アダプティブラーニングについて徹底解説!メリットや学習効果・導入方法・注意点も紹介


アダプティブラーニングについて徹底解説!メリットや学習効果・導入方法・注意点も紹介

社員教育や人材育成の手段として、アダプティブラーニングに注目する企業が増えています。アダプティブラーニングでは学習内容をオーダーメイドで提供でき、高い学習効果を期待できるといわれているからです。この記事では、アダプティブラーニングについて詳しく解説します。自社に取り入れる際の参考として、ぜひお役立てください。

アダプティブラーニングとは

アダプティブラーニングとは、それぞれの人に合わせて最適化した内容の提供により、効率よく学べる学習方法です。「adaptive(アダプティブ)」とは「適応する」という意味を表しています。

アダプティブラーニングはEdTechの1つです。EdTechとは、「Education(教育)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせて作られた造語で、適応型学習と呼ばれる場合もあります。


アダプティラーニングとeラーニングの違い

アダプティラーニングと混同されやすいものとして、eラーニングがあります。eラーニングは、パソコンやスマートフォンなどを活用し、インターネットを通して学習する方法です。eラーニングはコミュニケーションが一方向で講義を受けるスタイルが一般的なのに対して、アダプティラーニングは双方向のコミュニケーションを通して学習を進められます。


アダプティブラーニングが効率的な理由

従来は、学習する全員で同じ内容のカリキュラムを学んでいました。しかし、実際にはそれぞれ学習の理解度や弱点が異なるため、学びの質にばらつきが生じやすいです。


アダプティブラーニングなら学習の進歩具合や回答の内容などを分析したうえで、最適な学習内容を提案できます。それぞれの人が自分に合う内容を学べるため、学習の効率を高めることが可能です。


現在のアダプティブラーニングができあがるまで

アダプティブラーニングは、1950年代に誕生したCAI(Computer-Aided Instruction)の考えに基づいて発展してきました。1990年代になると徐々にパソコンやスマートフォンなども普及したため、個別に学習を進められる環境も整っていきます。


2018年度には経済産業省が「未来の教室」という実証事業を実施し、アダプティブラーニングに対する注目度が一気に高まりました。アダプティブラーニングの推進のため、2018年2月には文部科学省が小中学生向けに学習用パソコンや高速ネットワークの提供も開始しています。


※参考:未来の教室 ~learning innovation~|経済産業省

※参考:学校教育におけるICT、データの活用=文部科学省・経済産業省・総務省

アダプティブラーニングを取り入れるメリット・デメリット

アダプティブラーニングを取り入れると、さまざまなメリットがあります。ただし、デメリットといえる部分もあるため、特徴をよく理解しておくことが大切です。ここでは、アダプティブラーニングを取り入れるメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。


メリット

ここでは、アダプティブラーニングを取り入れるメリットについて、具体的に解説します。


学習効率を最大化できる

アダプティブラーニングなら、個人が抱える弱点を克服できるでしょう。たとえば、苦手な問題を何度も提示し、着実に克服できるよう指導することも可能です。特に弱点がない人に対しては、よりレベルの高い学習内容を提案できます。個人に合わせた学習内容の提示によって、学習の効果を最大限に高められます。


短時間での学習が可能

アダプティブラーニングは1人ひとりの進捗状況、理解度、達成度などのデータを把握し、細かく分析したうえで最適な学習プログラムを提示します。最も効率的な学習方法を提案できるため、学習にかかる時間も最短にすることが可能です。忙しい人でも、空いている時間を活用してスムーズに知識を身につけられます。


人材の早期戦力化

効率的に短時間で効果の高い学習を実現でき、人材の育成にかかるスピードも早くなります。その結果、自社で育てる人材が戦力になるまでの時間も短くなります。社員それぞれに合わせてプログラムを用意できるため、さまざまなタイプの人材を同時に育成することも可能です。


学習状況が可視化できる

アダプティブラーニングでは、学習の記録も残せます。それぞれの学習状況を可視化して確認できることから、管理者も全体の学習の進捗状況を把握しやすいです。学習状況や理解度などを正確に管理できるため、各社員がきちんと学習を進めて内容を身につけられているかチェックできます。


学習が均質的になる

先輩社員が指導して教育する場合、学習効果は教える側のスキルや理解度に大きく依存します。スキルや理解度が低い社員が指導すれば、後輩は必要な知識を得られない可能性もあるでしょう。アダプティブラーニングを利用すると個人のノウハウを全員に共有でき、均一的な学習を実現できます。


研修コストの削減

従来、講習を行うには人的コストや時間的コストが多くかかっていました。参加人数の把握、会場の予約、外部講師の手配など、さまざまな準備が必要だったことがあげられます。


アダプティブラーニングの場合は、インターネットに接続できれば場所を問わず学習を進められます。個人の状況に合わせて学習内容を設定できるため、すでに身につけているスキルを重複して学ぶこともありません。アダプティブラーニングなら効果的な学習を実現しつつ、無駄なコストを削減できます。


デメリット

アダプティブラーニングを実施するには、ICT環境の整備が必須です。状況によっては、初期投資として大きなコストがかかる可能性もあります。たとえば、すでにインターネット環境があっても、端末がそろっていなければ新しく端末を用意しなければなりません。学習の対象となる社員全員分の端末をそろえるとなると、莫大な費用がかかる恐れがあります。

アダプティブラーニングが活用できるシーン

アダプティブラーニングは、さまざまな場面で活用できます。たとえば、新人教育においては、最低限のビジネスマナーや業務に必要な基礎知識といった豊富な内容を効率的に学習させるために役立ちます。また、個人にとって最適な学習内容を提示できるため、タレントマネジメントの推進につなげることも可能です。


すでに高いスキルや経験がある社員に対しても、弱点を補強したり能力を底上げしたりする目的でアダプティブラーニングを実施できます。


アダプティブラーニングを導入する方法

自社にアダプティブラーニングを導入するには、学習教材の準備が必要です。学習教材は、必ずしも自社で用意する必要はありません。外部のサービスを活用したり、アダプティブラーニングに特化した学習教材を導入したりすることも可能です。


アダプティブラーニングを行う際に気を付ける3つのポイント

自社でアダプティブラーニングを行ううえでは、注意したいこともあります。アダプティブラーニングの特徴を捉え、効果を最大限に発揮できるようにしましょう。ここでは、アダプティブラーニングを行う際に気を付けたいポイントを解説します。


1.モチベーションを保つ働きかけが必要

従来からよく行われている集合研修には強制力があり、社員が集中して取り組みやすいです。対してアダプティブラーニングは学習の自由度が高く、集合研修に比べるとメリハリをつけにくいといえます。アダプティブラーニングで効果的に学習を進めるには、受講を促す働きかけを行って社員のモチベーションを保つことが大切です。


2.ノウハウが必要

アダプティブラーニングを実施するには、ノウハウが必要です。ノウハウがない状態で学習教材を作ることはできません。自社にノウハウがないなら、外部に委託して学習教材を作成する方法も検討してみてください。さまざまなサービスがあるため、自社の状況を考慮しながら最適なものを選択するとよいでしょう。


3.非言語領域には不向き

アダプティブラーニングで学習できるのは、言語化されている内容です。たとえば、医療現場で必要な技能をはじめとする非言語領域の内容は、アダプティブラーニングでの習得には向きません。社員にリーダーシップを持たせたり、コミュニケーション能力を磨かせたりしたい場合も、アダプティブラーニングは不向きです。


まとめ

アダプティブラーニングを実施すれば、それぞれの社員にとって最適な教育を提供できます。効果的かつ効率的な学習を実現できるため、自社に対する社員の貢献度も高めることが可能です。


人事戦略においては、各社員の特徴を把握したうえで教育や配置を行う必要があります。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、大手企業をはじめとするさまざまな企業に導入されており、導入や運用に関する知見・ノウハウも提供しています。人事戦略に関するガイドも提供しているので、ぜひ役立ててください。