情意評価の目的とは?メリットや注意点とともに導入のコツを解説


情意評価の目的とは?メリットや注意点とともに導入のコツを解説

情意評価とは、従業員の仕事に対する意欲や態度を評価する人事評価です。しかし、基準がわかりづらいため、人事担当者は情意評価で悩む傾向にあります。そこで本記事では、情意評価の目的やメリット、注意点をわかりやすく解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

従業員の働きぶりを査定する際には、業績評価や能力評価だけではなく、情意評価も重要です。情意評価とは、従業員の仕事に対する意欲や態度を評価する人事評価です。本記事では、情意評価の目的やメリット、注意点をわかりやすく解説します。

情意評価とは?目的や必要性

情意評価とは人事評価の一つで、従業員の仕事に対する姿勢や意欲を評価する手法です。情意とは、「思い、気持ち」を指す言葉で勤怠やモラル、協調性などが評価の対象になります。

情意評価の目的は、従業員の内面的成長を企業風土の醸成につなげる点です。仕事に対する積極性や責任感、周囲への思いやりなどは、業績や能力だけでは測れない重要な要素です。これらを評価すれば、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高められます。
また、人材や組織の多様化に対応する目的もあります。そのため雇用形態や個性が異なる従業員が増える中で、企業理念やビジョンに沿った行動ができているかどうかを見極める点が重要です。

情意評価は4項目ある


情意評価には規律性、協調性、積極性、責任感の4項目があります。どれも業務遂行に必要な姿勢を表していて数字として表しにくい部分ですので、どのように評価すれば良いか解説します。

1.規律性

規律性とは、会社や社会のルールや規範を守って行動できるかどうかを示す項目です。たとえば、勤怠やコンプライアンス、モラルなどが評価の対象になります。規律性が高い従業員は、信頼や安心感を周囲に与えられます。

規律性が低い従業員は、遅刻や欠勤が多かったり約束や期限を守れなかったりなど組織の信用や業績に悪影響を及ぼすだけでなく、他の従業員のモチベーションや士気も下げてしまいかねません。

2.協調性

協調性とは、他の従業員と仲良くやっていけるかどうかを示す項目です。たとえば、チームワークやコミュニケーション、サポート体制などが評価の対象になります。協調性が高い従業員は、組織の一体感や連携力を高められるのです。

協調性が低い従業員は、自分勝手な行動をしたり他人の意見を聞かなかったり、人間関係にトラブルを起こしたりする可能性があります。業務の効率や品質に悪影響を及ぼすだけでなく、組織の雰囲気や文化も損ねてしまうおそれが考えられます。

3.積極性

積極性とは、自分から進んで行動できるかどうかを示す項目です。たとえば、自己啓発や課題発見、提案や挑戦などが評価の対象になります。積極性が高い従業員は、業務の改善や革新に貢献できるでしょう。

積極性が低い従業員は、自分の仕事以外に関心を持たなかったり、新しいことに挑戦しなかったりする可能性があります。これらの行動は業務の成長や変化に対応できなくなってしまうおそれがあります。

4.責任感

責任感とは、自分の仕事に対して責任を持って取り組めるかどうかを示す項目です。たとえば、目標達成や品質管理、報告や指導などが評価の対象になります。責任感が高い従業員は、業務の成果や品質を向上させられます。

責任感が低い従業員は、仕事を中途半端にしたりミスや失敗を隠したりする可能性があります。業務の信頼や評価に悪影響を及ぼすだけでなく、他の会社にも迷惑をかけるおそれがありますので要注意です。

企業が情意評価を導入するメリット

企業が情意評価を導入するメリットは、主に3つ挙げられます。それぞれ詳しく解説しますので、ご覧ください。

数字では見えない部分を評価できる

業績評価や能力評価では売上や成果といった定量的な指標で評価しますが、情意評価では意欲や態度といった定性的な指標で評価します。そのため、成果には現れないものの組織にとって好影響をもたらす従業員を評価できます。

たとえば、成果は出すが周囲との関係があまり良くない従業員は、業績評価や能力評価では適切に評価できません。しかし、情意評価ではより多角的に長所や短所を見極められるのです。

社内チームの連携強化に役立つ

協調性や規律性といった組織力向上に欠かせない要素を評価するため、チームワークやコミュニケーションを促進できるのです。 協調性や規律性が高い従業員が増えれば、組織の雰囲気や文化も良くなって従業員の居心地や帰属意識も高まります。 組織内で仕事が円滑に進みやすくなるだけではなく、離職率の低下にもつながるでしょう。

社内の人材育成に効果がある

積極性や責任感といった自己成長に必要な要素を評価します。そのため、自己研鑽や課題発見といった行動を推進できます。

積極性や責任感が高い従業員は業務の改善や革新に貢献できるので、将来的には会社を背負ってくれる従業員に成長するでしょう。また、情意評価はフィードバックやコーチングに活用できるため、従業員の強みや弱みを把握してスキルアップやキャリアアップにつなげられます。

情意評価を導入する際の注意点


情意評価にはメリットがありますが、導入する際には注意すべき点も存在します。そこで主な注意点を3つ詳しく解説します。

具体的な目標の設定が難しい

業績評価や能力評価では数字や実績など具体的な評価基準がありますが、情意評価では対象となる従業員のイメージや雰囲気に左右されがちなので平等な評価が難しくなります。

そのため、たとえば「積極性」を目標にする場合、どのような行動が積極的とみなされるか、どの程度の頻度や質で行う必要があるかなどを明確にしなければなりません。

できるだけ評価者の主観が入らないようにして、具体的な行動を挙げる工夫が必要です。

主観的な評価になりがち

数字やデータでは表せない部分を評価するので、評価者の感覚や印象に左右されやすくなります。そのため、ハロー効果と呼ばれる現象が起こりやすくなるのです。

ハロー効果とは、ある対象を評価するときに目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴の評価が歪められてしまう現象を指します。たとえば「協調性」という評価基準がある場合、話しやすい人や明るい人のほうが印象として高評価になりがちです。

評価基準を行動レベルに落とし込む必要がある

規律性・協調性・積極性・責任感といった抽象的な項目を評価しますが、そのままでは具体的にどういう行動をすればよいのかわかりません。そのため、各項目に対して具体的な行動例やレベル別の基準を設定する必要があります。

たとえば「責任感」という評価基準がある場合、以下のような基準を設けると効果的です。

  • 責任感レベル1:自分の仕事は最後までやり遂げる
  • 責任感レベル2:自分の仕事に加えて、チームの仕事にも責任を持つ
  • 責任感レベル3:自分の仕事やチームの仕事に加えて、組織全体の仕事にも責任を持つ


このように具体的な行動として評価基準を明記すれば、主観性の排除にも役立つでしょう。

情意評価の導入だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

情意評価は従業員の内面や姿勢を評価して、エンゲージメントや離職率などの人事指標に良い影響を与えます。情意評価の結果だけでなく、他の人事データとも統合して分析することが必要です。たとえば、情意評価と業績評価や能力評価を関連付けて分析すれば、従業員の強みや弱みを把握したり育成や配置に活用したりできます。

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情意評価を導入するためのポイント

情意評価を導入するためのポイントについて、以下の3点を解説します。。

フィードバックは具体例を交えて行う

数字やデータでは表せない部分を評価するので、評価者の感覚や印象に左右されてしまいがちです。そのため被評価者が自分の評価に納得できなかったり、改善点がわからなかったりする可能性があります。

対策として、フィードバックでは具体的な行動例や状況を挙げてどのような点が良かったか、どのような点が改善できるかを伝えることが重要です。 

客観的な評価ができる体制を整える

定量的な指標で目標を設定するのが難しいので、各項目に対して具体的な行動例やレベル別の基準を設定する必要があります。 また評価者を複数にして多くの意見を聞けば、平等に評価できる可能性が高まるでしょう。 

評価エラーに気をつける

「評価エラー」とは、評価者の主観や先入観によって、本来あるべき評価とは異なる評価をしてしまう現象です。たとえば「規律性」を評価する場合、本来勤怠や服装などがきちんとしており、他の従業員のモチベーションを下げていないという結果が重要といえます。しかし、前者の見た目や印象を重視していると他の要素から従業員に良くない影響を及ぼしている可能性を見落としてしまい、適切な評価ができなくなってしまうおそれがあるでしょう。

評価エラーを防ぐためには、評価基準や行動例を明確にしたり複数人から意見を聞いたりするのが有効です。

情意評価の方法を2つ紹介

情意評価では、主にバリュー評価とコンピテンシー評価の2つの方法が採用されます。それぞれの内容について分かりやすく解説します。

バリュー評価

バリュー評価とは、企業が掲げる理念(バリュー)に基づいて、従業員の行動や態度を評価する方法です。バリュー評価では従業員がどれだけバリューを理解して実践しているかチェックします。

バリュー評価では、自社のバリューを明確に定義して具体的な行動例やレベル別の基準や方法を設定して評価する方法です。

たとえば「お客様第一」がバリューである場合、以下のような基準や方法が考えられます。

  • 基準:「お客様のニーズや期待を把握し、満足度の高いサービスや商品を提供できているか」「お客様からのクレームや要望に対して迅速かつ丁寧に対応できているか」「お客様との信頼関係を築くために努力しているか」
  • 方法:「お客様からのフィードバックやアンケートを参考にする」「自分の担当するお客様の状況や課題を定期的に確認する」「お客様とのコミュニケーションの記録や内容を共有する」


コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、高業績者のコンピテンシー(行動特性)を調査・分析して評価対象とする方法です。従業員がどれだけコンピテンシーを発揮して成果に結びつけているかをチェックします。

コンピテンシー評価では、自社の業務や目標に合ったコンピテンシーを定義して、具体的な行動例やレベル別における基準や方法によって評価します。

たとえば「問題解決力」をコンピテンシーとする場合、以下のような基準や方法が考えられます。

  • 基準:「問題の本質や原因を的確に分析できているか」「複数の解決策を考え、最適なものを選択できているか」「解決策を実行し、効果を検証し、改善できているか」
  • 方法:「自分が直面した問題や解決策の内容や経緯を報告する」「他者からの意見やアドバイスを求める」「問題解決のプロセスや方法を共有する」


このように、社員の行動を判断指標として設定する点は情意評価といえますが、コンピテンシー評価においては意欲や態度ではなく、行動自体が評価対象となる点には気をつけましょう。

まとめ

情意評価とは人事評価の一つであり、従業員の仕事に対する姿勢や意欲を評価します。営業成績などは数字として表れるので評価しやすいですが、姿勢や意欲は評価する基準設定が難しいです。そのため、どのような行動が情意評価で高評価を得られるのかを明確にすることが重要です。

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