人材育成の5つの課題や問題点とは|解決方法や人材育成の手法、成功事例を解説


人材育成の5つの課題や問題点とは|解決方法や人材育成の手法、成功事例を解説

社員を会社の発展に貢献できる人材として育てる「人材育成」は、経営戦略の根幹となる重要な部分です。その一方で、働き方改革によって個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方が求められる現代では、人材育成についてさまざまな課題を抱えている企業も少なくありません。特に近年は、テレワークの普及で社員同士に物理的距離が発生したことで、人材育成のあり方を根本から見直す必要があるケースも増えています。
そこで今回は、日本の企業が抱えがちな人材育成の課題と問題点と、その解決のヒントを詳しく解説していきます。

人材育成の目的

人材育成の目的は、社員の能力や技術を高めることにより、企業の業績を向上させることです。

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人材育成で期待できる効果

人材育成に取り組むことで期待できる効果を2つの観点から解説します。

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生産性が向上する

人材育成に取り組むと、社員一人ひとりのパフォーマンス向上につながります。労働人口が減少すると推測される現代において、限りある人材を有効活用するための施策は欠かせません。人材育成をすれば、少ない人材で利益を上げられるので、生産性の向上が期待できます。

離職率が下がる

人材育成に取り組むことで、社員の離職率の低下が期待できます。社員が早期離職する原因は、賃金だけではありません。離職理由は、業務のミスマッチや労働環境など多岐にわたります。スキルアップや研修の機会を設けて人材育成に取り組むことで、社員のモチベーションの向上、定着率の上昇が期待できるでしょう。

日本の企業が抱える人材育成の5つの問題と課題

人材育成の大切さを把握してはいるものの、実際には人材育成の成果が実感できずにもどかしい思いをしている企業も少なくありません。人材育成を成功へ導くためには、まずは抱えている問題と課題を明らかにしていくことが大切です。
では、実際に日本の企業は人材育成においてどのような問題や課題を抱えているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
 

スキルがある人材の流動

日本ではこれまで、ひとつの会社に定年まで勤めるという終身雇用が一般的でした。ところが、多様な働き方が尊重されるようになった現代では、一社に長くとどまって働き続けるのではなく、キャリアアップをめざして転職をするワークスタイルが広まってきています。経験を積んだベテラン社員やスキルのある人材が自由に企業間を移動するようになったことで人材の流動化が起こり、業務に関するノウハウやスキルが社内で蓄積されにくい状態となっています。その結果、人材育成においても適切な教育を行うことが難しくなっているのです。
 

求められる能力の変化

従来の人材育成では、新入社員など対象となる社員を集め、一度に研修を行う「集合研修」が一般的な手法でした。ところが、社員一人ひとりの価値観が多様化する現代では、このような旧来の方法では効果的な人材育成を行うことが難しくなってきています。新型コロナウイルスの感染拡大によって世の中が一変したように、今後も私たちを取り巻く環境は大きく変化し続けていくことが予想できます。その中にあって求められるのは、変化にも対応できる柔軟性と応用力、変化を前提にスキルアップを続けることができる専門性です。このような能力を育てるためには、人材育成の方法そのものを見直す必要があります。
 

育制度・体制の不備

業務の手順などを教育する場合、これまでは職場で実務を体験しながら仕事を教えるOJT(On the Job Training)が一般的でした。しかし近年は限られた時間と人材を有効に活用するため、社会人として必要な一般知識を集中的に学ぶことができるe-ラーニングやoff-JTを併用し、そこで学んだことをアウトプットする場としてOJTを行うのが理想的な流れとなっています。ところが、企業によってはe-ラーニングやoff-JTを導入するための環境が整っておらず、人材育成で大きな遅れをとってしまっているケースも少なくありません。

育成する側の指導能力不足

育成する側のスキルや指導力が不足していることも、課題の1つに挙げられます。育成側にスキルや技術がないと、一方通行の人材育成になりかねません。「目標管理能力」や「コミュニケーションスキル」、「ロジカルシンキング」などを学ぶことで、計画的に目標をもって人材育成に取り組めるようになります。また、人材育成の重要性を理解し、意欲的に取り組む姿勢も必要です。

育成時間が確保できない

人材育成の重要性を感じながらも、育成の時間が確保できないため人材育成が後回しになることもあります。人材育成に必要な時間が確保できないまま、研修やセミナーなどに参加させると、現場の士気が下がりかねません。また、業務に余裕ができるタイミングを待っていては、いつまで経っても人材育成は進まないでしょう。企業は、現場の状況を把握し、通常業務に影響のない人材育成制度を整えることが求められています。

人材育成の課題を解決する効果的な方法

人材育成に関する課題は、どのようにして解決すれば良いのでしょうか。主なポイントは以下の6つです。
 

人事評価制度を活用する

人材育成を効果的に行うためには、社員一人ひとりが抱えている課題を明確にして、それぞれのレベルに応じた教育を行なわなければいけません。そこでカギとなるのが、「人事評価制度」です。人事評価によって個人の業績や業務に対する姿勢などを正しく評価することで、そのデータを人材育成に活用していくことができます。現在の人事評価制度がそのようなデータを導き出す内容になっていない場合には、人事評価制度そのものの見直しが必要です。
 

社内の人材・能力を把握する

人材育成が思うように進まない場合には、社内にどのような人材がいて、どういったスキルがあるのか現状について見える化することも大切です。誰がどのような仕事をどれだけ抱えていて、どのくらい成果を上げているのか、新入社員に限らずミドル層についても同様にデータを収集していきましょう。その上で、どのような課題があるのか、また年次や役職ごとにどのようなスキルを求めるのかを明確にし、それに応じた人材教育を行っていきましょう。
 

タレントマネジメントシステムを導入する

会社の規模や人材育成に携わる人員によっては、人材に関する情報をデータ化して一元的に管理できるタレントマネジメントシステムを導入するというのも、効果的な選択肢のひとつでしょう。社員一人ひとりの特性や能力などを細かく分析し理解することで、より適切な人材育成を提供することができます。

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計画的にPDCAを回す

人材育成は、施策を実行して終わりではありません。計画的にPlan(計画)Do(実行)Check(測定)、Action(改善・対策)の4つのプロセスであるPDCAのサイクルを回し、課題や改善点を明確にしましょう。達成できなかった課題に対して、不足している項目をはっきりさせて、次回の人材育成に役立てることが大切です。

教育担当者を育成する

人材育成の課題を解決するためには、教育担当者の育成も重要なポイントです。どれだけ優秀な社員であっても、部下や後輩の育成に優れているわけではありません。部下や後輩に必要な知識やスキル、ノウハウを教えられるように、教育担当者はスキルアップを図りましょう。

部下が上司に話しかけやすい環境をつくる

人材育成を効果的に進めていくためには、適宜フォローをする体制が欠かせません。研修やセミナーが終了したら、及第点や評価できる点などを具体的に伝えることで、部下や後輩は理解が深まり、成長の促進が見込めるでしょう。

教育担当者の具体的な育成手法

人材育成の手法を6つ解説します。

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OJT

OJTとは「On the Job Training」の頭文字を取った言葉です。部下や後輩を現場での業務に従事させながら、理解度や抱いた感情などを定期的に把握しつつ、その場で指導を行います。個人の習熟度に合わせて育成できることがメリットです。

人材育成におけるOJT研修とは?メリットや課題、取り組み方などを解説

Off-JT

OFF-JTとは、「Off The Job Traning」の略で、職場から離れた場所で受ける研修やセミナーなどを指します。汎用性の高い、一般化されたスキルや知識の習得が主な目的です。

OFF-JTとは?活用するメリットや注意点、活用法について解説

eラーニング(研修)

eラーニング(研修)とは、パソコンやスマートフォンなどを利用した、教育、学習、研修です。インターネット環境があれば場所や時間を問わず学習できるメリットがあります。

eラーニングシステムの概要とは?活用するメリット・デメリットを紹介

自己啓発

自己啓発とは、社員が成長させたい分野や知識を深めたい分野について自ら知識を習得することです。社内の勉強会に参加したり、通信講座を受講したり、書籍から学んだりすることで、OJTやoff-JTでは不足しがちな知識やスキルを身に着けられるメリットがあります。

メンター制度

メンター制度は、上司よりも近い立場にある先輩社員によるサポート制度です。年齢や立場が近い相手に、気軽に相談しやすい環境を作ることで、安心感を与える目的があります。

メンター制度成功のポイント|導入におけるメリットやデメリット、注意点を解説

人事評価制度

人事評価制度は、社員をスキルや成果などで評価して成長を促す方法です。1人ひとりが抱える課題をもとに目標を決めるため、ポイントを絞った育成が見込めます。

人事評価制度とは?評価の具体的な構成や目的、評価内容を知ろう

階層別の効果的な人材育成方法

人事育成のポイントは、勤務年数や役職などにより異なります。3つの階層に分けて、人材育成に効果的な方法を解説します。

新入社員や若手社員

新入社員や入社3年目くらいまでの若手社員は、意識改革を中心に人材育成を進めましょう。経験が少ない社員は、理想と現実の差に戸惑い、不安感や焦燥感を覚えることも珍しくありません。責任感を持って業務に取り組めるよう意識改革を促しつつ、コミュニケーションやメンタルケアの場を提供しましょう。

中堅社員

入社3年目以降の中堅社員の人材育成を進めることは、管理職へのキャリアアップに重要です。モチベーションをいかに維持・向上させるかに重きを置き、セルフマネジメントの習得を促しましょう。中堅社員は、担当する業務も増える傾向にあります。周囲が一部業務を代理したり、eラーニングを活用したりして、負担を軽減させましょう。

管理職

新任管理職と中級・上級管理職では、必要なスキルや優先事項は異なります。経験値をもとに、研修への参加や資格取得などの機会を設けましょう。管理職として積極的に学ぶ姿勢は、部下の学習意欲向上にもつながります。

人材育成を実施する際のポイント

人材育成を実施するときは、3つのポイントを意識しましょう。それぞれ解説します。

人材育成の目標を明確にする

人材育成を進める前に、目標やゴールを明確にしましょう。方向性や目的が不明瞭では、人材育成が有名無実化し、課題を解決できない事態になりかねません。目標や目的は言語化し、共有することが重要です。

社内全体に自社の現状課題を認識させる

人材育成を適切に実施するためには、社員一人ひとりが社内の現状を的確に把握し、課題を認識することが大切です。課題が社内全体に浸透していないと、社内全体からの協力が得られません。施策だけでなく、課題を共有して社内の理解を得ましょう。

実践的な学習・教育機会を設ける

人材育成の研修や学びの定着には、実践的な学習、教育機会が欠かせません。研修や学習を生かせる業務を任せたり、権限を委譲したりして、自律的な行動を促しましょう。研修や学びと関連づいた機会を用けることで、研鑽を重ねられ、自信にもつながります。

人材育成の解決策・成功事例

人材育成の課題を解決、成功した事例を2つ紹介します。

リコージャパン株式会社

リコージャパン株式会社は、スキルや専門性を磨き続け生涯において成長できる環境の整備を行い、人材育成に成功した会社です。営業、カスタマーエンジニア、SEの主要3職種を対象にレベルを1から8まで設定して、能力要件を定義しました。この定義に基づき、1人ひとりに必要なスキルや専門性を明確にすることで、社員全体のスキルの向上が実現しています。

綾羽株式会社

綾羽株式会社で、必要なスキル・能力・経験を明確にしたことで後継者問題を解決した事例です。それまでは、属人的な価値観や科学的根拠のない評価制度により、人事異動が形骸化していました。そのため、各事業所の経営者が相次いで定年を迎えたときに直面した問題が後継者不足です。そこで、3年間の教育プログラムを立ち上げ、次世代のリーダー育成を進めました。課題や目標を明確にし、社内で共有したことにより、経営層が指導しやすい仕組みづくりが見込めています。

まとめ

科学的人事をワンストップで提供するタレントマネジメントシステム「タレントパレット」なら、社員一人ひとりのスキルを見える化できるだけでなく、eラーニングや研修などの受講履歴を管理・蓄積し、それぞれに合った学習環境を提供することが可能です。人材育成の課題解決の選択肢のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。

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