あなたの会社の定着率は高い?低い? 定着率の平均値はどれくらい?


あなたの会社の定着率は高い?低い? 定着率の平均値はどれくらい?

自社の社員の定着率が高いのか低いのかは、人事担当者ならずとも関心のあるテーマなのではないでしょうか。一般的な会社の定着率の平均値はどれくらいなのか、定着率を向上させるためには何が必要なのかなど、定着率について解説します。

定着率とは

 
まずは定着率とは何かなど、基本的なことから説明していきます。
 

会社に残っている社員の割合が「定着率」

定着率とは、ある一定期間後にも会社に在職している社員の割合のことです。定着率は法的な定義や計算方法が定められているわけではありませんが、一般的に次の計算式で求められます。
 
定着率=元の社員数÷一定期間後に在籍している社員数×100(%)
 

離職率と定着率の違いは?

 
一方、社員がどれくらい辞めてしまったのかを表すのが「離職率」です。一般的に、離職率は定着率と対になるデータです。つまり、離職率がわかれば定着率もわかりますし、定着率がわかれば離職率もわかるということです。
 
たとえば、2020年4月1日の時点で50人の社員がいて、2021年3月末に45人に減っていたら、定着率は45÷50×100で90%です。一方、離職率は100-90で10%です。
 

定着率の平均値

日本の企業の平均的な定着率を知るには、厚生労働省が毎年公表している「雇用動向調査」のデータが役に立ちます。
雇用動向調査では離職率がわかります。同調査の離職率は「常用労働数に対する離職者の割合」で計算されています。
 
「雇用動向調査」によると、令和2年(2020年)の離職率の全国平均は14.2%でした。ということは、定着率は85.8%です。就業形態別では、一般労働者の離職率は10.7%(定着率は89.3%)、パートタイム労働者の離職率は23.3%(定着率は76.7%)となっています。
 
雇用動向調査についてはこちらの記事も参照ください。
※上記「30.人事担当者が知っておくべき「離職率」と「定着率」の計算方法」に遷移します。
 
ちなみに、新卒の場合はよく「3年後離職率」が話題になります。いろいろな調査結果がありますが、大まかには3年後離職率の目安は30%だといわれます。つまり、定着率は70%が平均的なデータともいえるでしょう。新卒の3年後の定着率が70%なら平均的な会社、それ以上なら定着率の高い会社、未満なら定着率の低い会社と見ることができます。
 
 

定着率が高いのはどんな会社?

 
定着率が高いのは、次のような条件を満たしている会社です。
 
・働きやすい環境や制度が整っている
・能力や成果に応じて正当に評価され、給与が支払われる
・業績や財務状況が良好
・安全や健全性が確保・維持されている
・コミュニケーションが活発で、社員と企業カルチャーとの親和性が高い
 
最近では身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを示す「ウェルビーイング」という言葉が注目されています。社員・社員が心身ともに健康的に、仕事もプライベートも充実感を持って生活できていることが、社員満足度や社員エンゲージメントを高めるポイントだといえます。
 
 

定着率を上げる方法

 
具体的に会社側がどのようなことに力を注げば社員の定着率は上がるのでしょうか。4つの方法を紹介します。
 

福利厚生を充実させる

企業が社員に提供する給料以外の報酬やサービスが福利厚生です。社員だけではなく、その家族も含めてより良い生活を送れるような施策が可能であることから、ウェルビーイングを実践する方法としても再評価されています。
 
昨今の傾向としては、住宅手当など住宅関連、人間ドックやメンタルヘルスなど健康・医療関係、法定外の育児・介護関連、自己啓発関連、弔事・災害関連、財産形成関連などの福利厚生を用意する企業が増えています。
 

明確な評価制度の整備

能力や成果によって正当な評価を受けられ、対応した給料が支払われる制度を整えることもマストです。
 
評価制度にもトレンドがあり、最近ではランク付けを廃止するノーレイティング、行動にフォーカスしたバリュー評価、直属の上司以外の社員(同僚や部下)からも評価を行う360度評価などがよくメディアに取り上げられています。これも明確かつ時代に即した評価が求められている現れでしょう。
 

心理的安全性の確保

心理的安全性という言葉も注目されています。社内のメンバーがそれぞれ不安や恐怖を感じることなく発言・行動することができる状態を指す言葉で、社員が心地よく快適に働くためには非常に重要だとされています。
 
心理的安全性を高めるには制度を整える必要もありますが、話しやすい雰囲気や誰でも発言しやすい機会の創出、ポジションに縛られない相互的なリスペクトなどの企業カルチャーや社風を育てていくことが求められます。
 

最適配置と社員教育

社員がそれぞれの能力・経歴・志向・性格などに応じて最適なポジションに就くことで、やりがいや働きやすさが生まれます。また、そうした人材ごとの特徴を踏まえた教育・育成機会が与えられれば、能力をもっと伸ばし、必要な知識を蓄積して成長することができて会社に対するエンゲージメントも向上するでしょう。
 
これらを実現する方法として注目されているのが、人材情報を見える化して把握し、最適配置や社員教育、さらには人材評価や採用などにも役立てるタレントマネジメントというフレームワークです。また、人材情報をデータ化して管理するためのタレントマネジメントシステムというツールの活用も広がっています。
 
 
社員の定着率を向上させるにはさまざまな方法がありますが、どの方法を選択する場合でもまず基本となるのは、社内の人材に関する情報をしっかりと把握することです。
 

まとめ

 
タレントパレットは、科学的人事をワンストップで提供するタレントマネジメントシステムです。社内の人材情報を一元管理し、搭載された多彩な分析機能を活用することで、エンゲージメント向上・定着率向上を実現するための人材管理・人材戦略に活用できます。