適所適材と適材適所は違う意味?注目される適所適材(ジョブ型)とは


適所適材と適材適所は違う意味?注目される適所適材(ジョブ型)とは

人材と職務に関する言葉として、適所適材と適材適所という2つの言葉があります。どちらを優先させるかで、企業のあり方そのものも大きく変化する部分があるといえるでしょう。今回は、適所適材の基本的な捉え方や効果的な活用方法を紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


適所適材はジョブ型ともいわれており、その職務に合った最適な人材を選ぶことを意味しています。従来の日本型経営はメンバーシップ型を重視していましたが、社会情勢の変化や働き方への価値観の変化などから、近年ではジョブ型の働き方に注目が集まっているのです。


この記事では、適所適材と適材適所の違い、効果的な運用方法などを解説します。


適所適材とは

適所適材は、場所を表す「所」が先にきていることから、仕事や職務を優先している言葉です。業務内容や求められるスキルを明らかにして、それに見合った人材を配置するという考え方だといえます。


適所適材(ジョブ型)と適材適所(メンバーシップ型)

適所適材と適材適所は、人材と職務がかみ合っているという点では同じ状態を表しますが、企業における人材戦略ではどちらを優先するかはとても重要な課題です。業種や職種、企業規模などによって優先すべき課題は異なりますが、組織のあり方としてどちらの方向性で経営を行っていくかは大切だといえるでしょう。


適所適材はジョブ型といわれますが、適材適所はメンバーシップ型といわれています。企業風土や組織作りにも影響を与える部分なので、自社の現状を踏まえた上で考えていく必要があります。


適所適材と適材適所の違い

適所適材においては、仕事や職務を優先しているため、「職務にとって最適な人を選ぶ」といった意味合いがあります。一方、適材適所は「その人材にとって最適な職務を選ぶ」という意味を持っており、人材と職務についてどちらの言葉も語っていますが、意味は大きく違っています。


ビジネスでは適所適材のジョブ型配置が必要

ビジネスの領域においては、適所適材のジョブ型が注目されています。なぜ注目されているのか、メリット・デメリットなども含めて解説します。


メンバーシップ型からジョブ型への転換

従来の日本的経営のあり方は、メンバーシップ型が主流だったといえます。メンバーシップ型とは、労働時間や職務内容を限定せずに、「人に仕事をつける」方法です。


そのため、部署間の異動や転勤、残業などを企業は命じることが可能で、人材の適性としては人柄やコミュニケーション能力が重視されていました。従業員は解雇されにくい環境で長期にわたって働くことができたのが特徴です。


一方、ジョブ型は「仕事に人をつける」方法であり、労働時間や職務内容などは雇用契約を結ぶ段階できちんと明示されます。業務に対する責任の度合いや専門性の高さなどで給与や待遇が決まり、契約期間が終了すれば解雇となる場合があります。


しかし、日本においては正社員の立場であれば、容易に解雇されない仕組みとなっているのでジョブ型に対する注目が集まっているといえます。日本では長期にわたる経済の低迷から、終身雇用制度や年功序列といった仕組みが崩れ、次第に成果主義へとシフトする流れが生まれてきました。


つまり、メンバーシップ型からジョブ型へ転換する動きが出てきており、働き方に対する価値観の変化から様々な企業で取り入れられるようになっています。


適所適材の配置メリット

適所適材の考えに基づき人員配置を行うメリットとしては、優秀な人材に高いレベルの職務を任せられる点があげられます。ジョブ型では、スキルに見合った職務を割り振るため、従業員はそれぞれの能力に応じて専門性を身につけられます。


職務や勤務地、労働時間や給与などが最初から明示されているので、待遇面での不満が出にくいのも特徴です。事業環境の変化に合わせて、組織を変えていきやすいというメリットがあります。


適所適材の配置デメリット

適所適材で人員配置を行うデメリットは、契約した職務以外を任せられない点があげられます。ジョブ型の仕組みにおいて従業員は、契約した職務しか担当できません。


そのため、部署で欠員が生じた際に他の部署から人を補充することが難しいというデメリットがあるのです。また、ジョブ型は優秀な人材を育成しやすいですが、その分だけ他社から引き抜かれてしまうというリスクもあるでしょう。


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適所適材で人員配置を考えることで、優秀な人材に高いレベルの仕事を任せられますし、人材育成を行いやすい環境を整えられるでしょう。メンバーシップ型からジョブ型に転換するには、まずは組織の現状をしっかりと把握することが重要です。


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適所適材をチームとして機能させるための大切な4つのステップ

適所適材の考えをチームとして機能させるには、基本となる4つのステップを押さえておく必要があります。各ステップのポイントを見ていきましょう。


仕事のゴールを共有

まず、チームとしての仕事のゴールをメンバー間で共有する必要があります。ジョブ型においては、個々の従業員の職務はあらかじめ決められていますが、チームとしてのも目標が初めから浸透しているわけではありません。


そのため、チームとしての達成目標を認識してもらうことで、組織としてのまとまりが出てくるでしょう。


個々の目標と会社の目標のすり合わせ

次に、1on1ミーティングなどを通じて、個々の従業員の目標と会社が目指す目標を確認する必要があります。従業員と会社が同じ方向で歩みを進めていかなければ、経営課題を解決できないだけでなく、従業員のモチベーションも低下する要因となるでしょう。


従業員にとっても、自らのキャリアパスを見直すきっかけになるので、丁寧にコミュニケーションを図っていくことが大切です。


問題に対して、できることや強みの共有

従業員が主体的に掲げた目標に対して、日々の業務を通じて何ができるのかや、本人の強みをどのように活かすのかといった点を共有しておく必要があります。強みとなる部分を現在の職務の中でいかに発揮するのかを本人と一緒に考えてみましょう。


また、直属の上司だけでなく、チームメンバー同士で知恵を出し合って問題を乗り越える解決策を練ってみるのも効果的です。


成功体験の共有とお互いの尊重

そして、1ヶ月や半年ごとにメンバー間で、ゴールに向けた進捗状況や成功体験などを共有してみましょう。自らの取り組みを振り返ることで、モチベーションの向上につなげられます。


身近なチームメンバーの活躍を見ることで、お互いに対する尊敬なども生まれてくるでしょう。小さな成功体験を積み重ねていけば、やがて大きな目標にも挑戦できるようになるはずです。


適所適材(ジョブ型)を配置する方法

適所適材の考え方を自社の経営や人材戦略に活かしていくには、どのような形で導入するかを検討する必要があります。それぞれのポイントを解説します。


一部だけ適所適材(ジョブ型)導入する

初めて適所適材の人員配置を行うのであれば、まずは一部の部門だけを対象にするなど、限定してみると良いでしょう。一定の期間取り組んでみることで、効果検証を行えるので他の部門やチームにも適用すべきか検討できるはずです。


すべて適所適材(ジョブ型)に切り替える

全社的に適所適材に基づく人員配置にすることも1つの方法です。一気に変化を起こすことで、企業風土そのものを変えていけるでしょう。


一方で、急激な変化は従業員にストレスを与える要因にもなるので、丁寧にケアを行っていくことが大切です。それぞれの従業員に対して、会社の方針に協力してもらえるよう説明を重ねてみましょう。


適所適材(ジョブ型)と適材適所(メンバーシップ型)を併用する

ジョブ型が向いている部門がある一方で、メンバーシップ型が向いている部門もあります。併用することで、それぞれの良い点を活かせますし、柔軟な対応ができるようになるでしょう。


併用してみた効果検証を行ってから、どちらにすべきか決めてみるのも良いといえます。併用する場合は、ジョブ型の短期間でキャリアを形成し、成果に対して評価を行うという良い部分を取り入れながら、メンバーシップ型の組織全体の成長による評価という点も取り入れられるので多様なニーズに応えられるといえるでしょう。


適所適材ジョブ型人事制度の流れと導入会社

適所適材の人員配置や人事制度を検討する際は、すでに導入している企業の事例から学んでみるのも参考になるはずです。ここでは、ジョブ型人事制度を導入する流れや導入した企業の事例を紹介します。


ジョブ型人事制度の流れ

ジョブ型人事制度を導入する基本的な流れは、以下のとおりです。

1.どの職種までをジョブ型人事制度の対象とするかを検討する

2.全職種の職務を洗い出す

3.洗い出した職務を評価して、価値を測定する

4.職種別に等級を設定する

5.職務ごとに報酬を決める

6.職務内容を定期的に見直す

まず、どの範囲までジョブ型人事制度を適用するのかを検討します。一部の職種に限定するのか、全面的に適用するのかを考えてみましょう。そして、全職種の職務を洗い出した上で、職務の難易度や重要性に沿って等級を分けし、報酬を決めます。


実際に運用を開始したら、最低でも年に1回は職務内容を見直して、従業員と認識のズレが生じていないかを確認してみましょう。


ジョブ型人事制度の導入企業の例

ジョブ型人事制度を導入している企業の事例として、富士通株式会社があげられます。富士通では2020年4月から、15,000人の管理職を対象としてジョブ型に移行しており、国内外において職務基準を統一しています。


また、株式会社日立製作所も、世界各地に工場や営業所を構えている企業です。グローバルな人材を育成するためにはメンバーシップ型では対応できないため、特定地域・特定分野においてプロフェッショナルな人材の育成に努めています。


さらに、KDDI株式会社では労働人口の減少や業界の競争激化といった背景から、組織を継続的に成長させるためにジョブ型へと移行しました。ただし、業績のみを評価の対象とするのではなく、人間力に対する評価も重視しており、ジョブ型とメンバーシップ型を併用した人事制度を適用しています。


まとめ

適所適材の人員配置はジョブ型ともいわれ、日本においても従来のメンバーシップ型の人事制度から転換を図る企業が増えています。特にグローバルに事業を展開する企業ほど、多様な人材を育成するために、ジョブ型の人事制度への関心が高いといえるでしょう。


時代に対応した人事制度を整え、変化する事業環境に対応するには、ジョブ型とメンバーシップ型の良い点を精査した上で、自社に合った仕組みを整えていく必要があります。そこで活用したいのが、「タレントマネジメントシステム」です。


タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。人材一人ひとりのスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。


また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、「人事制度に関する不満を減らしたい」「グローバルな人材を育てたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。


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