ジョブ型雇用で失敗する3つのケース!メリット・デメリットや導入企業の事例について


ジョブ型雇用で失敗する3つのケース!メリット・デメリットや導入企業の事例について

昨今のDX推進やコロナ感染拡大の影響で、ジョブ型雇用に注目が集まり導入が改めて広まっています。本記事ではジョブ型雇用についてのメリット・デメリットや、必要性について解説しているため、より良い組織を作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

「ジョブ型雇用は日本に合わないのでは?」「今後定着することはあるの?」「メンバーシップ型雇用は本当になくなるの?」という方は多いのではないでしょうか。

ジョブ型雇用はバブル崩壊後にも注目されていましたが、定着することはありませんでした。しかし、昨今のDX推進や新型コロナウイルスの流行により改めて注目が集まり、導入する企業が増えています。

本記事では、ジョブ型雇用の概要やメリットやデメリット、ジョブ型雇用の導入方法や課題について解説します。限界を感じる雇用システムを変え、より良い組織を作りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

ジョブ型雇用とは何か解説!専門性の高い人材を採用しやすい

ジョブ型雇用とは、契約時点で仕事範囲や内容を明確に示すことで、採用する人材に高い専門性を求める方法です。採用の可否を判断する方法は、業務遂行に必要なスキルや能力を重視することです。

たとえば、専門職の社員が退職した場合には、求人を出す必要があります。従来の雇用方法だと、別の社員に兼任させたり別部署から異動させたりして、それでも人員が足りない場合に求人を出すことになるのではないでしょうか。

しかし、ジョブ型雇用では、退職者と同程度以上に力を発揮する人材を確保するために求人を出します。新しくできた概念ではなく、日本と欧米の雇用システムを比較した際に、それぞれ「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」と区別しているだけです。

関連記事:ジョブ型・メンバーシップ型雇用とは?それぞれの違いや企業はどちらを選ぶべきかも解説

ジョブ型雇用が注目される3つの理由

ジョブ型雇用が注目されている理由は、昨今の人材に関する問題を雇用システムから見直し、解消の糸口になると期待されているからです。具体的には、以下3つの理由があります。

1.従来の雇用システムの限界

従来の雇用システムでは、経済成長を前提とした終身雇用・年功序列が採用され、社員が会社に依存して働くことができるシステムでした。しかし、現在の成熟した経済環境にはマッチせず、経団連の提言もあってジョブ型雇用が注目されるようになりました。

グローバル化に対応するには、流動的な人材活用が必要で、終身雇用制度は足かせになると懸念されます。組織の硬直化への懸念、優秀な若手人材の抜擢などから、ジョブ型雇用への移行が進んでいます。

2.専門職の人材不足

社会のニーズは変化しており、対応するには専門性の高い人材の確保が重要になります。ジョブ型雇用は、職務や役割に応じて雇用条件を設定でき、専門職の人手不足解消やスキルアップにつながると考えられたため注目が集まりました。

また、ビジネスのグローバル化にあたっても、他社との差別化を図るにはスペシャリストの必要性が高まっていくでしょう。

3.働き方の多様化の加速

新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務やテレワークが急激に浸透することになりました。在宅勤務やテレワークにより生産性が明確に測りやすくなった反面、業務目標の不明確さなどに悩まされる場合があるため、ジョブ型雇用に魅力を感じる人も増えたと考えられます。

また、政府の働き方改革やハイブリッドワークの登場により、多様な働き方が普及しつつあるでしょう。そのような中で、評価制度が労働時間制では通用しない場合が多々あるため、ジョブ型雇用が注目されました。

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ジョブ型雇用が失敗する3つのケース

ジョブ型雇用は導入するだけで、人材に関する問題が解消できるわけではありません。問題の根幹にあるのは、経営・人事・現場を含む会社全体に抱えている課題が原因となるため、雇用システムのみを変えても、効果は薄く失敗することになるでしょう。

特によくある失敗するケースは、以下の3つです。

  • 現在の職務体系から変わらない
  • 整理されていない育成段階と処遇方針
  • 年功的な処遇運用がなくならない


失敗するケースに共通することは、ジョブ型雇用についての認識が誤っていることになります。

1.現在の職務体系から変わらない

従来の雇用方法が主流の企業では、人を基準として職務設計を行うことが一般的です。つまり、企業や社会にとって必要な仕事ではなく、部門や組織にいる人たちに都合の良い仕事を創り出しているという状態になっています。

具体的には、年功的な昇給・昇進を維持するために「処遇のためのポスト」を残し続けたり、本来の意図と異なった「管理職階層の専門コース」を活用させたりすることです。

従来の職務設計の現場に、制度設計を行いジョブ型雇用を導入しても、職務価値や職務内容の矛盾や不整合が発生すれば、社員の不満や不信感が生じる結果になるでしょう。その結果、社員満足度やエンゲージメントの低下、人材の流出につながります。

2.整理されていない育成段階と処遇方針

ジョブ型雇用では、職務を基準として処遇が定まることになります。人材育成に関する業務目標(職務)を負っている社員の処遇をどのように決定するか方針が定まっていないと、運用の不整合や矛盾が生じてしまうでしょう。

ジョブ型人事制度では、合理的な賃金決定や職務価値の算定といった「処遇」に注目が集まりやすいです。したがって、将来に向けた人材育成の実施を持続していくことができるかという観点も重要になります。

人材育成の基本は、社員の能力に対して簡単に達成できない目標を設定し、実践経験を積み上げていくことです。しかし、従来の雇用では「職務遂行能力」という曖昧な基準で処遇を設定してしまっています。

3.年功的な処遇運用がなくならない

ジョブ型人事制度の検討段階において、あるいは段階的に導入される過程においても、現場では年功序列に基づく昇給や昇進が続くことがあり、その結果、制度が形骸化してしまうことが珍しくありません。

社員から不満が生じる原因は、働き手がジョブ型雇用の考え方を理解できていないことです。制度の導入に伴い処遇の変更をしてしまうと、不満や不安が生じて受け入れられにくくなります。

さらに、マネージャー自身がジョブ型雇用に対しての考え方や必要性を納得できておらず、前向きなメッセージをメンバーに語ることができないことも一因です。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用を導入すれば、求職側と企業側のそれぞれにメリットがあります。双方から見たメリットを把握しておきましょう。

求職者側のメリット

ジョブ型雇用で採用された場合、求職者は自身の専門分野を活かした仕事に集中できるでしょう。特定のスキルや能力を磨くことで着実に評価につながるため、向上心をもって仕事に取り組める環境になります。

業務の目標設定を明確にしやすければ、成果を目指して努力を重ねていけるのではないでしょうか。さらに、基本は異動や転勤がないため、安定した職場環境で働き続けられます。テレワークやリモートワークでも取り組みやすく、ワークバランスを維持しやすいでしょう。

企業側のメリット

ジョブ型雇用で採用すれば、自社の専門性を高められるでしょう。テレワークやリモートワークの推進につながり、社員にはより効率的に働いてもらえるようになります。また、労務管理の負担を軽減できる可能性もあります。

スキルや能力が採用基準となるため、賃金の適正化を実現可能です。無駄な人員を雇用し続ける必要性がなくなるので、組織全体の効率化にもつながるでしょう。

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ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用を導入する際、メリットばかり見て推し進めてしまうと失敗につながります。デメリットもしっかりと把握してから導入を検討しましょう。

求職者側のデメリット

求職者に求められているスキルが必要な部門は、採用時点で決まっています。よって、採用後にその部門が縮小されてしまうことになれば、専門性を活かせず働きづらくなる可能性があります。

ジョブ型雇用で採用された場合は、本人の専門分野以外の仕事はあまり経験させることはありません。そのため、職場では求められている専門分野以外のスキルや能力を増やすことが難しいでしょう。

また、専門性の有無が採用の基準となるため、新卒など採用されてからスキルや能力を身につけようとする人が採用されにくくなってしまいます。

企業側のデメリット

ジョブ型雇用での採用を希望する求職者は、自身の専門的なスキルや能力を評価してもらうことを望んでいることが多く、他社からより良い条件の仕事が提示されれば進んで転職する可能性が高いでしょう。

最初に雇用条件を定めるため、会社の都合によって異動・転勤を命じることは難しいです。さらに、契約時点で定められていない業務は任せられないため、仕事によっては対応できる社員がいない状態になってしまう可能性があります。

専門性には個人差がある上に、社員が高いパフォーマンスを発揮できるかどうかは別の話です。さらに、仕事のマニュアルが作られず、属人化しやすいという課題も発生しています。

ジョブ型雇用の導入方法

ジョブ型雇用の導入に必要なことは、業務内容や雇用の条件を明確に定めることです。ジョブディスクリプション(職務定義書)として、雇用したい人材に求める以下のことを詳細に書類で作成し、報酬も含めて具体的な内容でまとめましょう。

  • 専門分野
  • スキル
  • 業務内容


新しくジョブ型雇用を取り入れる場合は、まずは管理職の採用で導入するとスムーズです。管理職は責任の範囲が明確で、ジョブ型雇用として条件を比較的提示しやすいからです。

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ジョブ型雇用を導入した企業5選

ジョブ型雇用は雇用システムを変えるだけではないため、実際に導入している企業を参考にするとイメージがしやすいでしょう。参考にする際には、導入した目的や変化などを見ることが重要です。

1.株式会社日立製作所

日立製作所は2008年に大赤字を計上し倒産の危機に陥りましたが、国内市場からグローバル市場へのシフトを進めたことで業績を回復しました。現在では、海外拠点で働く海外人材や経験者の中途採用が増え、グローバルな人事制度としてジョブ型雇用を推進しています。

2020年から新設した「デジタル人財採用コース」などで、ジョブ型雇用・採用を強化を開始しました。2021年3月までに社員の職務経歴書を作成することで、同年の4月からジョブ型人事制度をスタートさせ、2024年度中にはジョブ型雇用へ完全移行することを目標としています。

メンバーシップ型雇用からジョブ型人事への移行を進めており、技術系職種においては配属希望の確約制度・社員個別の処遇設定を行っています。事務系職種にも採用時に配属を確約する制度を拡充しており、新卒者であってもキャリアを描ける環境を整備しています。

2.富士通株式会社

富士通株式会社がジョブ型雇用を推進する目的は、社員の自律性の向上、および人事制度の再構築によってグローバルな人材の流動を可能にすることです。ジョブ型雇用の導入には2015年から取り組んでいますが、2019年6月の新社長就任までは徹底されておらず、幹部社員を中心に実施されたのは2020年4月からでした。

この制度では、職務の重さ・重要性に基づき「FUJITSU Level」で格付けを行い、報酬に反映される仕組みとなっています。評価制度は一般社員にも導入されていますが、ジョブ型雇用の対象は現時点では幹部社員のみとなっています。

3.KDDI株式会社

KDDI株式会社は、2020年にコロナ禍で働き方改革を実施するため、以下の3本の柱で取り組んでいます。

  • KDDI版のジョブ型人事制度
  • KDDI新働き方宣言の実現
  • 社内DXの推進


「KDDI版のジョブ型人事制度」では、市場価値・成果・職務領域の明確化に基づいた報酬体系を採用しており、2020年8月に入社した中途社員から適用されました。2021年度には管理職2,400人に拡大され、2021年4月からは新卒社員にも能力に応じた給与体系が導入されています。

また「KDDI心働き方宣言の実現と社内DXの推進」では、柔軟な働き方を実現するためにオフィス環境の整備を進めており、リモート会議のIT化・リモート環境の向上などを実施しています。

4.株式会社資生堂

化粧品メーカーの資生堂は、生産性や専門性の低さを解決するためにジョブ型雇用を推進しています。国内の管理職の一部から始まり、2021年には国内の一般社員にも対象範囲を広げています。

具体的には「ジョブグレード制度」の導入です。ジョブグレード制度ではジョブファミリーを20以上設定し、各ジョブに役割等級を設け、内部で採用・育成を行うことになります。

昇進や異動・担当替えがスムーズに行え、専門性を高めながら生産性向上を図れるのが特徴です。

5.株式会社ニトリ

家具を中心に製造から販売まで手掛けるニトリでは、独自のジョブ型雇用制度を運用しています。具体的な施策は、配転教育を行い、多面的な視野を身に着けることで自分でキャリアを選べるようにすることです。

社員は専門職になるまでは配転教育を受け、職務を明確に定義できる専門職にだけジョブ型雇用制度が適用されます。ニトリが目指しているのは、スペシャリストを育成し、多数精鋭となるような組織です。また、個の成長にフォーカスしており、役職ではなく職務追求を重視しています。

ジョブ型雇用における課題は人材の管理体制

ジョブ型雇用の導入によって、業績を向上させるためには、人事が適切な人材の管理体制を整えることが必要です。失敗する企業に共通することは、雇用方法を変えるだけで人材管理に関することが既存の状態から変わらないことが挙げられます。

雇用方法に関係なく、社員の力を発揮できる環境が重要となるため、具体的には以下の項目を変えていくことが求められるでしょう。

  • 人材育成の方法
  • 評価制度
  • 現場の認識や理解


人事課題について詳しく知りたい方は、人事課題について解説した記事もあわせてご確認ください。

ジョブ型雇用のまとめ

ジョブ型雇用は、昨今の世情を反映したものでも、従来の雇用システムの問題点を解消するために作られたものでもありません。

人材に関する問題は、雇用システムの変更のみで解決できず、根本的に人材管理の体制にあることが多いです。

人材育成や管理方法を見直すために、適切なタレントマネジメントシステムの導入は重要です。特に「タレントパレット」は人材育成や管理に特化しており、日本版ジョブ型雇用にも対応しているので、ぜひ資料請求(無料)をご検討ください。


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