抜擢人事が必要とされる理由とは?押さえておきたいポイントやメリット・デメリット


抜擢人事が必要とされる理由とは?押さえておきたいポイントやメリット・デメリット

近年、従来から続く年功序列による人事評価から、成果や業績を重んじる人事評価へと路線を変更する企業が増えています。この記事では、人事制度の見直しを検討中の人事担当者に向けて、抜擢人事の意味やメリット・デメリットなどについて解説します。抜擢人事を導入する際のポイントも紹介しているため、ぜひ役立ててください。

抜擢人事とは?

抜擢人事とはどのような意味があるのでしょうか。年功序列との違いや抜擢人事で登用するケースを紹介します。

抜擢人事の定義と年功序列との違い

抜擢人事とは、未経験や勤続年数が短い社員でも、能力次第で重要なポストに就ける人事のことです。年功序列は勤続年数とともに、能力やスキルが身に付くことを前提とした人事評価制度で、勤続年数を考慮した人事配置がなされます。抜擢人事が年功序列と異なる点は、年齢や勤続年数、学歴などに左右されず、若手社員や社外から優秀な人材を登用することです。

若手社員を先輩社員の上司に登用するケース

抜擢人事では未経験であっても能力がある、成果を上げるなど、ポテンシャルの高さで重要なポストに登用することが一般的です。そのため若手社員が先輩社員を飛び越して昇進し、上司に抜擢される場合もあります。

社外の人材を登用するケース

あえて社外から優秀な人材を重要ポストに登用するケースも少なくありません。社外からの人材登用は、しがらみによる人事制度を抜本的に見直せます。新規事業の立ち上げ時にも有効で、社内の活性化につなげることも可能です。

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抜擢人事が必要とされる理由

抜擢人事が求められる理由には、時代背景や企業のグローバル化が関わっています。企業に抜擢人事が必要とされる理由について解説します。

年功序列の廃止から成果主義への移行

抜擢人事が必要とされる理由は、時代の流れが年功序列制度の廃止をきっかけに成果主義へと移行したためです。中高年齢層の社員が増え、年金や退職金などの人件費が経営を圧迫していることから、年功序列制度の廃止を決断する企業が増えています。
また、IT・ロボット技術などの発展による業務の標準化が可能になり、企業が技術や経験をもつベテラン社員を抱える必要がなくなったことも要因の一つです。

グローバル化する社会に遅れをとらないため

企業のグローバル化が進み、社会に遅れをとらないために、人事制度においてもグローバル・スタンダードの成果主義を取り入れる企業が増えています。企業が適切な人事評価を行わなければ、優秀な人材が離職する可能性があるためです。
メガバンクや証券会社などの金融機関では、グローバル化を意識した人事制度「プロ契約社員」という新しい概念を生み出しています。

バイタリティや若さが求められている

ビジネスシーンではスピーディーな対応が不可欠なため、常に流行に敏感であることが求められます。バイタリティがある若い人材ほど、これらの要素を満たしている傾向が高いため、若手社員を重要なポストに登用する企業が増えています。熱意や行動力、チャレンジ精神などを持ち合わせている人材は、企業を活性化させる可能性を秘めています。

こちらの例では、残業時間と人事評価を軸に社内人材を視覚化。短い時間で高い成果を出している社員を発見しています。

抜擢人事を導入するメリット


抜擢人事によって得られるメリットは6つあります。企業が抜擢人事を導入するメリットについて解説します。

組織全体が活性化する

能力やスキルを重視した適切な人事配置が行われるため、組織力を強化できます。たとえば、抜擢人事によって空いたポストには、別の有能な人材を配置できるため、部署のナンバー2以降の実力がある人材の育成も可能です。どの社員も上のポストを目指すチャンスが与えられているため、社員のモチベーションも高まり、組織全体の活性化につながります

次世代のリーダーを育成できる

部下を管理するポストは、強いリーダーシップが求められます。若手社員がこれらのポストに就いた場合、早い時期からリーダーシップが磨かれ、能力を発揮できるようになります。また、下の世代の社員が彼らをロールモデルに設定するなど、リーダーに必要な資質が何かを間近で学べる環境を用意できるため、次世代のリーダーの育成にも効果的です。

競争力の向上により社員の成長が促される

健全な競争力は社員の自己成長を促す助けになります。従来の年功序列制度では、出世を競争する範囲は限定的なものでしたが、抜擢人事により能力や努力次第で誰でも上のポストを狙えるようになりました。社内の競争力は向上し、社員は互いにライバル心が刺激され切磋琢磨しながら成長できます

若手社員の能力を引き出せる

入社からわずかの若手社員にも、先輩社員と同じチャンスが与えられます。能力のある若手社員に未経験の分野やポストを任せた場合、潜在的な能力が発揮されるケースも多いです。また、部下の管理を任せる立場に能力の高い人材を配置することで、若手社員の中から優秀な人材を発掘しやすくします。

社員のモチベーションを維持できる

抜擢人事は、社員の努力や成果などを正当に評価する企業の証です。全社員が上のポストを狙えるチャンスがあるため、社員のモチベーションを高めます。モチベーションアップが自己研鑽のきっかけとなり、スキルの向上や資格取得を目指す社員が増え、結果的に社員のモチベーションを維持できるようになります。

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人事担当者の意識変革を促せる

従来の年功序列制度では、先例にならった人事配置が行われるだけで、能力やスキルなどが重視されていませんでした。一方、抜擢人事では社員の能力やスキル、経験などを吟味したうえで人事配置を行う必要があるため、人事担当者の手腕が問われます。従来のやり方のままでは通用しないため、必然的に人事担当者の意識変革を促します。

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抜擢人事を導入するデメリット

抜擢人事を導入した場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。抜擢人事のデメリットを解説します。

年功序列を支持する社員からの反発

年功序列によって将来約束されたポストを手にできない可能性がある社員からすれば、抜擢人事はこれまでの苦労が水の泡になるため、抜擢人事の導入に反発することが予想されます。業界の気風や、年配の社員が大多数の企業によっては、新しい改革を簡単に受け入れられない可能性も高いです。

抜擢された社員が孤立する

若手社員や勤続年数の浅い社員が高いポストに登用された場合、信頼やコネがないうちから部署やチームを率いなければならず、社内で孤立する可能性があります。どんなに優れた能力がある社員でも、上司や同僚などの周囲からの協力が得られなければ、能力を発揮できません。

社内に混乱を生む

社員からの理解を得ずにトップダウンで人事改革を推し進めれば、社内に混乱を生みます。混乱が長引けば、生産性やサービスの質などの低下を招き、最終的に企業の弱体化にもつながりかねません。混乱を生まないためにも、抜擢人事を行う範囲を限定的なものとし、線引きすることも必要です。

抜擢された社員の能力不足による業績不振

抜擢された社員の能力やスキルが期待値を下回った場合、部下がついていかない、部署をまとめられないなどの問題の発生リスクを高めることになります。業務が滞れば業績に悪影響を及ぼす可能性があるため、あらかじめ抜擢した側から抜擢の目的や理由を社員に説明する必要があります。

立場逆転による人間関係のもつれ

後輩社員が先輩社員の上司となった場合、先輩と後輩の立場が逆転するため人間関係でトラブルが起こりやすくなります。トラブルが表面化しない場合でも、部下となった中堅・ベテラン社員のストレスの原因になり、モチベーションの低下を招く恐れがあります。

公平性とチャンスの見える化として、社内公募も施策の一つです

抜擢人事の成功事例を紹介

抜擢人事を導入して成功した企業の事例を2つ紹介します。

事例1.株式会社サイバーエージェント

アメブロで知られる「株式会社サイバーエージェント」では、若手社員を子会社の社長に抜擢した実績があります。ある子会社の社長は2009年に新卒で採用され、営業マネージャー、支社営業局長を経て、2018年には子会社の代表取締役に就任しました。
また2011年に広告代理店部門でエースと呼ばれる社員150人を新規事業に異動させ、補充を行わなかった事例では、残った社員のみで1年後に営業利益の増加を達成しています。

事例2.ヤフー株式会社

日本のインターネット業界をけん引する「ヤフー株式会社」では、2012年に社員を44歳の若さで新社長に抜擢した実績があります。当時、15期連続で増収増益していましたが、パソコンからスマートフォン事業を主軸にするため、経営陣を平均年齢が10歳以上も若い世代に刷新しました。これにより誕生したサービスが、格安スマホの「ワイモバイル」です。

抜擢人事の導入で押さえておくべきポイント

自社で抜擢人事を導入する場合、どのようなことに意識を向ければ良いのでしょうか。押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

段階的に導入する

抜擢人事の導入は、従来の人事評価を覆すほどの大改革になります。急激な変化を起こせば、社員から反発を受けるなどの混乱は避けられません。社内の混乱を生まないためにも、段階的に抜擢人事を導入する必要があります。たとえば、成果主義の導入からはじめる、経営陣に限定した抜擢人事を行うなどが挙げられます。
導入前には必ず、抜擢人事の目的やメリットなどを社員に説明したうえで、理解を得ることが大切です。

抜擢人事のプロセスをオープンにする

抜擢人事は社内の競争力を高める一方で、やり方によっては社員から不信感を抱かれる可能性があります。たとえば、能力の高い人材を重要なポストに抜擢した場合でも、人選までのプロセスが不透明だと、選抜からもれた社員の不満を募らせることになります。誰から見ても納得感のある抜擢人事を行うためには、人事選考のプロセスをオープンにすることが重要です。
透明性が守られてこそ、社員間での不公平感を払拭できます。同時に、人事評価についても明確にしておくことが必要です。

抜擢人事の選考にもれた社員のフォローも忘れずに行う

抜擢された社員だけでなく、後輩社員が上司になった社員や、従来どおりなら次の人事で昇格するはずだった社員などへのフォローも不可欠です。フォローをしなければ、モチベーションの低下や、不満・陰口をいうなど、周囲の社員にも悪影響を及ぼす可能性があります。
職場の雰囲気が悪くなって人間関係のトラブルが起きれば、社内全体のモチベーションが低下し、生産性を下げることになります。選考にもれた社員の活かし方も、抜擢人事とセットで検討しましょう

まとめ

抜擢人事は若手社員にとって、未経験でも重要なポストに就ける可能性を広げます。健全な競争力が生まれ、能力の高い人材を登用できるため、次世代のリーダーの育成にも有効です。
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