人事書類保管期間は種類によって異なるので注意!効率よく書類を保管する3つの方法を解説


人事書類保管期間は種類によって異なるので注意!効率よく書類を保管する3つの方法を解説

人事書類には保管期間が定められています。その期間は、書類の種類によってさまざまです。保管がしっかりできていないと労働基準監督署や年金事務所に指摘を受ける可能性があります。本記事では、人事書類の保管期限や業務効率を上げる管理方法について解説しています。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「人事書類保管期間は守らないといけないの?」

「どの書類を何年保管すればよいかあまり分かっていない」

「書類の管理がもっとラクにできて、業務の生産性を上げる方法があれば知りたい」

という人事担当の方は多いのではないでしょうか?


人事書類保管期間は種類によって異なり、法改正によって変わることもあるため、新しい情報を常にアップデートする必要があります。そういった管理を人事担当者だけで行うのは容易ではありません。


そこで本記事では

  • 人事書類保管期間についての基本情報
  • 人事書類保管の負担を軽減する方法
  • ペーパーレス化を導入するメリット
  • ペーパーレス化で業務効率アップを図るためのサービス

について解説します。


「テレワークの導入など、働き方の多様化が進んできたので書類の保管についても見直したい」という方のお悩みを解決できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。


人事書類とは企業の人材管理に関する書類

人事書類は企業における人的資源を管理する書類のことです。人事には人材管理に関するさまざまな業務があります。主な業務は以下の通りです。


  • 入退社
  • 人材育成・評価
  • 雇用環境の整備
  • 労務管理
  • 人事異動


人の雇い入れから育成、評価など社員に関するあらゆる業務を人事は行います。そして、人事業務の中で重要なのが人事書類で、多くの種類が存在します。

人事書類の種類

人事書類の具体例

雇用保険

  • 雇用保険被保険者資格取得確認通知書
  • 離職票

労働安全衛生

  • 安全衛生委員会議事録
  • 健康診断個人票

人事労務

  • タイムカード
  • 雇用契約書

労災保険

  • 労災保険に関する支給申請書類

社会保険

  • 資格取得確認通知書
  • 被保険者標準報酬決定通知書

賃金関係

  • 源泉徴収簿
  • 賃金台帳

これらの人事書類ごとに保管すべき期間が定められていますが、書類によって保管期間が異なる点に注意が必要です。どの書類を何年保管するのかについてしっかり把握し、社内で管理する必要があります。


人事書類保管の根拠となる法令

人事書類保管については、根拠となる法令が存在します。保管について定めている法令は、以下の通りです。


  • 労働基準法 第109条
  • 雇用保険法施行規則 第143条
  • 労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則 第72条
  • 労働者災害補償保険法施行規則 第51条
  • 健康保険法施行規則 第34条
  • 厚生年金保険法施行規則 第28条


このように、多くの法律によって人事書類を保管すべきことが定められています。保管がしっかりされているかどうかについて、労働基準監督署や年金事務所が調査を行うことがあるため、法令に則り保管する必要があります。


また、単に保管するだけでなく、内容に不備がないかについても日頃からチェック体制を構築するようにしましょう。


人事書類保管期間は種類によってさまざま

人事書類保管期間は、種類によってさまざまです。ここでは、期限年数ごとにどのような書類があるのかをみていきます。


  • 保管期間が30年の人事書類
  • 保管期間が7年の人事書類
  • 保管期間が5年の人事書類
  • 保管期間が4年の人事書類
  • 保管期間が3年の人事書類
  • 保管期間が2年の人事書類
  • 保管期間が1年の人事書類


保管年数が定められているのには意味があるので、一つひとつ詳しくみていきましょう。


保管期間が30年の人事書類


  • 特別管理物質を製造、取扱をする作業場の常勤労働者に関する作業概要等を記した定時記録
  • 上記労働者に関する特定化学物質健康診断の個人票
  • 電離放射線健康診断の個人票
  • 空気中のクロム等の濃度を測定した定時記録
  • 放射線業務に従事する労働者の線量測定結果に関する記録
  • 焼却施設等での作業に関する記録
  • 常時焼却施設におけるダイオキシン類の濃度測定の定時記録


保管期間が30年の書類は、労働者の安全衛生に関する書類が中心です。特定化学物質や放射線を用いた危険業務に従事する人が、主な対象になります。


長期の保存が義務付けられているのは、業務に起因する健康障害が退職後何年も経ってから現れることがあるためです。


保管期間が7年の人事書類


  • 60歳到達時等賃金月額証明書
  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • 源泉徴収簿


60歳到達時等賃金月額証明書は、60歳以上65歳未満の被保険者が高年齢雇用継続給付を受ける際の手続きに必要な書類です。通常の受給期間が5年ですが、それに加えて受給し終わった後の2年間保存が必要なイメージです。結果、合計7年間保存が必要となります。


給与所得者の扶養控除等申告書等の源泉所得税の対象となる書類は、税務署長から提出を求められることがあるため注意が必要です。


参照元:厚生労働省|Q&A~高年齢雇用継続給付~


保管期間が5年の人事書類


  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 労働契約書
  • タイムカード
  • 身元保証書
  • 健康診断個人票


労働者管理に関する書類は5年です。令和2年の民法改正により、労働基準法の一部にも改正がありました。この改正により、賃金台帳等の保管期間が3年から5年に変更になっている点に注意が必要です。


また、一般の社員が毎年受ける健康診断個人票の保管期限は5年ですが、危険物質等を扱う業務に従事している方の健康診断結果はさらに長期にわたって保存する必要があります。


参照元:厚生労働省|労働基準法の一部を改正する法律(令和2年法律第13号)の概要


保管期間が4年の人事書類


  • 雇用保険被保険者に関する書類


雇用保険被保険者に関する書類として、被保険者資格取得届があります。これは、雇い入れた社員が雇用保険に加入しているかどうかを確認するための書類です。


一人でも労働者を雇用している事業所では、週の所定労働時間が20時間以上かつ、引き続き31日以上雇用される見込みがある人は雇用保険に加入する必要があります。雇用保険に未加入の場合、企業が罰則を受けるだけでなく、労働者が育児休業や介護休業をしたときに給付を受けられないなどのリスクがあります。


参照元:厚生労働省|雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!


保管期間が3年の人事書類


  • 時間外・休日労働に関する協定届(36協定)
  • 労災保険に関する書類
  • 労働保険料等に関する書類
  • 派遣元管理台帳
  • 派遣先管理台帳


法定労働時間を超えて働く、あるいは法定休日に働く場合が想定される事業所では、労働者と使用者が法定労働時間を超えて行う時間外労働や休日出勤について書面を締結しなければなりません。そして、労働基準監督署長に届け出る必要があります。これが36協定です。36協定を締結しないまま長時間労働をさせた場合には、罰則が課されます。


参照元:厚生労働省|時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引


保管期間が2年の人事書類


  • 雇用保険に関する書類(被保険者に関するものを除く)
  • 健康保険や厚生年金保険に関する書類


雇用保険の書類のうち、被保険者資格取得届など被保険者に関する書類は4年ですが、それ以外の書類は2年であることに注意しましょう。


健康保険・厚生年金保険に関する書類には、標準報酬決定通知書などがあります。


保管期間が1年の人事書類


  • 住所変更届
  • 氏名変更届
  • 休暇届や欠勤願


社員の住所や氏名が変わるタイミングは、結婚したときなどです。結婚の場合、配偶者の扶養に入ると、毎月の社会保険料の取り扱いが変わることがあります。また、給与面でも家族手当が支給されたり、通勤手当が変更されたりするでしょう。これらの書類は社会保険料の取り扱いだけでなく、社内の給与支給体系にも関係してきます。


ただし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている場合には、日本年金機構に対して氏名や住所の変更届の提出は不要とされています。


参照元:日本年金機構|日本年金機構におけるマイナンバーへの対応


人事書類保管の負担を軽減する3つの方法

人事書類を何年も保管するとなると、場所の確保が必要です。社員数が多ければ、それだけ負担は増すでしょう。ここでは、書類保管を軽減するための3つの方法を解説します。


  • Excelやスプレッドシートを活用
  • 書類を電子化する
  • 書類の管理ができるサービスの利用


一度に全てを実践するのは容易ではないため、自社に合った方法から取り入れてみましょう。


Excelやスプレッドシートを活用

人事書類の保管期間と管理状況を企業内で共有する際には、Excelやスプレッドシートの利用をおすすめします。紙で書類の保管期間を管理すると、法律変更があったときに新旧の情報が混在してしまいやすいためです。


管理ファイルを企業内のサーバーに入れ複数人で確認し合えば、保管期間が来る前に廃棄してしまったり、いつまでも保管し続けたりすることを防げます。


書類を電子化する

書類自体を電子化する方法もあります。労働基準法施⾏規則の改正で2019年4月1日より、労働契約に関する書類をメールやSNS等を使って明示できるようになりました。これには雇用契約書などがあります。


他の書類に関しても、今後は電子化の流れの加速が予測されます。電子化できるものはペーパーレス化に切り替えることで管理が楽になるでしょう。電子化に関する今後の法改正にも注目です。


参照元:厚生労働省|「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ


書類の管理ができるサービスの利用

書類やデータを一括で管理できるサービスを利用する方法もあります。例えば、社員に関する以下に示すようなデータをシステム上で管理することで、人事データの見える化につながります。


  • 入社時の履歴書
  • 勤怠状況
  • 給与
  • 部署移動の履歴


書類の保管から処分までシステム上において行えるため、紙のように紛失の心配がなく、部署間の共有もスムーズです。


紙の紛失で人事情報が漏洩してしまうと、罰則を受けるリスクがあるため注意が必要です。人事情報漏洩による罰則について詳しく知りたい方は、別記事「人事情報漏洩罰則」をあわせてご確認ください。


ペーパーレス化を推進するメリット3選

ここでは、企業内でペーパーレス化を推進することで得られるメリットを3つご紹介します。


  • 企業のイメージアップになる
  • コストダウンにつながる
  • 業務効率が上がる


一つひとつのメリットについて詳しくみていきましょう。


企業のイメージアップになる

ペーパーレス化の推進で企業のイメージアップにつながります。政府は、働き方改革と並んで地球温暖化対策を最重要課題に設定しています。


企業内で紙の使用量を減らすことで、木材の伐採量の減量につながり、さらには森林保護や二酸化炭素の排出量削減が期待できるでしょう。


対外的には紙の削減によって実際に得られたデータや効果を、企業の公式サイトなどで公表すると効果的です。環境保護やSDGsに対して主体的・積極的に取り組んでいる企業としてアピールでき、企業のイメージが良くなるでしょう。


参照元:環境省|働き方改革とCO2削減等の両立を応援する取組を開始します


コストダウンにつながる

ペーパーレス化によって企業のコストダウンにつながります。紙の使用量が減ったことによって以下のような波及効果が想定できます。


  • インクやトナーの使用量も抑えられる
  • プリンターの台数が少なくてすみ、維持費等も削減できる
  • 紙などの事務用品の購入が減り、ガソリンなどの輸送コストも削減できる


ペーパーレス化によって、紙だけでなくその周辺の機器や事務用品の使用頻度まで抑えられ、コスト削減につながるでしょう。コストを抑えることによって、人材育成などの他の予算に充てることができ、企業内のさらなる活性化が期待できます。


業務効率が上がる

ペーパーレス化によって業務効率が上がります。今後、ペーパーレス化によって電子化が進むと、以下のようなメリットが生まれるでしょう。


  • パソコン内の検索機能を利用することで、多くの書類の中から探し出す手間が省ける
  • 取引先とオンラインでのやり取りで完結できると、郵便などを使用せずにすむ
  • テレワークにおいても、紙の書類を使用しなくなれば紛失防止になる


これらのメリットによって、近年導入が進んでいるテレワークに関しては、取り入れるためのハードルを下げることにもつながるでしょう。


まとめ

人事業務で扱う書類は保険や給与に関連するものが多く、厳重に保管しておく必要があります。労働基準法などによって、1〜30年の保管が義務付けられているものもあります。ただし、すべてを保管していると、保管場所などの管理コストがかかってしまうため、ペーパーレス化を検討するのが良いでしょう。


ペーパーレス化によって業務効率を上げるにはタレントパレットのサービス利用がおすすめです。

タレントパレットでは、入退社等の手続きもスムーズに行え、人事と社員の負担を軽減します。


書類保管以外にもタレントパレットには、以下のような人材データを一元化・分析できるサービスがあります。


  • 社員の入社に関する手続きや身上届などの申請を一括管理
  • 自動更新機能によって申請データを管理
  • 自動チェック機能によって抜け漏れを防止
  • 社員の入社時からの経歴や評価などのデータを時系列で表示
  • 社員のスキルや役職に応じて検索が可能


業務効率によって企業の組織力を最大化するために、ぜひタレントパレットのサービス利用をご検討ください。


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