職能別組織とは?事業部制組織との違いやメリット・デメリットを解説


職能別組織とは?事業部制組織との違いやメリット・デメリットを解説

本記事では、企業の運営に役立つ職能別組織について徹底解説します。事業の形態によってはベストな組織形態ですので、職能別組織が選ばれる理由や導入に必要なメリット・デメリットを紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業をスムーズに運営するには、職能別組織という形態も一つの選択肢です。本記事では、職能別組織を他の組織形態と比較して職能別組織が選ばれる理由を解明し、導入に必要なメリット・デメリットも紹介します。特に中小企業の人事担当者の方は、ぜひご一読ください。

職能別組織とは?

職能別組織とは、「機能別組織」とも呼ばれる組織形態の1つで、最高意思決定者をトップに据え、その下に職能別に以下の業務部門を編成した組織を指します。

  • 研究
  • 開発
  • 生産
  • 営業
  • 販売
  • 人事
  • 経理
  • 総務


機能別組織の特徴は、以下の2点です。

  • 決裁権がトップに集中している
  • 業務が細分化されている


決裁権がトップに集中し、その下に細分化された業務部門が紐付けられています。業務部門の責任者はあくまで管理監督者という位置づけで、独自裁量で最終的な意思決定をすることはありません。

しかし、部門運営をスムーズに行うためにトップから一定の裁量が認められているケースも見られます。シンプルな組織構造のため、多くの中小企業が採用している組織形態です。

事業部制組織との違い

一方他の組織形態である事業別組織とは、本社部門の下に営む事業ごとに事業部門を編成した組織です。事業別組織の特徴は、以下の2点です。

  • 本社部門が事業部に事業運営に関する責任・権限を委譲している
  • 事業部ですべての事業活動を完結できる


職能別組織との違いは、トップ下の事業部門に経営トップとほぼ変わらない裁量権が委譲されている点です。いちいち経営トップに判断を仰ぐ必要がないため、事業状況に応じた迅速な意思決定を下せます。

本社部門の負担を減らし、事業部門は自立的な事業運営が可能な組織形態だるため、複数事業を取り扱う企業で多く採用されている組織形態です。事業部制組織を日本で最初に採用したのは松下電器産業ですが、今では大多数の上場企業が導入している組織形態となっています。

マトリックス組織との違い

またマトリックス組織とは、異なる組織編成を縦軸と横軸に構え、部門を構成する組織作りを指します。マトリックス組織の特徴は、以下の2点です。

  • 1人の従業員が複数の部門に所属できる
  • 1人の従業員が複数事業へ同時に関われる


職能別組織や事業部制組織では、関われる事業やプロジェクトは1つでした。しかしマトリックス組織では複数事業に加わることができ、個人の専門性を活かせます。複数部門に所属しているため、他部門と連携が取りやすくなる点もメリットと言えるでしょう。

しかし、直属上司が複数になって指揮系統が煩雑化する点には注意が必要です。また意思決定の速度は他の2つよりも遅くなるデメリットもあります。

職能別組織のメリット


職能別組織は一番メジャーな組織とも言われており、多くの企業で用いられている組織形態です。主なメリットは以下の5つです。

  • 組織を管理しやすい
  • 組織の運営コスト削減が可能
  • 部門ごとにノウハウが蓄積できる
  • 専門的なスキルアップが見込める
  • 企業方針や意思決定が統一できる


組織を管理しやすい

最初に挙げるメリットは、経営トップに権限が集中しているため、組織コントロールがしやすい点です。

  • 情報の意思伝達がスムーズ
  • 意思決定が迅速に行える
  • 指揮系統が1つのため、現場が混乱しにくい
  • 経営トップが全体を俯瞰した判断を下せる


指揮系統が複数あると、仕事の方向性ややり方を見直す際に複数人の意思が混同しやすくなるため、方針にブレを生じさせてしまうケースがあるでしょう。

しかし、職能別組織は組織管理しやすいため、方針がブレずに事業展開できます。この点は、他の組織形態にはない職能別組織のメリットと言えるでしょう。

組織の運営コスト削減が可能

職能別組織は職能別に業務部門を編成した組織であるため、事業部の業務内容が被りません。また単一事業の企業が職能別組織を採用すれば、製品数が少ないため増産による経済的コストを抑えられます。

一方事業別組織の場合、経済的コストは製品増産とともに抑えられますが、事業部ごとに独立した業務が発生するため、企業全体で見れば業務が重複してしまいます。そのため、職能別組織のようなコストの削減効果は望めません。

職能別組織は経済的コストを低く抑える効果が一番期待できる組織形態と言えますが、採用すべき企業は単一事業に限られる点に注意しましょう。

部門ごとにノウハウが蓄積できる

機能別組織は、以下のように専門職に分割され、それぞれ専門的業務をこなしています。

  • 研究
  • 開発
  • 生産
  • 営業
  • 販売
  • 人事
  • 経理
  • 総務


各部門に同じ業務をこなす従業員が集結するため、業務の経験や知識などのノウハウを共有しやすくなります。ノウハウが蓄積していけば、組織の財産となるでしょう。そのため、個人のキャリアアップを後押しするだけでなく、業務の円滑化にも好影響を及ぼすでしょう。

専門的なスキルアップが見込める

職能別組織は専門的なスキルアップに関して、他の組織形態よりも効率的な育成が期待できます。

職能別組織は専門業務に特化したスペシャリスト組織の集まりです。そのため所属組織が蓄積したノウハウには、事業別組織の事業部で業務を担っている従業員が持つ高い知識とスキルによる質の高いノウハウの蓄積が見込めます。

企業方針や意思決定が統一できる

職能別組織はトップの企業方針を反映しやすい点が、大きなメリットです。企業方針や意思決定がトップダウンで降りてくるため、従業員の業務にブレは生じません。この特徴は単一事業ならではであり、他の組織形態では得難いメリットと言えるでしょう。

職能別組織のデメリット


職能別組織にはデメリットも存在します。そこで特に注意すべき3つのデメリットを紹介します。

  • ゼネラリストの育成が難しい
  • 経営陣の負担が大きい
  • 責任の所在があいまいになる


ゼネラリストの育成が難しい

近年では以下のようなメリットを求めて、多様性のあるゼネラリスト育成に力を入れる企業が増えています。

  • 繁忙に合わせた業務配分の変更
  • 総合的な能力を持つ人材育成
  • 休職や離職に備えた代替人材の確保


しかし、職能別組織は専門知識に特化した人材育成には向いていますが、幅広い分野の知見を持つゼネラリストの育成には向いていません。なぜなら、特定業務を追求する組織であることが原因です。

また、同様の理由から以下のような管理職(ゼネラルマネジャー)の育成にも向いていると言えません。

  • 幅広い知見がある
  • 組織を全体視できる
  • 組織に適切な判断が下せる

経営陣の負担が大きい

職能別組織は経営陣に決定権が集中しているため、負担も集中してしまいます。しかし、経営陣にトラブルが発生して働けなくなったケースが問題です。

企業は一気に舵取りを失い、立ち行かなくなる可能性も考えられます。そのため、万が一の対応策は万全にしておく必要があるでしょう。

責任の所在があいまいになる

部署間を超えた大きなトラブルが発生した場合、責任の所在を特定しづらい点もデメリットの1つです。職能別組織は業務に対する独立意識が高いため、部署間の統制ができていません。そのためトラブルが発生した場合、責任所在があいまいになりがちです。

問題解決に時間がかかるようだと、対応が遅れて大きな企業損失を生む危険性もあるでしょう。また責任の所在の確定を焦って、部署間で責任のなすりつけ合いが起きる可能性も考えられます。対立が激化すると、従業員にも影響が及んで職場環境に影響を及ぼす事態にもなりかねません。

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職能別組織に必要な基本的部門

職能別組織に必要な基本的部門は、以下のとおりです。

  • 経理部門
  • 総務部門
  • 開発部門
  • 営業部門
  • 人事部門


職能別組織の中には独自部門を設置しているところもありますが、この5つは最低限必要な部門です。そのため、どのような部門なのか詳しく解説します。

経理部門

経理部門が取り扱う業務は、どの組織形態でも必要になります。担当する主な業務は、以下のとおりです。

  • 現金預金や手形の管理
  • 買掛金と売掛金の管理
  • 伝票作成とデータ入力
  • 領収書の整理
  • 請求書作成
  • 給与台帳の作成
  • 固定資産や減価償却の管理
  • 決算書の作成
  • 税務会計
  • 法人税等の納付


以上のように経理部門はお金の調達や流れと管理が主な業務ですが、実際の運用は財務部門が管轄するケースが多いです。

総務部門

総務部門の取り扱う業務は、主に企業内の事務業務です。しかし、実務ではかなり幅広い業務を任されるケースが多く、以下の部門の業務も担当する場合もあります。

  • 人事部
  • 経理部
  • 法務部
  • 広報部


総務部自体の業務内容は企業によって異なりますが、主な業務は以下のとおりです。

  • 経営トップのサポート(情報提供など)
  • 全社的な情報の連絡・調整
  • 業務事項の全社通達
  • 他部門のサポート
  • 社内イベント等の準備・開催
  • PR活動の運営と支援

開発部門

開発部門の取り扱う業務は、以下の2つに分類されます。

  • 新商品の開発業務(開発課)
  • 製品の品質保証業務(品質保証課)


企業の将来を左右する新商品の開発業務は、マーケティング部と呼ばれる商品開発の設計部門の傘下に入っている場合もありますが、その場合さらに以下の2つに分類されます。

  • 定番製品(当社ブランド製品)の開発
  • 特注製品(特定ユーザー様専用製品)の開発


営業部門

営業部門が取り扱う主な業務は、以下の2つです。

  • 新規開拓
  • 既存営業


また営業部には以下の部署もあり、担当業務が異なります。

  • 営業戦略部:マーケティングを担当する部署
  • 営業企画部:プロダクト企画をする部署
  • カスタマーサクセス部:ルート営業を含む、既存顧客に対するアフターフォロー
  • パートナー営業部:外部パートナー(代理店)への営業を担当する部署


さらに内勤営業や外勤営業に分かれるなど、部署内構成は企業によって異なります。

人事部門

人事部門が取り扱う業務は、企業の財産となる人材管理です。人材管理と一口に言っても、担当業務の範囲は広く、人材の活性化による企業成長を担う業務を担当します。主な業務は以下のとおりです。

  • 採用
  • 育成
  • 評価
  • 人事制度の設計と運用
  • 人員配置
  • 組織開発
  • 労務管理


近年は優秀な人材育成と人材確保に力を入れる企業が増え、人事部にはタレントマネジメントという新たな業務が課せられるようになりました。そのため人事部の従業員には、以下の能力で高いスキルが求められるようになっています。

  • コミュニケーション能力
  • 情報収集能力
  • 戦略力
  • マルチタスク能力
  • 専門知識
  • 事務処理能力

まとめ

職能別組織は単一事業を営む企業にとってメリットの高い組織形態です。しかし、デメリットがあるのも事実であり、回避するためには人事管理にはあらゆる人事データを統合して分析する必要があります。

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