠かせない要素です。しかし、目標を適切に設定しないと人材が育たず、会社が目指す目標にもなかなか到達できない可能性もあるでしょう。

本記事では、会社の目標設定の必要性や代表的なフレームワーク、職種別の会社目標設定例などについて解説します。

会社の目標設定とは?

会社の評価制度における目標設定とは、従業員ごとに立てられる目標です。目的達成のためには、「いつまでに」「何を」「どうするか」と目標を具体的に決めます。そして、上長と部下の間、もしくは組織内でその目標を管理しなければなりません。

目標設定をすることで、ゴールとなる目的の達成までに何が不足しているのかを明確にでき、業務に取り組む方向性を定められます。また、個別の目標設定には自分の現状の立ち位置を理解できるようになるので、ゴールまでの道のりも描きやすくなるでしょう。

目標と目的の違い

目標と目的は似ているようで異なる言葉です。目的とは、最終的に到達したい事柄や行動の狙い・目当てを意味します。一方で目標とは、目的達成を目指すためのステップです。

目的は目標と比べて内容が抽象的な大きい概念であり、達成までの期間が長期にわたります。また、具体的な数値よりも内容に重点が置かれ、定性的な表現になりやすいことも目標との違いです。

目的と目標の違いをよりわかりやすく理解していくために、具体例を挙げていきます。「健康になる」ことを目的にした場合、達成するために「毎日10~30分以上は運動をする」「7時間以上は寝る」「暴飲暴食をしない」など、具体的に設定されるものが目標です。

目標は最終到達点にたどり着くための過程であることを理解し、間違った方向に進まないように設定することがポイントになります。

目標設定のメリット


目標設定のメリットは、確実に目的達成を実現させることだけではありません。従業員や会社にとって様々なメリットがあります。目標設定をすることで得られる3つのメリットについてご紹介しましょう。

従業員のモチベーションを保てる

目標設定には、従業員のモチベーションを維持する効果があります。何か目的があると、人はその実現のために頑張ろうという気持ちが湧き上がるものです。しかし、大きな目的ほど達成までに時間がかかります。また、どのくらい頑張ればいいのか明確ではないので、次第にモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。

細かい目標を立てれば現在の進捗状況を把握でき、目標達成のためにどのくらいの努力が必要なのかも予測しやすくなります。ゴールまでの道のりや必要なことがある程度見えてくる分、モチベーションも維持しやすくなるのです。

進捗管理がスムーズ

進捗管理がしやすくなるのも、目標設定をするメリットです。目標があれば目的達成までに必要となる行動内容を明らかにできます。そのため、行動の方向性や進捗スピードも把握しやすく、方向性のずれや進捗に遅れが出た場合も速やかに対応することが可能です。

従業員を管理する側も、目標の達成度を基準に適切な評価や指導がしやすくなります。さらに設定した目標と実績の比較もできるので、失敗の原因や改善点を見つけ、対応していけば業績アップにもつながるでしょう。

仕事の効率が良くなる

目標設定をすることで、仕事の効率が良くなる効果も期待できます。目的達成のためには、そこまでたどり着くためのプロセスを考えなければなりません。プロセスが定まっていない状態で目的達成を目指しても、先のことが見えないので本来とは異なる方向性に進み、回り道となってしまうでしょう。

目標が決まれば、自分がやるべきことや行動の手順などが明確になります。そして、目標を一つひとつ着実にクリアしていけば、結果的に効率良く目的を達成することが可能です。

目標設定例の基本構成

社内で目標設定をする場合、どんな要素で構成されているのか知っておく必要があります。目標設定の基本構成は、「目標」「期日」「行動」「評価」の4つです。4つの項目に関して詳しく解説します。

具体的な成果目標

目標設定の基本となるものが、成果目標です。ここで設定した目標によって、後に決める行動内容や評価方法が変わります。

成果目標では、「月間売上○○万円を達成する」「○○の資格を取得する」など、従業員個人の目標を具体的に設定しましょう。また、組織の目標と結び付けて個人的な目標を設定することが重要です。

組織の目標と連動した個人目標であれば、組織への貢献度が明確になり、自分も組織の一員であるという参画意識を与えられます。

目標達成する期日

いつまでに目標を達成するのか、期日も設定します。目標達成までの期日が設定されないと、行き当たりばったりの行動となり、いつまでも達成されない状態になってしまいがちです。そうならないように、成果目標に合わせて現実的に達成可能な期日を具体的に決める必要があります。

目標設定の期日は、1ヶ月や3ヶ月など短期で設定することがポイントです。1年や3年など長期的なスパンとなると、目標達成までのモチベーションの維持が難しくなるので注意してください。

目標達成に向けた行動内容

目標達成のためにどんなことをするのか、日々の行動内容を決める必要があります。どんなに具体性のある目標でも行動計画が曖昧だと行動を起こせず、目標は達成できません。そうならないためにも、できるだけ具体的に行動内容を決めましょう。

進捗状況を確認しやすいように、一目でわかるような行動計画が望ましいです。また、評価やフィードバックを返しやすいように、具体的な数値などを用いて設定しましょう。

行動・結果に対する評価方法

行動や結果に対して、振り返りや評価ができるようにしておく必要があります。そのためにも、評価方法や基準を具体的に設定しておきましょう。

評価方法が決まっていれば、実際の取り組みを定期的に評価でき、達成までの進捗具合を確認することが可能です。また適切な評価により、足りている部分と不足している部分がわかり、フィードバックがしやすくなります。

評価方法や基準がはっきりしていないと、曖昧な評価となり、結果に納得感を得られなくなってしまう恐れもあるでしょう。それを避けるためにも、従業員と評価者の間で評価方法と基準を明確にしておくことが重要です。

目標設定に使用される代表的なフレームワーク

フレームワークを活用することで、達成に必要な要素を満たした目標設定が可能となります。目標設定に使えるフレームワークにはどのようなものがあるのでしょうか。そこで、目標設定で使用される代表的なフレームワークを3つご紹介します。

SMARTの法則

SMARTの法則とは、以下の5つの基準に沿って目標を設定するフレームワークです。

  • Specific(具体的な内容か)
  • Measurable(数値で表せるか)
  • Achievable(達成可能な目標か)
  • Relevant(上位目標と関連性はあるか)
  • Time‐bound(期限を定めているか)


SMARTの法則を活用して目標を設定すれば、具体性や現実性、計画性のある目標設定が可能です。結果的に個人や組織の目標達成率を高めることにつながります。

MBO

MBOは「Management by Objectives」の略語で、日本語では「評価管理制度」や「目標による管理」などと呼ばれています。従業員自身が目標設定を行い、人事評価や業績評価と連動させるフレームワークです。会社や上司から目標達成を強制されることはなく、自分で目標の管理を行うので、従業員の主体性向上に期待できるでしょう。

MBOを使用する際は、目標設定を四半期や半期単位で行い、達成状況を人事評価に反映させなければなりません。また部門や職種、異なるスキル、外部環境に置かれた従業員を公平に評価していくには達成度が指標になります。そのため、達成度は評価設定の難易度と揃えることが大切です。

OKR

OKRは「Objectives and Key Results」の略称で、高く設定された目標達成を目指すためのフレームワークです。OKRでは、以下2つの項目を設定します。

  • Objectives(目標)
  • Key Results(目標達成に向けた定量的な指標


OKRの場合、MBOとは異なり人事評価に連動させないケースが一般的です。そのため、達成率よりもチャレンジ精神やモチベーションが上がる目標を設定することになります。

MBOと比べてOKRの目標は短期的なビジョンに近く、内容をすべて定量的に表す必要はないため、定性的な概念を取り入れても問題ありません。ただし、目標達成の観点から考えると定量的な目標を設定することをおすすめします。

適切な目標設定だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

目標設定は、人事評価でも重要な要素となっています。具体的な目標を設定し、正しく管理・評価していく仕組みが必要です。人事評価や目標管理などに役立つタレントマネジメントシステムとしておすすめしたいものが、『タレントパレット』になります。

タレントパレットでは経歴や育成状況、目標設定など、あらゆる人事データを一元管理することが可能です。目標達成の進捗を確認でき、人事評価に役立てられます。人事業務に関する様々なシステムが揃っているので、高度な人事戦略を進められるでしょう。

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な経営課題と向き合えます。
・あらゆる人事情報を一元集約
・人材の見える化で埋もれた人材を発掘
・AIシミュレーションで最適配置を実現
・簡単操作で高度な人事分析が可能
⇒タレントパレットの資料を見てみたい

SMARTの法則で目標を設定してみる


目標設定では、「SMARTの法則」を活用して立てるのがおすすめです。SMARTという名称は、フレームワークを構成する「Specific」「Measurable」「Achievable」「Relevant」「Time‐bound」の頭文字から取っています。5つの項目は、具体的にどのような意味があるのかご紹介しましょう。

Specific(具体的な内容か)

Specificとは、目標が「具体的な内容であるか」を意味します。目標設定では、目標を具体的に設定することがポイントです。

例えば「売上をアップさせる」という目標では曖昧なものとなり、行動計画や評価方法の設定が難しくなるでしょう。それより「3ヶ月後に月間売上を120%にする」と設定した方が、具体的な目標を設定できます。

具体的な内容だと達成状況を定量的に評価することも可能です。その結果、客観的で公平な評価ができます。

Measurable(数値で表しているか)

Measurableは、目標を「数値で表せるかどうか」を意味します。定量目標で設定することも、目標設定では重要です。

例えば、「毎日アポイントをとる」という目標では、定量的な評価ができません。結果を評価してもらうためには「毎日15件のアポイントをとる」というように具体的な目標設定をする必要があります。

数値で目標を表せば達成までのプロセスの中での数値を確認できるので、行動に対する評価もしやすくなるでしょう。

Achievable(達成できる目標か)

Achievableは、設定した目標が「達成できるレベルかどうか」を意味します。目標を高く設定するのは悪いことではありませんが、達成できなければ意味がありません。自分の能力よりも高い目標を設定してしまえば、達成のための行動計画を立てるのも難しくなります。

例えば現状の売上成績が「月平均120万円」である場合、「月平均300万円にする」という目標を立てたところで、すぐに達成することはできないでしょう。それなら「月平均130万円にする」など手の届きそうな範囲で設定した方が、確実に目標を達成できます。

Relevant(上位目標と関連性はあるか)

Relevantは、設定した個人目標に「上位目標との関連性があるかどうか」を意味します。上位目標とは、組織やチームなど全体で達成したい大きな目標のことです。個人の目標設定では、自分自身が目指すものと組織・チームの目標に関連性を持たせることを意識しましょう。

例えば将来は専門チームのリーダーになりたい目標があれば、「リーダーになるための試験合格」「チームメンバーの管理を手掛ける」「専門知識を高める」など、関連した目標を設定することになります。最終的に自分はどうしたいのかを軸にして、上位目標と関連する目標や行動計画を立ててください。

Time‐bound(期限が定められているか)

Time‐boundは、目標達成するまでの「期限が定まっているか」を意味します。上記4つの要素を満たしていても、明確に期限を設けていないと結果や行動に対して正確な評価ができません。またずるずると行動することになり、モチベーションの維持も困難となります。

例えば「売上を130%に上げる」という目標は、「3ヶ月後に売上を130%にする」と設定すればTime‐boundの条件はクリアです。実際に期限を決める際は、上位目標と関連付けて、実現できる期限で設定するようにしましょう。

【職種別】会社の目標設定例

従業員の目標設定は、職種によって異なります。会社の目標設定例として、職種別に目標・期日・行動・評価の例文をご紹介しましょう。

営業職

営業職の場合、チームの営業予算や受注件数などの営業目標をベースに個人の目標設定を行うのがおすすめです。目標達成のために、何をするのか記入しましょう。

【成果目標】
売上1,200万円を達成する

【期日】
年度末までに達成する

【行動内容】
・過去の顧客リストを洗い出し、新規顧客の契約数を増やす
・新規取引先の開拓のために、業界セミナーに参加する

【評価方法・基準】
・新規顧客の契約数:35件
・既存顧客の契約金額:400万円

事務職

事務職の場合、定量的な目標は決めづらいでしょう。そのため、現状における業務の効率化や新制度の導入に関する課題など、業務の課題点から目標を設定するのがおすすめです。

営業職と連携することが多いポジションであれば、一緒に仕事をする従業員とも関連付けて目標を設定するのも良いでしょう。

【成果目標】
事務作業にかかる工程を月100時間削減する

【期日】
3ヶ月まで

【行動内容】
業務効率化のために新しい管理ツールを導入し、使い方の学習も実施する

【評価方法・基準】
・新ツールの理解度
・各作業の効率を20%ずつ向上

販売職

販売職では接客から在庫管理、宣伝、店舗の環境整備など様々な仕事があります。そのため、自分の役割に合わせて目標設定を考えることが大切です。

例えば接客を担っているのであれば、接客で成果を出すことが目標になるでしょう。在庫管理や事務作業であれば、作業の効率化を目指す目標が考えられます。

【成果目標】
売上1,500万円を達成する

【期日】
3ヶ月まで

【行動内容】
・商品情報を共有するためのミーティングを週1回実施し、客単位3,000円→4,000円にする
・店舗レイアウトを見直して、顧客の滞在率を長くする
・SNSの写真投稿を週3日→週5日に増やし、ECサイトの売上を20%アップさせる
・ネガティブなコメントも参考に顧客の不満やギャップを減らす

【評価方法・基準】
・店舗チェックリストや顧客アンケートを使って評価する
・月あたりの売上金額:500万円

企画・マーケティング職

企画やマーケティング職は、目標を定量化しやすいことが特徴です。そのため、行動内容には数値を用いて、具体的に記載するようにしましょう。また、営業職と密接な関係があるので、営業成績との連動も意識して目標を設定することをおすすめします。

【成果目標】
・新商品を1つ開発する
・契約件数を500件に増やす

【期日】
6ヶ月まで

【行動内容】
・既存商品の販売状況の分析と市場調査行い、新しい商品の販促計画を立てる
・Aエリアの広告掲載数を2倍に増やし、月あたりの契約数を30%向上させる

【評価方法・基準】
・販促計画をもとに新商品の開発を開始
・営業部門の売上目標・契約件数の達成

技術職

システムエンジニアのような技術職の場合、組織が納期順守を優先するのか、品質向上を期待しているのかによって目標の立て方が異なってきます。そのため、まずは組織の中で何が求められているのか把握し、どう貢献できるかという視点を持って目標を考えていきましょう。

【成果目標】
JAVAを使ってプロダクト開発を完了させる

【期日】
6ヶ月以内

【行動内容】
・業務の後、毎日1時間はJAVAの学習をする
・エンジニアセミナーに月1回参加する

【評価方法・基準】
・実機テストでの評価が80点以上
・対象言語の資格取得

看護師

看護師の場合は、部署や勤続年数によって設定する目標や立て方が変わってきます。クリニックラダーや部署の目標などと関連付けながら、なりたい自分をイメージして目標を立てていきましょう。他の職種と同じく、定量的かつ具体的に書くこともポイントです。

【成果目標】
・イレギュラー対応時以外の夜勤業務を1人で対応できるようにする
・チーム内で月残業時間を平均20時間以内にする

【期日】
3ヶ月以内

【行動内容】
・○月末までに夜勤業務を学び、夜勤シフトの業務を自立して行えるようにする
・業務フローの見直しと改善を行い、チーム1人あたりの残業時間を減らす

【評価方法・基準】
・○月までに1人で夜勤業務を遂行できたら目標達成
・月あたりの平均残業時間が20時間以内

まとめ

従業員が一人ひとりやりがいを持って仕事をすることで、組織が掲げる目標の達成は確実なものとなります。モチベーションの向上や仕事のやりがいを持たせるためにも、従業員ごとに目標設定を立てることは大事な取り組みです。実際に目標設定を立てる際は、ご紹介したポイントや目標設定例文を参考にしてみてください。

また、会社側は設定した目標を管理し、行動や成果を人事評価に反映しなければなりません。目標管理や人事データの分析などは、様々な人事システムを使える『タレントパレット』の活用がおすすめです。分析結果に基づいて経営や人事課題の解決に向けた根拠のある施策が実施できるようになります。タレントパレットについて詳しく知りたい方は、ぜひ資料請求してみてください。

タレントパレットのHPはこちら