人事担当者が知っておくべき「離職率」と「定着率」の計算方法


人事担当者が知っておくべき「離職率」と「定着率」の計算方法

社員がどれくらい長く会社に在籍し、活躍してくれているのかを示す目安となるのが「離職率」や「定着率」です。人事担当者であれば、これらのデータは把握していたほうがよいでしょう。離職率と定着率のそれぞれの計算法、さらに目安となる数値について解説します。

離職率の計算方法

 
離職率の定義、そして離職率の計算方法について説明します。
 

離職率とは「一定期間後に退職した人の割合」のこと

離職率とは、企業で働く社員全体のうち、「一定期間後に退職した人の割合」のことです。ただし、離職率の定義や計算方法が法律などで定められているわけではありませんので、「一定期間後」がどれくらいの期間を指すのかは企業によってまちまちです。
 

離職率の計算式

離職率の計算式は次の通りです。
 
一定期間中に離職した社員数 / 元の社員数 × 100
 
多くの企業では、期初から期末までの1年間で退職した社員の割合で計算した離職率がよく用いられます。
たとえば2020年4月1日の時点で100人の社員がいて、2021年3月末に90人に減っていたら、10÷100×100で離職率は10%となります。
 
他には、「新卒入社した社員が3年以内に退職した割合」も離職率の一種として扱われることがあります。「中途入社した社員が1年後に退職する割合」なども同様です。
 
 

定着率の計算方法

 
離職率と対となるのが定着率です。定着率の定義と計算式も見ていきましょう。
 

定着率とは「一定期間後にも在職している人の割合」のこと

定着率とは企業で働く社員全体のうち、「一定期間後にも在籍している人の割合」のことです。定着率もまた、定義や計算方法が法律などで定められているわけではありません。
 

定着率の計算式

定着率の計算式は次の通りです。
 
一定期間後に在籍している社員数 / 元の社員数 × 100
 
たとえば2020年4月1日の時点で100人の社員がいて、2021年3月末に90人残っていたら、90÷100×10で定着率は90%となります。
 
 

離職率や定着率の目安は?

 
離職率や定着率を計算方法は上記の通りですが、次は離職率や定着率の平均値や目安について説明します。
 
全国的な離職率を知るには、厚生労働省が毎年発表する「雇用動向調査」のデータが参考になります。
 
雇用動向調査における離職率は、「常用労働数に対する離職者の割合」で計算されています。
常用労働者とは、次のいずれかに該当する人です。

  1. 期間を定めずに雇われている者
  2. 1ヵ月以上の期間を定めて雇われている者
  3. 1か月以内の期間を定めて雇われている人または日々雇われている者で、前2ヶ月にそれぞれ18日以上雇われた者

 
また、離職者とは、常用労働者のうち次のいずれかに該当する人です。

  1. 退職した者
  2. 解雇された者
  3. 他企業へ出向した者、出向復帰した者


ただし、「同一企業内の他事業所への転出者」は除かれています。
 
令和2年(2020年)「雇用動向調査」における離職率の全国平均は14.2%でした。前年と比べると1.4ポイント低下しています。ちなみに定着率は離職していない人の割合なので、100%-14.2%で85.8%となります。
 
離職率は、ここ14年間では平成19年(2009年)の16.4%が最も高く、令和元年にも15.6%となっていました。令和2年の14.2%という数値は、ここ14年間で最も低い水準となっています。
 
「雇用動向調査」では、離職率の他に、入職率も集計しています。入職率とは「全労働者に対する新たに就業した労働者の割合」のことです。令和2年の入職率は13.9%です。離職率が入職率を上回る「離職超過」となったのは9年ぶりのことでした。
入職率を就業形態別に見ると、一般労働者の離職率は10.7%、入職率は10.7%、パートタイム労働者の離職率は23.3%、入職率は22.2%となっています。
入職率を業界別に見ると、最も離職率(と入職率)が高いのは「宿泊業、飲食サービス業」です。離職率は26.9%、入職率26.3%でやはり離職超過となっています。離職率が低いのは「工業、採石業、砂利採取業」の5.6%で、次いで低いのが「金融業・保険業」の7.7%です。
 
新卒に対しては、民間の調査による「3年後離職率」がよく話題になります。3年後離職率は主に就活生が会社選びをする時に参考にするデータです。民間企業が各企業に入社者と在籍者の人数について質問し、回答があったデータをもとに計算しています。データを開示している会社もあれば、開示しない会社もあります。
 
いずれにしろ、大卒以上の新入社員の3年後離職率は「30%が目安」といわれています。春に新卒を大量採用するものの、その後の退職者が多く、3年後の離職率が30%を大きく超えているような会社は、学生には「労働環境が疑われる会社」と見なされる可能性があります。
 
 
離職率や定着率は企業の経営者や人事部が常に把握しておきたい数値ですが、求職者にとっても、会社選びの際に確認したいデータとなります。離職率を低く抑えることができれば、会社にとっては採用、教育・研修、求人活動などに費やすコストを削減できるというメリットを得られます。加えて、社員の満足度が高いことを示す指標となり、応募者に対するアピール材料にもなるでしょう。
 

まとめ

このような好循環を生み出すために有用なのがタレントマネジメントシステムという人材管理方法です。科学的人事をワンストップで提供するタレントマネジメントシステム「タレントパレット」では離職防止・定着率向上に向けたモチベーションの可視化やエンゲージメント向上、退職者分析などで離職率を下げ定着率を上げるための施策をご支援しております。お悩みの場合、ぜひお問合せください。