ソーシャルスタイルとは?4つのソーシャルスタイルと有効な活用方法を解説


ソーシャルスタイルとは?4つのソーシャルスタイルと有効な活用方法を解説

企業のコミュニケーション円滑化や適切な人員配置にはソーシャルスタイル理論の活用が効果的です。ソーシャルスタイル理論をビジネスに取り入れれば従業員の能力開発につながるだけでなく、取引先との信頼関係構築にも役立ちます。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業のコミュニケーション円滑化や適切な人員配置にはソーシャルスタイル理論の活用が効果的です。ソーシャルスタイル理論をビジネスに取り入れることで従業員の能力開発につながるだけでなく、取引先との信頼関係構築にも役立ちます。当記事では、人間関係の観点から業務効率化につなげたいとお考えの人事・総務担当者向けにソーシャルスタイルの基礎知識や活用方法、導入時の注意点を解説します。

ソーシャルスタイルとは?

ここ数年、様々な企業で「ソーシャルスタイル理論」が注目されています。ソーシャルスタイルとは、個人の気質やワークスタイルを感情表現と意見表出の2つの軸で分析し、行動パターンを見極める性格理論です。

ソーシャルスタイル理論では、人間は感情と意見のバランスによって以下の4つに分類できます。

  • ドライビングタイプ(感情表現が弱く意見表明が強い)
  • エクスプレッシブタイプ(感情表現・意見表明ともに強い)
  • エミアブルタイプ(感情表現が強く意見表明が弱い)
  • アナリティカルタイプ(感情表現・意見表明ともに弱い)


個人を4つのカテゴリにあてはめたうえで本人の資質に適した役割やポジションを導き出すのがソーシャルスタイル理論の目的です。ソーシャルスタイル理論は1968年、アメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論で、日本でも企業研修や営業の基礎理論として活用されています。

ソーシャルスタイルを理解する目的

ソーシャルスタイル理論を理解し、ビジネスに取り入れれば、企業内部や対外的なコミュニケーションを円滑に行えるようになるでしょう。

たとえば、感情表現と意見表明がともに豊かな人に対しては論理に基づいた活発なコミュニケーションが有効です。あるいは、感情表現・意見表明がどちらも控えめな人に対しては勢いではなく、じっくりと筋道を立てて意見を聞き出す手法が効果的でしょう。

このように、ソーシャルスタイル理論を取り入れることで個人に適したコミュニケーションスタイルや働き方を可視化でき、人間関係の円滑化やモチベーションアップを実現できます。ソーシャルスタイル理論は人材の配置や取引先との信頼関係に活用されています。

ソーシャルスタイルで分類できる4つのタイプとは

ソーシャルスタイル理論では「感情表現」と「意見表出」の2つの軸に基づき、個人を4つに分類しています。それぞれの特徴や長所・短所を見ていきましょう。

ドライビング

ドライビングは感情を抑え、論理を優先してコミュニケーションを取るタイプです。ビジネスでは合理性を重視しプロセスよりも結果に価値を置く傾向があり、最短のプロセスで結果を出そうとします。

論理的思考力に優れ、業務効率を向上させられる点が強みです。一方、合理性が行き過ぎると時として非情な一面が強まり、利己的・打算的に思われてしまう欠点があります。決断力が高いため、上司やプロジェクトリーダーとしても力を発揮するでしょう。

能力が高いほど独断による言動が目立ち、グループ内で孤立しやすいため、上司や同僚がさりげなくパイプ役を果たすことでコミュニケーションをサポートする必要があります。

エクスプレッシブ

エクスプレッシブは感情表現・意見表明ともに得意なタイプです。夢や理想を何よりも大切にしており、仕事でも面白いことや楽しいことを発見するとモチベーションが上がります。明るい性格で世話好きなため、グループではムードメーカーとして周囲の気分を高めてくれるでしょう。

新しい仕事にも自発的に取り組み、自ら斬新なアイディアを積極的に打ち出すためリーダーに向いています。反面、気分に左右されやすくその場の気分や勢いで意見を変えてしまうのが欠点です。また、基本的に飽きっぽく、同じ仕事を長い期間こつこつ続けるのも向いていません。

感情が先行するあまり細かい論理を無視してしまう面があるため、データやエビデンスをさりげなく補完してくれるタイプがサポート役になれば本来の素質を発揮できます。

エミアブル

エミアブルは自己主張が苦手で、感受性豊かなタイプです。自分の意見よりも相手の心情や快適さを優先するため調和型とも言えるでしょう。

何事にも慎重派で、リスクを取って新たなことにチャレンジするのは不得意です。反面、普段からグループの雰囲気を観察しており、同僚や上司、部下とのコミュニケーションをまめに行うため、メンバー間に自然と連帯感が生まれます。親しみやすいと言われるのもこのタイプです。

エミアブルに最も向いているのはグループ内の調整役です。差し迫った決断が必要な場面では誰かが根拠に基づき、判断の方向性を示すことで自己主張をしやすくなります。

アナリティカル

フィジカルな業務よりも分析型の業務が向いているタイプです。感情表現・意見表明ともに控えめで、グループ内でも積極的にコミュニケーションを取らないため、周囲からは「考えていることがわからない」と思われてしまう面もあります。

感情よりも論理を優先するため、データやエビデンスに基づいた分析・仮説立証が得意です。反面、結果の確実性を重視するため業務には基本的に時間がかかります。また、他者とのコミュニケーションに消極的なため、グループ内で孤立しないよう注意が必要です。

グループ内の調整役やスピーディな決断が求められる業務には向いていませんが、専門性をじっくりと活かせるプロジェクトでは力を発揮します。

ソーシャルスタイルの活用方法


ソーシャルスタイル理論はビジネスや教育など、幅広い領域で応用されています。ソーシャルスタイル理論の効果的な活用方法を見ていきましょう。

自分のソーシャルスタイルを知る

ソーシャルスタイル理論のメリットは自己分析への活用です。自分が4つのタイプのどれにあてはまるかを把握すると長所・短所が見えやすくなり、向いている仕事や伸ばすべき能力がわかります。

たとえばドライビングタイプの場合、長いスパンで結果を出すプロジェクトよりも即断即決が求められる新規事業のほうが得意です。あるいは共感性の高いエミアブルの場合、論理優先のコミュニケーションが求められる業務ではストレスを感じてしまうかもしれません。

仕事や人間関係でストレスを感じる場合、本来のソーシャルスタイルと求められるソーシャルスタイルが合っていない可能性があります。職業適性のミスマッチは自分にとっても、また会社側にとっても大きなロスです。タイプごとの特性や適職を把握することで自分が本当に能力を活かせる環境が見つかります。

相手のソーシャルスタイルを知る,

ソーシャルスタイル理論を正しく活用すると他者理解につながります。職場のメンバーに対して「何となく相性が合わない」と感じるのは、ソーシャルスタイル上のコミュニケーションが合っていないのかもしれません。

たとえば、相手に共感したいエミアブルタイプの人に理詰めのコミュニケーションを求めてはストレスを与えてしまいます。また、結果を重視するドライビングタイプの人に物事の経緯をゼロから詳しく話しても親身には聞いてもらえないでしょう。相手のソーシャルスタイルを理解することでコミュニケーションが円滑に進められます。

上司の立場なら、部下のソーシャルスタイルを把握することで適正な人材配置のヒントとして活用できます。適材適所の人材活用を徹底すれば上司・部下双方のストレスが軽減されるでしょう。ソーシャルスタイル理論は能力適性の視覚化だけでなく、職場のメンタルケアにも有効です。

相手のソーシャルスタイルに合わせてコミュニケーションを取る

他者のソーシャルスタイルを理解したら、次は実践に役立てましょう。相手のソーシャルスタイルに合わせたコミュニケーションを心がけることで双方のストレスを軽減し、時間と労力を削減できます。

たとえば、共感への欲求が強いエミアブルタイプの人にいきなり論理的な説明を求めるとストレスがかかり、心理的に委縮してしまいます。この場合は結果よりもプロセスを重視し、課題を達成する度に努力を評価することが重要です。

このように、個人のソーシャルスタイルに合わせたコミュニケーションを意識すると対人関係のストレス・すれ違いを防止できます。また、ソーシャルスタイルに目を向けることで「自分のことをわかってもらえている」という気持ちにつながるため、信頼関係の構築にも有効です。

ソーシャルスタイルの活用だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

ビジネスではソーシャルスタイルとその他人事データを複合的に活用した業務効率化が重要です。

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人事評価だけでなく採用管理や労務管理、e-ラーニングなどの業務をシステム化できるため、人員管理の労力を大幅に節約できます。

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ソーシャルスタイルをビジネスで活用するメリット

ソーシャルスタイルはビジネスでは必須の理論として受け入れられています。企業がソーシャルスタイルを取り入れるメリットを見ていきましょう。

業務の効率化につながる

従業員のソーシャルスタイルに合わせた人材登用・コミュニケーションを徹底すれば個人の能力が存分に発揮され、業務効率化につながります。

人間誰しも、得意な仕事を任されるとやる気が出るでしょう。リーダーやサブリーダー、リサーチャーなどそれぞれのポジションに適任者を配置することで業務に流れが生まれ、なおかつ従業員のモチベーションが向上します。

また、異なるソーシャルスタイルを組み合わせることで従業員同士の長所・短所を保管できるため、業務停滞や重大なミス防止にも有効です。

交渉力や提案力が身につく

相手のソーシャルスタイルに合った交渉を意識すると提案が受け入れられやすくなります。たとえば、決断力のあるドライビングタイプの相手には結論から切り出し、具体的なデータをもとに交渉すると理解されやすいでしょう。熟考したいアナリティカルタイプの場合、エビデンスやデータを固めてプロセスから丁寧に説明するのが効果的です。

また、ソーシャルスタイルに基づいた提案・交渉は信頼関係構築にも有効なため、営業やプレゼンテーションでは特に効果を発揮します。

円滑な人間関係を築ける

それぞれのソーシャルスタイルに沿ったコミュニケーションを意識すると信頼関係が自然と構築され、円滑な人間関係を築けます。商談でも相手のソーシャルスタイルをふまえたプレゼンテーションや交渉を行うと話が聞き入れやすくなります。

また、相手のソーシャルスタイルを理解すると自分のソーシャルスタイルも尊重されるため、仕事へのモチベーションアップにも有効です。

ソーシャルスタイル別のコミュニケーションの取り方

職場では相手に合わせた臨機応変な対応が必要です。ソーシャルスタイル別に有効なコミュニケーション方法を見ていきましょう。

ドライビング

上司がドライビングタイプの場合、何事も結論優先で論理的に伝える必要があります。ドライビングタイプにとっては結論や成果が何よりも重要であり、プロセスや達成までの努力はあまり重要ではありません。プレゼンテーションではデータやエビデンスを結論とともに提示し、スピーディな決断をサポートすると効果的です。

部下がドライビングタイプの場合、最終的な目標を提示してプロセスを一任するとモチベーションが上がります。仕事の進め方を事細かに指示すると「上から管理されている」と思われるため逆効果です。ただし、潜在能力が高い従業員の場合、任せすぎると独断専行が目立ってしまうため業務の進捗をさりげなく確認できる体制づくりが重要です。

エクスプレッシブ

上司がエクスプレッシブタイプの場合、理想や情熱に心からの賛意を示すとモチベーションが上がり、信頼関係が深まります。ビジョンやアイディアを論理的に否定すると本来の能力が発揮されません。発想力が豊かなため、斬新なアイディアを積極的に出してもらい細かいデータや論理をあとから補完することでバランスが取れるでしょう。また、エクスプレッシブタイプの上司は基本的に世話好きのため、こまめに悩みや相談を持ちかけるのも信頼関係構築に有効です。

部下がエクスプレッシブの場合、ゴールの提示とミスの最終確認が上司の役割です。独自の方法で業務を遂行するのが得意なため、ある程度任せておいても望ましい結果を出してくれます。ただし、あまり放っておくと勢いと気分を優先し業務の方向性を見失ってしまう可能性があるため、「例のプロジェクトは順調に進んでいるかな?」などの声かけでさりげなく進捗をチェックしておきましょう。また、エクスプレッシブの部下が夢や理想、新しいビジョンを語ったら細かい矛盾を指摘せず熱意と意欲に共感するとモチベーションがさらに上がります。

エミアブル

上司がエミアブルタイプなら、結果よりもプロセスを重視した報告・連絡が重要です。理詰めではなく、「全員の協調が取れています」などと空気や感情をまじえて物事を伝えたほうが受け入れやすいでしょう。新規プロジェクト提案の際にはデータやエビデンスをあえて後回しにして、「みんなでプロジェクトを立ち上げましょう」のようにチームで協力する点を強調すると心理的負担がなくなり賛同を得やすくなります。

部下がエミアブルタイプの場合、適切な共感と承認が有効にはたらきます。プロジェクトを任せる際は業務の流れをゼロから順を追って説明し、疑問や不安を取り除くコミュニケーションが重要です。また、業務遂行のプロセスをこまめにチェックし、ポジティブな声かけを続けることでモチベーションの維持につながります。エクスプレッシブタイプは基本的に決断が苦手でプレッシャーに弱いため、プロジェクトを託す際はリーダーシップのあるパートナーと組ませたり、チーム型のプロジェクトにしたりなどの工夫が必要です。

アナリティカル

上司がアナリティカルタイプの場合、データとエビデンスに基づいた報告・連絡が大切です。アナリティカルタイプは曖昧さを嫌うため、主観をまじえたコミュニケーションはわかりにくくストレスが溜まります。やむを得ず急な決断が必要な場合は、決断に必要なデータやエビデンスを提示したうえで決断を急ぐ理由を論理的に伝えるとコミュニケーションがスムーズです。

部下がアナリティカルタイプの場合、細かい業務でも充分な時間を与えましょう。重要なプロジェクトだからと結論を急ぐと心理的負担が高まり、モチベーションが低下します。特に即断即決がモットーのドライビングタイプは何事も熟考するアナリティカルがもどかしいかもしれませんが、待つことも上司の大切な役割です。評価の際はプロセスや専門性の高さに着目するとモチベーションを引き出せます。

ソーシャルスタイルを活用する時の注意点


ソーシャルスタイルをビジネスで活用する際は以下の点に注意が必要です。

  • ソーシャルスタイルは状況に応じて変化する
  • ソーシャルスタイルは経験と努力で変えられる
  • ソーシャルスタイルのみで優劣をつけない


個人の中には複数のソーシャルスタイルが共存し、状況や与えられるポジションによって強く表れるスタイルが変わります。たとえば、普段は感情優先のエクスプレッシブタイプでも大規模なプロジェクトのリーダーになれば、エミアブルタイプのような共感性やアナリティカルタイプの強みである分析力を発揮する場合もあるでしょう。ただし、それはあくまでも努力と経験によって身につけたサブスタイルであり、メインがエクスプレッシブタイプである点は変わりません。

また、ソーシャルスタイルは性格傾向の一面であり、能力の優劣を意味しません。したがって、「彼は即断即決でミスが多いからだめ」「彼女は決断が遅いから仕事ができない」とソーシャルスタイルのみを根拠に能力を評価し、査定と結びつけるのは避けましょう。

ソーシャルスタイルとその他の人事データを組み合わせ、複合的に評価を行うのが重要です。

まとめ

ソーシャルスタイル理論では個人を感情表現・意見表明の2つの軸で分類する手法を指し、以下のカテゴリがあります。

  • ドライビングタイプ(感情表現が弱く意見表明が強い)
  • エクスプレッシブタイプ(感情表現・意見表明ともに強い)
  • エミアブルタイプ(感情表現が強く意見表明が弱い)
  • アナリティカルタイプ(感情表現・意見表明ともに弱い)


ソーシャルスタイル理論をビジネスに活用することで従業員の行動特性や長所・短所が可視化され、コミュニケーションの円滑化および業務効率化に役立ちます。ただし、ソーシャルスタイルは個人の特性の一部であり、能力の優劣を意味しません。また、ソーシャルスタイルは状況や経験、努力によってある程度柔軟に変わるため、ソーシャルスタイルのみで個人の資質を決めつけたり、安易に査定したりするのはやめましょう。

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