アニバーサリー休暇とは?導入メリット3選と各社の事例を紹介


アニバーサリー休暇とは?導入メリット3選と各社の事例を紹介

ワークライフバランスの改善を考える人事担当者の中には、休暇制度の見直しを検討している方もいるでしょう。今回は、アニバーサリー休暇の導入メリットや各社の事例を解説します。休暇制度導入を検討する際の参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ワークライフバランスの改善を考える人事担当者の中には、休暇制度の見直しを検討している方もいるでしょう。近年は、有給休暇で休みにくいケースを考慮し、アニバーサリー休暇を制定する企業が増えています。

今回は、働き方改革を行う企業の人事担当者向けに、アニバーサリー休暇の導入メリットや各社の事例を解説します。アニバーサリー休暇制度の導入を検討する際に、企業と従業員双方の視点を参考にしてみてください。

導入が進むアニバーサリー休暇とは


近年は、多くの企業で「アニバーサリー休暇」の導入が進んでいます。ワークライフバランスの改善に有効とされており、従業員の都合で休暇が取得できる点が大きな特徴です。

ここでは、アニバーサリー休暇のくわしい特徴と普及の背景を確認しましょう。

アニバーサリー休暇とは

アニバーサリー休暇は、一般的に「記念日」に休暇が取れる制度です。誕生日や結婚記念日、仕事が成功した記念などに休暇を設定できます。福利厚生として企業が与える「特別休暇」のひとつであり、従業員のワークライフバランスの改善が可能です。

休暇取得者に特別手当を支給している企業や、取得する日を自由に決められる企業もあり、有給休暇に比べて従業員が休暇申請しやすい制度として注目されています。

なぜアニバーサリー休暇が普及したのかる

アニバーサリー休暇は、有給取得率の向上を目的として普及しています。政府は2025年までに年次有給休暇の取得率を70%に引き上げる目標を掲げました。しかし、厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」では、2021年時点の有給取得率は58.3%にとどまっています。

有休取得が進まない原因として考えられるのは、以下のとおりです。

  • 有給を気軽に取得しにくい
  • メンバーに迷惑をかける
  • 担当の業務が停滞する


上記のように、有給休暇は周囲への影響を気にして休みを取りたくても申請しづらい場合があります。

有給休暇をアニバーサリー休暇とすれば、休暇取得に対する心理的なハードルが下がりやすくなるでしょう。このように、有給休暇取得のきっかけづくりとしてアニバーサリー休暇を導入する企業が増加しています。

企業が導入している様々な特別休暇制度

アニバーサリー休暇に並行して、様々な特別休暇制度の導入が進んでいます。

企業独自で制定しているユニークな休暇制度も存在しており、働き方改革への取り組みを可視化する目的で導入する企業もあるのが特徴です。

ここでは、特別休暇制度の一例である「リフレッシュ休暇」「ボランティア休暇」を解説します。特徴を把握した上で、適切な制度の導入を検討しましょう。

リフレッシュ休暇

リフレッシュ休暇は、勤務を継続している従業員の疲労回復のために与えられる休暇です。勤続年数に応じた日数を設定している企業が多く、入社5年目、10年目などの節目の年に付与されるケースが多いとされています。長期間の休暇が取得できるため、普段はできない旅行も可能です。企業にとっては、導入によって企業イメージを向上させられるメリットがあります。

なお、厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査結果の概況」では、令和4年1月1日時点でリフレッシュ休暇を導入している企業割合は平均で「11.8%」です。従業員1,000人以上の企業では41.4%、30〜99人の企業で8.0%となっています。

休暇を与えた従業員の業務を代行できる人員が多いため、従業員数が多い企業ほど導入の難易度が低いといえるでしょう。

ボランティア休暇

ボランティア休暇は、従業員が社会貢献活動を行う場合に付与される制度です。地域貢献や環境保護、災害復興支援などのボランティア活動への関心が高い従業員の多くは、時間的な理由で参加できない悩みを抱えています。導入によって、従業員のボランティア活動を支援できるほか、企業イメージの向上や人材育成が可能です。

厚生労働省「令和4年就労条件総合調査結果の概況」では、ボランティア休暇の導入割合は「4.2%」と公表されています。業務停滞のリスクを回避するため、リフレッシュ休暇に比べると導入している企業は少ない傾向にあるでしょう。

アニバーサリー休暇導入で企業が得られるメリット3選

アニバーサリー休暇の導入によって、従業員のワークライフバランスが改善するだけにとどまらず、企業側も3つのメリットが得られます。アニバーサリー休暇がきっかけで、自社課題の解決も可能です。具体的なメリットをチェックして、導入後のイメージを掴みましょう。

1. 従業員のモチベーションがアップする

アニバーサリー休暇制度の導入により、従業員のモチベーション向上が期待できます。誕生日や結婚記念日などの1日を大切に過ごせるアニバーサリー休暇は、周囲に遠慮せず取得できるため、ストレスなく気持ちの切り替えが可能です。前向きに仕事に向き合う機会を与えれば、従業員のモチベーション回復につながるでしょう。

また、ただの休暇ではなく「アニバーサリー」とすることで、従業員は休暇に特別な感情を込められます。普通の休暇に比べてポジティブな気持ちで休暇を取れるため、従業員は心身を整えやすく、離職の防止も可能です。

2. 有休取得率がアップする

アニバーサリー休暇の導入で、有休取得率を改善できます。休む理由が不明瞭な有給休暇とは異なり、全従業員が明確な理由で公平に取得できるため、有給休暇を取得しやすい職場環境の構築が可能です。

有休消化率がアップすると、従業員の働くモチベーション低下や離職リスクを減らす効果も期待できます。休暇取得の際は、スケジュールの調整や引継ぎを行う必要が生じるため、若手育成や業務停滞の防止などの組織強化対策にもつながるでしょう。

また、特定の従業員に依存して有休取得できない状況を避けるために、マニュアルや顧客情報の共有などの試みも有効的といえます。

3. 採用時のアピールポイントになる

アニバーサリー休暇は企業側にも大きなメリットがあります。就活生や転職希望者に対して効果的なアピールが可能です。

近年は長時間労働が社会問題化しており、ワークライフバランスの改善活動が浸透しています。年間休日日数や有休取得率に注目している就活者が多いため、休暇制度の充実性をアピールできれば就活者に強いアプローチが可能です。

人材不足が深刻化している業界では、多くの人材を確保しなければなりません。従業員向けの制度の有無は、採用活動の幅を広げる意味で有意義な取り組みです。心身の健康に気を配る会社であるとアピールできれば、他社との差別化にもつながるでしょう。

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アニバーサリー休暇導入のポイント5選

アニバーサリー休暇の導入効果を高めるためには、従業員に寄り添った条件の制定が重要です。休暇の扱いを細かく決めた上で就業規則の変更手続きを行い、導入の体制を十分に整えなければなりません。

また、従業員が利用しやすくなる工夫も必要です。アニバーサリー休暇導入時のポイントをおさえ、従業員が納得できる有意義な制度にしましょう。

ここでは、アニバーサリー休暇を導入する際のポイントを5つ紹介します。

1. 有給か無給か判断する

アニバーサリー休暇は特別休暇であるため、有給にするか無給扱いにするか企業側で自由に制定可能です。

必ずしも有給扱いにする決まりはないとはいえ、現状はほとんどの企業が有給扱いとしています。無給扱いでは、給料を減らしたくない従業員が利用を避けやすいため注意が必要です。

無給とする場合は、給与ではなく特別手当を支給する配慮を行えば、利用してもらいやすくなるでしょう。有給扱いにする場合は、特別休暇として導入する方法もありますが、労使と協議し年次有給休暇として扱うことで取得促進が効果的に行えます。

2. 取得条件を設定する

アニバーサリー休暇を導入する際は、取得条件を細かく設定しましょう。最低限、取得対象の従業員や1年の取得可能日数上限の取り決めは必要です。

より積極的に利用してもらうには、取得しやすいルールを制定しなければなりません。たとえば「取得対象者は入社1年後の従業員、家族の誕生日や結婚記念日も取得可能範囲とする」など、多くの従業員が取得できるようにしましょう。

また、特定の1日に限って取得可能とすると、やむを得ない事情で休暇を取得できない従業員も出てきます。前後数日の範囲で取得可能にしたり、年に数回取得できるようにしたり、柔軟に規則を設けると公平に取得しやすいでしょう。

3. 従業員のニーズを調査する

アニバーサリー休暇の導入前に、従業員のニーズ調査が大切です。導入したアニバーサリー休暇が働き方を的確に改善できる制度でないと、働く従業員は不満を感じるでしょう。導入を無駄にしないためには、主に以下の点を把握する必要があります。

  • どのような場合に休暇が欲しいのか
  • 求める頻度や日数はどれくらいか
  • どのような名称であれば取得しやすいか


求める福利厚生の内容は、職種や個人によって異なります。必ず「自社の従業員が本当に導入してほしい制度」をヒアリングしましょう。休暇制度以外のニーズが高い場合は、特別休暇に固執する必要はありません。

希望している日数や目的次第で、アニバーサリー休暇以外の特別休暇を導入した方が効果的な場合もあります。ミスマッチを起こすと従業員の離職につながる可能性もあるため、現場の声に的確に応えられる制度を実装しましょう。

4.就業規則にて規定する

アニバーサリー休暇を導入するには、就業規則への反映を行う必要があります。記念日の対象にできるイベントや取得可能な日数などを規則に記載しましょう。記念日の自由度が低いと従業員が利用しにくくなってしまい、逆に自由度が高すぎると業務効率に支障をきたす可能性があります。既存の就業規則や実態を確認した上での規定が大切です。

なお、就業規則を変更する際は、就業規則変更届を労働基準監督署に提出しなければなりません。

5. 従業員に周知する

アニバーサリー休暇を活用してもらうには、従業員に認知してもらう必要があります。アニバーサリー休暇の導入を従業員が知らなければ、上手く活用してもらえないでしょう。就業規則に適用するのみではなく、朝礼や社内メールなどを使った積極的なアナウンスが必要です。

また、制度を導入しても活用しづらいままでは、休暇の充実性に好感を持って入社した従業員がギャップを感じてしまうでしょう。役員や上司が積極的に活用し、部下が取得しやすい雰囲気にするのが効果的な周知方法といえます。

導入後は従業員の意見や有給休暇の取得率の推移をチェックして、効果の確認と改善を繰り返しましょう。

アニバーサリー休暇を導入している企業の事例紹介

大手企業では人員的な余裕があるため、多くの企業でアニバーサリー休暇が導入されています。

それぞれ導入だけではなく、積極的に従業員の意見を取り入れながら改善を行っており、社内・社外双方から高評価されているのが特徴です。

ここでは、業種別の制度導入・改定事例を紹介します。

A社の場合

大手メーカーA社では、2010年からワークライフバランスの改善に取り組んでおり、2012年にアニバーサリー休暇の導入を開始しています。

誕生月に1日の休暇取得を条件に制度を適用したところ「繁忙期と重なると取得できない」という意見が寄せられたため、制度を改正しました。家族の誕生日や結婚記念日など「記念日」であれば、年1回都合のいい日に取得できる体制に改善した結果、休暇制度の普及に成功しています。

B社の場合

様々なコンテンツを展開しているサービス業のB社は、全社でアニバーサリー休暇を導入しています。

勤続1年以上の従業員が、4営業日以上連続した休暇取得ができる制度です。休暇を取得した従業員には手当金5万円を支給しており、従業員のモチベーションアップに貢献しています。

ほかにも、企業独自の様々な休暇制度を導入しているのが特徴です。。従業員のモチベーション維持への取り組みを積極的に行っている企業といえます。

C社の場合

食品製造会社のC社は、従業員のほとんどが女性であることから、女性が働きやすい環境の整備を進めています。誕生月に1日取得できるバースデー休暇を制定していましたが、月が限られていると自由に休みづらいとの理由から制度改定を行いました。

2012年に自由なタイミングで取得できるアニバーサリー休暇に変更した結果、従業員の休暇取得率100%を維持しています。勤続1年以上の正社員で、取得月の前月20日までの申請で取得可能です。

子供の運動会や入園式などのイベントに使う男性従業員も増えており、子育てと仕事の両立を応援する企業体制が従業員に支持されています。

まとめ


アニバーサリー休暇は、従業員の記念日に設定できる休暇です。従業員のニーズにあわせた取り決めを行い、就業規則を変更することで導入できます。アニバーサリー休暇の導入は、有給休暇取得率の向上や従業員のモチベーションアップに有効です。成功例を参考に、導入イメージを膨らませておきましょう。

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